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第1章

第四十話 「ネルさんのおじいさんの霊、現る」

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俺様は帰って来て、ネルとお義父さんとガオンを呼んだ。

「おい、一体どーしたんだ。あたし達をここに呼んで来て。」

いーからいーから!はいっ!
俺様は三人に、めがねを渡した。

「なんだ?」

「これ、普通のめがねじゃないか。」

いーからかけてみて!

「あぁ。」

「ガオン、めがねをかけましょうねぇ。」

「あい、あい!」


「よし、これでいいか?」

はぁ、めがね姿のネルは、かわいいなぁ~♡

「あぁ!みんな、前を見てくれ!」

「前?」

「う?」

三人が前を向くと……。

「……!」

ガオン以外の二人は、じいさんを見て、目を見開いている。

「じ、じいちゃん!」 「と、父さん!」

「みんな、久しぶりじゃのう。元気にしとったか?」

「じいちゃ~ん!」

ネルはじいさんのところへ向かって走ってだきついた。

「会いたかったよぉ。」

「わしも。会いたかったよ、ネル。」

実は、ネル達がかけているめがねは、アンクのじじいがつくった発明品、名付けて、幽霊めがね~。
このめがねをかけると、なんと、幽霊が見えるのだ!

「父さん、久しぶり。」

「ヒューリ。お前、おじいちゃんになったのう。」

「あぁ。」

お義父さんは、にこっと笑った。

「う、う~!」

「おぉ!ガオン、初めまして。ひいじいちゃんでちゅよぉ~。」

じいさんはガオンの頭をなでた。

「あい、あい!」

「お花、ありがとねぇ~。」

「う、う~!」

「だっこしていいか!?」

「えぇ。もちろん。」

「やったぁ~!」

「ガオーン、ひいじいちゃんのところに行っておいでぇ。」

ネルはじいさんにガオンを渡した。

「う、う~!」

「よーちよち。かわいいのう、ガオン。」

「あい、あい!」

ガオンがじいさんのひげをひっぱった。

「いでででで!ガオン、やめろ~!」

「あい、あい!」

ガオン、とてもうれしそう。

「記念写真を撮ってやるよ。」

「おう、サンキュー。」

「はい、チーズ。」

カシャッ。

「どう?きれーに撮れたか?」

「う~ん、どー見ても、ガオンが浮かんで見える店長…。」

「そうか。残念じゃのう。ところでネル、わしに伝えたいことがあるだろう。」

「あ、うん。」

ネルは大きくうなずいた。

「実はあたし……。」

ドックン、ドックン、ドックン。

「……じいちゃんのおやつのプリン、食べちゃったんだよねぇ。」

「……。」

「……。」

「……。」

そ、それが、隠し事だったのかよ。

「ごめん、じいちゃん!勝手に食べちゃって!天国に帰る前に、たくさん持って行って!」

「ネル……。いいんだよ、ネル。おじいちゃん、それで充分だよ。」

「じいちゃん……。」

「おまけにじいちゃん、甘い物は苦手なんじゃ。」

「……。」

「……。」

「……。」

えーっ。

「だから、このたくさんのプリン、いらないよ。」

あれっ?だんだん、体が消えていくような……。

「まて、じいちゃん!行かないでくれ!もう少し、一緒にいよーよー!」

「ネル……ごめん。一緒にはいられないんだ。もう、迎えが来たから。」

「じいちゃん!」

ネルが抱きつこうとした時は、もう、遅かった。

「ゔ……ゔぅ。」

ネルは泣きながら、腰を落とした。

「じ、じいちゃん……。」

ネル、泣くな。
また、どこかで会える。

「……あぁ。そうだな。」

ネルは、涙を手の甲で拭い、笑顔に戻った。


                             ☆

「ネルたーん♡今日はどんなの着ていく?ド派手なファッション?それとも、セクスィーなファッション?」

「どっちも嫌。」

「そ、そんなぁ~。」

「ほうほう。君も、わしみたいに溺愛しとるな。」

「わ!じいさん!いつの間に!てか、天国に戻ったんじゃねぇのかよ!」

「戻ったんだけどぉ、ネルのことがどーしても忘れられなくてぇ、来ちゃった♡」

うぇ、気持ち悪りぃ。

「ウルフ一郎さーん。」

!?

「真莉亜ちゅわ~ん♡おっはよ~う♡」

「おはようございます。」

「ところでぇ、なにしに来たのぉ~?」

「クッキーを作ったので、届けに来ましたぁ!」

「ウワーオ!おいしそ~♡」  

「てか、作りすぎちゃってぇ。これ、全部、ウルフ一郎さんに差し上げます!」

これ、ほんとに作りすぎだろ。

「ありがと~♡これ、ネルたんと仲良く食べるよーん♡」

「ネ、ネルたん!?」

「おい、貴様。」

はいはい、なんでしょうか~。
              ・・
「まさか、あれじゃないよな?」

ち、ちげーよ!
彼女にはちゃんと、旦那がいる……。

「孫を裏切るなーっ!」

「ひぇ~!」

俺様は、じいさんに蹴飛ばされ、遠くへ飛んで行った。

(……なんでウルフ一郎さん、急に飛んで行ったんだろ。)


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