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第二十二話 「ソアンさんの告白大作戦!」

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私達は、菜の花広場に避難していた。
 
「ごめんね、ソアンくん。あんな目にあわせて。」
 
「ううん、いいんだ。」
 
「これから、どーする?」
 
「また、半分ハゲているおじいさんが、追いかけて来ますよ。」
 
「アンクさんだっ。」
 
「そもそも、なんで、アンクさんが、人間界に来たんだい?」
 
私も気になりますっ。
 
「全ては、リナンのせいだ。」
 
ジャンさんが、めがねをキラーンと、光らせた。
 
「私のせい?」
 
リナンさんが、首をかしげた。
 
「あぁ。昨日、機嫌よく、発明所に行ったろ?そんなお前を見て、おじいちゃんが、「どうしたんじゃ?そんなに顔をニヤニヤさせて。」って、言ったら、「私ね、ソアンくんと一緒に、人間界でお出かけするの~。」って、言ったら、「な~にぃ~?」って、キレたんだよ。」
 
ジャンさん、アンクさんとリナンさんのまね、お上手です。
 
「私、そんなに声、高かった?」
 
本人、公認せず。
 
「リナンお姉様は、言ってはいけないことを、口に出してしまうタイプなんですから、そこだけは、気を付けてください。」
 
「トホホホホ・・・・・・。8歳から、注意された・・・・・・。」
 
リナンさんは、がくっと、落ちこんだ。
リナンさん、ドンマイ。
 
「アンクさんにじゃまされないよう、誰か、助けを呼びましょう。」
 
「アンパンマンか?」
 
なんでそこで、アンパンマンが出て来るのよ。
 
「だって、困っているやつがいたら、必ず、助けに来てくれるじゃないか。「アンパンマーン!」って、さけんだら、出て来てくれるじゃないか。」
 
そりやそうでしょ。ヒーローだから。
 
「はぁ~。こんな時、誰かさんがいてくれればねぇ。」
 
と、リリアさんがつぶやいた、その時。
 
「でいやー!」
 
ん?どっかで聞き覚えがある声だなぁ。
シュッ、シュッ、シュッ!
ん!?この、剣さばきは・・・・・・。
 
「ネルさん!」
 
超~久しぶりです!
 
「こんなところで会うなんて、ぐうぜんだねっ。」
 
私達は、ネルさんのところにかけよった。
 
「春間真莉亜がいるってことは、ここは、東京か?」
 
そうです。
 
「あ、アンパンマンだ。」
 
ネルさんです!
 
「ネル様、元気にしてましたか?」
 
「あったり前だ!この、桜吹雪のネル様が、かぜなどひくわけが、ねぇだろ!」
 
ネルさんは、胸を大きく張った。
 
「桜吹雪のネルと、知り合いなのか!?」
 
「あぁ。ネルは、リリアの妹で、俺の・・・・・・。」
 
(ま、まさか、好きな人って、言うんですか!?はぁ~、もう、これで、友達卒業だぁー!)
 
「友達だ。」
 
「え~!?」
 
なんで、落ちこむんですか?
 
「ところで、あたしになんの用ですか?」
 
「ネル、聞いて!あのね・・・・・・。」
 
道華が、ネルさんに、今までのことを、全部話した。
 
「なるほどぉ~。こいつらのじいさんに、じゃまされないよう、ソアンと、リナンのデートを、成功させるんだな。」
 
手伝ってくれますか!?
 
「・・・・・・仕方ない。特別に、協力してやるよ、春間真莉亜。」
 
ネルさんが、ニッと笑った。
やったぁ!
 
「なんか、にぎやかじゃのう。」
 
その声は・・・・・・。
 
「おじいちゃん!」
 
「わしも入れてくれ。」
 
「しまった!見つかった!」
 
「リナン、行くぞ!」
 
「ちょっ、ソアンくん!速いよぉ~!」
 
ソアンさんは、リナンさんの手をにぎって、菜の花広場を出た。
 
「あ、まて!」
 
アンクさんは、二人を追いかけようとした。
 
「ここは通さん。」
 
ネルさんが、菜の花広場の入り口に、立った。
 
「貴様は、桜吹雪のネル!」
 
ネルさんは、さやから刀を取り出して、刀を、アンクさんに向けた。
 
「人のデートをじゃまするなんrて、ゆるさん!」
 
アンクさんは、「ふっ。」と、笑い出した。
 
「ふははははは!」
 
アンクさんは、高笑いをした。
 
「なにがおかしいの!」
 
「ネルはこー見えて、強いんだから!」
 
「それはわかっておる。わしは、こんなことがあろーかと、最新秘密兵器を、つくっちゃったもんね―っ。」
 
最新秘密兵器!?
アンクさんは、懐から、小さなリモコンを取り出した。
 
「あ、ポチッとな。」
 
ボタンを押すと、エンジンの音が聞こえて、オレンジ色の車が現れた。
アンクさんが、それに乗ると、車の後ろから、3本の刀を持った3本の手が出て来た。
 
「名づけて、三刀流マシーン!」
 
「おぉ!かっけ―っ!」
 
「イカスぅ~!」
 
感心するなっ。
 
「さすがの桜吹雪のネルも、手も足も出るまい。」
 
「いや、あたしは、三刀流だろーが、四刀流だろーが、この、へなちょこマシーンになんか、負けないぜ!」
 
「フレ―ッ、フレ―ッ、三・刀・流!」
 
あんた達は、ネルさんを応援しなさい!
 
「がんばれ、ネルちゃん!」
 
「三刀流、負けるな!」
 
ジュ~ン~ブ~ラ~イ~トぉ~!
 
「す、すみません。」
 
「でや―っ!」
 
おぉ!闘いが始まった!
 
「三刀流、そこだぁ!」
 
あんたはどっちの味方だよっ。
 
「ネル、がんばって!」
 
「ネル~!」
 
アキちゃんとソラちゃんが、ネルさんを、応援している。
 
「激しい闘いだわ。」
 
私達は、ネルさんの闘いを、見守る。
 
「ネル、がんばれー!三刀流なんかに、負けるなぁ!」
 
ジュンブライトが、大きな声で、応援すると、ネルさんは、闘うのをやめて、ジュンブライトの方を見た。
 
「ジュンブライト様が、あんなにあたしを、応援している。あぁ!ジュンブライト様はやっぱり、あたしのことを、好きな人として、好きでいらっしゃる・・・・・・。」
 
「今だ―っ!」
 
ネルさん、危なーい!
 
「へ?」
 
ネルさんの刀が、弾き飛ばされた。
 
「あぁ、刀が!」
 
刀は、地面にブスッと、ささった。
あのネルさんが、負けるなんて・・・・・・。
ネルさんは、ささっている刀を見て、口をポカーンと開けたまま、腰をぬかしているよ。
 
「ハハハハハ!見たか、三刀流の底力!」
 
ネルさんは、砂をにぎりしめて、くやしそうに、拳を地面にたたきつけた。
 
「ちくしょう!このあたしが、三刀流に負けるなんて!」
 
「油断は禁物よ。」
 
「知っとるわ!はぁ~、あたしも三刀流にすればよかった~。いいなぁ、三刀流。」
 
うらやましがってるよ、この人!
 
「んじゃあ、さいな~らぁ~。」
 
あぁ!アンクさんが、逃げてゆくよ!
 
「逃がすか!」
 
ジュンブライトが、アンクさんを追いかけようとすると、マシンの後ろから、パンチが出て来て、ジュンブライトは、空の果てまで飛ばされた。
 
「お父さ~ん!」
 
「私達も、追いかけましょう!」
 
「はいっ!」 「うん!」 「えぇ!」
 
「でも、先輩は?」
 
「今は王子どころじゃありません!」
 
「ジュンブライト様を、助けに行かないで行くのか!」
 
「きっと、大丈夫よ。」
 
ジュンブライト、無事でいてね!
 
 
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