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第十話 「ネルさんの弟子」

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ネルさんとリュウちゃん、あれから3日、どうなってるんだろ。

「きっと、一緒に修行をしているかも知れませんね!」

そうだね。
トタトタトタトタ。
ん?向こうから、足音が聞こえるぞ。
ピンポーン。

「あたしが出るぅ~。」

アキちゃんが、笑顔で玄関へ向かった。

「よいしょっと。あ、ネル!どうしたの?そんなにイライラしちゃって。」

ネルさん、3日ぶりですね。

「うるさい!ほっといてくれ!」

ネルさんは、足をドンドンさせながら、リビングへ向かって、リビングに着いたあと、ドスンとすわった。

「・・・・・・なんか、不機嫌そうね。」

顔がめちゃくちゃおこってるし。どうしたんだろ。

「おい!ルクト!」

「は、はい!」

「・・・・・・酒、持ってこい。」

えぇ!?こんな昼間っから、お酒を飲むの!?

「で、でも、今はお昼ですし、今飲んだら、お体に悪いですし・・・・・・。」

「いいからさっさと持ってこい!」

あんなに怒鳴るネルさん、初めて見た。

「は、はい!」

ネルさんに怒鳴られたルクトさんは、急いでお酒を持ってきた。

「ど、どうぞ。」

「サンキュー。」

ネルさんは、ルクトさんが差し出したお酒のガラス瓶を、ぱっとうばって、ふたを開けた。
ゴクゴクゴクゴク・・・・・・。
ガ・・・・・・ガブ飲みしてる・・・・・・。

「ぶは―っ!こりゃあうまい!おい!どんどん酒、持ってこい!」

「は、はい!ただいまぁ~。」

さっきから気づいたけど、一人、いないね。

「リュウお姉ちゃんは?」

ソラちゃんがたずねると、ネルさんは、ソラちゃんの方を、こわーい目でにらんだ。

「ひぃぃぃぃぃ!お姉ちゃん!今日のネル、こわーい!」

ソラちゃんは泣きながら、クリスさんにだきついてきた。

「そういう女の名前を、二度と口にするな!」

今日のネルさん、いつもとちがう・・・・・・。

「二度と口にするなって・・・・・・。」

「お酒、持ってきましたよぉ。」

ルクトさんが、お酒を二本持ってくると、ネルさんはまた、お酒をガブ飲みした。

「やっぱ、酒はうめぇなぁ。」

ネルさんが、もう一本の酒に手を出そうとした時、リリアさんがお酒に手を出そうとしている手をとめた。

「な・・・・・・なにするんだよ!」

「やめなさい。これ以上飲んだら、本当のこと、話せなくなるわ。」

「は・・・・・・離せ!」

ネルさんが、リリアさんの手を振り離そうとしている。

「ネル、リュウはどうしたんだい。」

「!?」

あんなに尊敬していたリュウさんと、なんで一緒じゃないんですか?

「し・・・・・・知るか!あんなやつのこと!」

本当のこと、話してください。

「そうよ。」

ネルさんは、あきれたのか、「はぁ。」と、ため息をついた。

「・・・・・・実は、けんかしたんだ。」

けんか!?

「なんで、けんかしたの?」

紅葉が質問すると、ネルさんは話した。
その話は、とんでもない話だった。
一週間前、二人はいつものように、菜の花広場で修行をしていた。
修行中、リュウちゃんがこんなことを言い出したのだ。

「ネルさん!私に、『雷神の風』を、教えてください!」

「『雷神の風』!?なんでお前が、それを知ってるんだ。」

『雷神の風』とは、とても危険なわざで、それを身についた剣士が、雷神の呪いで、かみなりを受けて死ぬといわれているわざだ。

「ヴァンパイア界に出る前、『雷神の風』の巻物を買ったんです。」

リュウちゃんが、ネルさんに渡した巻物は、まさしく、『雷神の風』の巻物だった。

「・・・・・・本物だ・・・・・・。これは、『雷神の風』そのものだ。説明も、わざを習得する方法も、『雷神の風』
そのもの!でも・・・・・・。」

「でも?」

「お前には、このわざは危険すぎる。ほかのわざを教えてやろう。」

「いやです!私は、『雷神の風』を、どうしても習得したいんです!

「お前は自殺する気か!」

「・・・・・・!?」

「あんなに難しいわざを習得するなんて、バカだなぁ。」

「じゃあ、私一人で習得します!『桜吹雪の舞』より、もっと強いわざを生み出します!自分の手で!」

「・・・・・・勝手にしやがれ。」

・・・・・・という話だった。

「お~い!」

どうしたの?

「手紙が入ってたよ!」

道華が、白い紙をみんなに見せた。

「ネル宛てじゃん。」

紙を取ったクリスさんが、『ネルさんへ』という字を見つめた。

「あたしに・・・・・・?」

ネルさんは、クリスさんの手に持っている紙をぱっと取って、紙を広げた。

「!?」

ネルさんが、目をまるくした。

「・・・・・・決闘の申し出だ。」

誰から!?

「リュウからだ。」

「私に見せて!」

紅葉!私にも見せて!
どれどれ?ん?

〈決闘を申しこむ。明日の朝、菜の花広場に来い。 リュウより〉

「ちょっとまって。明日、雨が降るって、言ってたわよ?」

「雨だと!?」

「なにか、関係あるのかい?」

ネルさんは、こくりとうなずいた。

「あぁ!『雷神の風』とな!」

ネルさんは、ニヤリと笑った。

「ところで、菜の花広場は、どこなんだ?」

「あだーっ!」

私達は、お笑い劇みたいにコケた。
修行しに行く時、よく通ってる道を通れば、いいんですよ。

「お前に教えられたくないわ!」

す、すみません・・・・・・。

「あたし、菜の花広場への道のり、全然覚えてないんだ。ジュンブライト様!菜の花広場への道のりを、教えてください!お願いします!」

ネルさんが、ジュンブライトの方に向かって、おしぎすると、ジュンブライトは、ニカッと笑った。

「いいぜ!ネルのためなら、なんでもやるぜ!」

「あ・・・・・・あたしのためなら、なんでもやる?それって、もしかして!あたしのことを、好きでいらっしゃるのぉぉぉぉぉ!?」

いや、ちがうと思う。

「だって、ネルは俺の友達だから。ダチのためなら、なんでもやるぜ!」

「ガーン。」

あらら。ネルさん、すっごく落ちこんでるよぉ。

「友達・・・・・・か。あたしとジュンブライト様の赤い糸は、一体いつ、結ばれるんだぁぁぁぁぁぁ!」

「結ばれないと思うわ。」

うん。

「片想いしてるから。」

そうだね。

「ジュンブライト様と結ばれるのは・・・・・・。」

「あたしよ!」「あたしよ!」「私よ!」

ジュンブライト大好き三姉妹の声がハモッて、三姉妹はムッとした顔になった。

「ジュンブライト様と結ばれるのは、この、あたしよ!」

「ちがーう!あたしが、ジュンブライト様と結ばれるの!」

「ジュンブライト様のお嫁さんになるのは、私だよ!」

三人とも、けんかはやめてください。



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