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第1章

第四十話 「ネルさんのおじいさんの霊、現る」

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ん~!
今日のご飯はおいひ~!

「そう?ありがとう。」

ネルの笑顔、かっわい~♡

「おい。」

なんだよぉ。

「わしに食べさせろ。」 

はあ?
無理だろ。
だって、ネルには食べ物が浮かんで見えるし、あと、ネルはそーゆーの、苦手だから、多分、気絶すると思う。

「いーから食べさせろ!」

はいはい。
ったくぅ、どっかの王子と比べて、自分勝手だぜぇ。

「はい、あーん。」

「あーん。」

ぱくっ。

「ん~、おいし~い♡もっと食べさせろ!」

え~?仕方ねぇなぁ。

「はい、あーん。」

「あーん。」

と、かに玉を食べさせようとした、その時!

「おい、なにやってんだ。」

ひぃ!
な、なにもしてません、アハハハハ~。

「あたしの料理を食べなかったら、ハリセンの刑だからな、フハハハハハハ!」

ひぃ!ハリセン持って、笑ってる!こ、こわ~い。

「ネルよ、お前はいつの間に、こわくなったんだい?」

「うぇ。」

ん?どうしたんだ、ネル。

「……グリンピース。」

なんだ、苦手なのか?

「うん。」

ネルはこくりとうなずいた。

「ネルはグリンピースが苦手だったなぁ~。よし、わしが食べてやろう!おい、貸せ!」

わっ!ちょっ、なにやるんだよっ。

「ん?……!?」

あ、ネルが見てる!
や、やばっ!

「さぁネルちゃん、久しぶりにお前の嫌いなものを、食べてやるぞぉ~。」

や、やめろ~!

「あ……あぁ。」

「あーん。」

ぱくっ。

「ん~、おいし~い♡」

「ギャァァァァァァァァ!」

うわぁぁぁぁぁぁぁ!ネルが気絶したぁ~!

「ちっ、だからやめろって言ったんだよ!この、クソじじいがっ!」

「はい、すみません。」

じいさんが、しゅんとした。


                                 ☆


「ところでお前、どーして孫を好きになったんじゃ?」

はぁ?なんでそんなことを聞くんだよぉ。

「ちょっと、気になってな。教えてくれ。」

ちっ、わかったよ。

「はじめはうざかったけど……。」

「うざかったぁ!?」

あー、もう。

「だんだん、ふれあっていくうちに、好きになったんだ。」

「へえー。」

「そして、再会して、愛し合って、子供ができて、結婚した。俺様、ネルと一緒にいる時間が、とても楽しいんだ。こんなの、生まれて初めて感じた。」

「ふーん。」

ガチャッ。

「おい、なに一人でぶつぶつ言ってる。」

あ、ちょっとぉ、独り言だよ、独り言。

「どーせ、あたしの悪口を言ってるだろ?」

い、言ってませーん、アハハハハハハ!

「ふーん、ならいい。」

ネルはベッドに上がった。

「なぁ、ウルフ一郎。」

「ん?なんだ?」

「……おやすみなさいのキスをして。」

「はあ!?ちょっと待ってちょっと待ってお兄さん♪」

なんだよぉ、うっせぇなぁ。

「こ、これは、毎日やるのか!?」

あったり前だろ。
それがどーした。

「いかんいかーん!孫とキスするなんて、わしは認めん!」

ちっ、どんだけ孫を溺愛してるんだよ。

「どうした。今日はやらないのか?」

あ、いやっ、やるに決まってんだろ、やるに。

「……あぁ。」

「おやすみ、ネル。」

「おやすみ、ウルフ一郎。」

「あわわわわ!」

チュッ。
俺様達は、熱いキスをした。

「も、もう、ウルフ一郎くんなんか、大っ嫌いじゃーっ!」

ガチャン。
あーあ。泣きながら、出て行ったよ、あの溺愛じじいが。

「おい、なんか、ドアが勝手に……。」

「気にすんな。さ、寝よう。」

「あ……あぁ。」


                                ☆
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