ヴァンパイア♡ラブどっきゅ〜ん!

田口夏乃子

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第二十八話 「ネルさんの、本当の弱点」

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ひゃ~。胸がドキドキするよぉ。
あと少しで、私達の順番が来る・・・・・・。
 
「ギャャャャア!」
 
「い―や―!」
 
「うわぁぁぁぁぁ!」
 
「ママ~!」
 
「来るな、来るなぁ!」
 
お化け屋敷の中から、ほかの人の絶叫が聞こえてきた。
それを聞くたび、体がゾクゾクするよぉ。
 
「あれ?ネルは?」
 
いつの間に、いなくなってる!
 
「あ、こら!にげるなっ!」
 
ウルフ一郎さんが、にげてゆくネルさんをつかまえた。
 
「は、離せ!」
 
「離すもんか!俺様が、お前を守るから!」
 
「本当に守るのか?」
 
「次の方、入ってくださーい。」
 
え!?もう!?
 
「いやだ、いやだいやだ―っ!」
 
ネルさん、恥ずかしいです。
 
「あら、あれは、真莉亜様と潤様じゃないですの。」
 
ひ・・・・・・比奈多さん!
 
「比奈多さん、あの女の人、おかしいですねぇ。」
 
「大人のくせに、こわがるなんて。」
 
笑われてるよ、ネルさん。
暗ーい。久しぶりに入ったよ~。
 
「ネルさん、ちゃんと着いて来てますか?」
 
って、いなーい!
さすがのネルさん、一発でまよいこんだねぇ。
って、そんなこと、思っている場合じゃなーい!
探さなくちゃ!
 
「ネルさ―ん、ネルさ―ん。」
 
反応なし。暗くて、わからないよぉ。
ドッ。
キャッ!
なにかにぶつかって、私は後ろにたおれた。
 
「おい、大丈夫か?」
 
誰かが手をさしのべた。
あ・・・・・・ありがとうございます・・・・・・。
ん!?暗くて顔が全然、見えない・・・・・・。
もしかして、お化け!?
 
「い―や―!」
 
来ないで、来ないで!
 
「あたしはお化けじゃない!ネルだ!」
 
ネルさん?私は後ろを振り返った。
あ!ネルさんだ!よかったぁ。さぁ、二人のところに行きましょう・・・・・・。
ガラッ。
!?
 
「!?」
 
「ギャャャャャア!」
 
昔はからくりとびらなんて、なかったはず!
 
「今と昔は、ちがうんだよぉ!」
 
「知ってますぅ~!」
 
私達は、どんどん下へと落ちてゆく。
 
「ん!?今、声がしなかったか!?」
 
「全然・・・・・・あ―!二人がいねぇ!」
 
「あのバカ!」
 
 

 
 
 
ドサッ。
いたたたた・・・・・・しりもちついちゃったぁ。
 
「おい!ケツ、じゃまい!てか、重い!」
 
悪かったですね。体が重くて。
 
「ところで、ここ、どこなんだ?」
 
さぁ。教科書で見たことあるような光景・・・・・・。
あ!江戸の街だ!
 
「江戸?」
 
ネルさんが、首をかしげた。
 
「江戸というのは、東京の元々の名前です。徳川家康が江戸幕府っていう幕府を開いたので、この時代は、江戸時代と言われるようになったんです。260年あまりに、続きました。」
 
「お前、意外と頭がいいんだな。」
 
えへへへへ。
それより、早くジュンブライト達のところに行かなくちゃ。
 
「あの人なら、知っているかも。」
 
ネルさんが、荷物を背負いながら歩いている、ちょんまげの男の人を指さした。
私達は、男の人のところにかけよった。
 
「すみませーん。」
 
私の声に気づいた男の人は、ぴたっと止まった。
 
「出口がどこにあるか、知ってるか?」
 
「出口?」
 
「はい。」
 
「さあね・・・・・・。」
 
男の人は、くるりと振り向いた。
か・・・・・・顔がない・・・・・・。
目も、鼻も、まゆげも、口も、全部ない!
 
「こいつ、ひょっとして・・・・・・。」
 
「のっぺらぼうだぁ!」
 
「い―や―!」
 
私達は、とっさににげた。
 
「まて~!」
 
追いかけて来るよぉ!
 
「あそこに身を隠そう!」
 
ネルさんは走りながら、屋台を指さした。
はぁ、はぁ。
 
「もう、追って来ねぇようだなぁ。」
 
「おじょうちゃん達、どうしたんだい。」
 
あああああのですね、のっぺらぼうがいたんです!
 
「ほほう。」
 
なんか、あやしい・・・・・・。
 
「おじょうちゃん達が見た、のっぺらぼうって、こんなもんかい?」
 
い・・・・・・!
 
「おっさんも、のっぺらぼーう!」
 
「ギャャャャャア!」
 
私達は、屋台を飛び出した。
もう、いや―っ!
 
「森の中で避難しよう!」
 
こわ―い。なにか、嫌な予感がする・・・・・・。
シュッ、シュッ・・・・・・。
 
「!?」 「!?」
 
包丁をけずる音が、森の中に響く。
不思議そうに歩くと、一軒家の家があった。
電気がついていて、包丁をけずってるおばあさんのシルエットが見えた。
 
「イ―ッシッシッシッシ。今夜はいつもより、おいしい飯が食える。」
 
???
 
「こいつ、なに言ってんだ?」
 
すると、おばあさんが包丁をけずるのをやめて、立ち上がった。
ガラッ!
引き戸が開いた!
 
「イーッシッシッシッシ。まず、どれから食べようかね。」
 
このおばあさん、顔をニヤニヤしながら、包丁を持ってる!
しかも、鬼みたいな角がついていて、口が耳までさけていて、とんがった耳をして・・・・・・このおばあさん、人間じゃないよ!
 
「山んばだぁ!」
 
「にげろ~!」
 
「まて~!」
 
おばあさんなのに、走るスピード、早っ!
と、その時。私達は突然、落とし穴に落ちた。
 
「キャ―ッ!」
 
「ジュンブライト様~!」
 
 

 
 
ドッ。
いたたたた・・・・・・またしりもちついちゃったぁ。
 
「ここは、どこだ?」
 
「真莉亜ちゅわ―ん♡無事だったんだね―♡」
 
その声は・・・・・・。
 
「ウルフ一郎さん!」
 
「ウルフ一郎がいるっていうことは・・・・・・。」
 
私達は下を見ると、ジュンブライトが、下敷きになっていた。
 
「あぁ、ジュンブライト様!」
 
「ごめん!」
 
「お前ら、重い。」
 
私達は、ジュンブライトの背中から離れた。
 
「ジュンブライト~!」
 
「ジュンブライト様ぁ~!」
 
私達は泣きながら、ジュンブライトにしがみついた。
 
「こわかったですぅ~!」
 
「ったく、世話がやけるやつらだなぁ。二度と、俺のそばから離れるなよ。わかったか?」
 
「はい!」
 
 

 
 
「二人とも、どうだった?」
 
ギロさんが、焼きそばと、たこ焼きを出した。
 
「全然っ。楽しくなかったですぅ!」
 
「もう二度と、あそこに行くもんか!」
 
ネルさんが、たこ焼きを食べながら、怒った。
 
「真莉亜ちゅわ―ん♡」
 
「真莉亜~♡」
 
「コーラーを買って来たよ―ん♡」
 
「ん!?」 「ん!?」
 
あらら。また始まっちゃった。
 
「真莉亜は俺が買って来たコーラーを飲むんだ!」
 
「い―や!俺様が買って来たコーラーを飲むんだ!」
 
「俺のだ!」
 
「俺様のだ!」
 
「俺のだ!」
 
「俺様のだ!」
 
「俺のだ!」
 
「俺様のだ!」
 
「俺・・・・・・。」
 
「あ―、やかましいねぇ。はい真莉亜。」
 
テレサさんが、私に冷たいコーラーを渡した。
ありがとうございますっ。
 
「せっかく、買って来たコーラーが・・・・・・。」
 
「今日は運が悪いぜ。」
 
落ちこんでるよ、この二人。
 
「コーラーちょうだい!」
 
「私にもですぅ!」
 
二人が私のために買って来たコーラーを、マドレーヌちゃんと道華が取った。
 
「花火、まだかな~?」
 
「もう少しよ。」
 
「早く見た―い!」
 
「私も~!」
 
ヒュ―、パーン、パーン!
うわぁ。きれいな花火。
 
「きれいね。」
 
「あぁ。」
 
リリアさんとギロさんは、肩を組みながら、花火を見ている。
 
「ジュンブライトぉ。」
 
「なんだ?」
 
私はほおずりをした。
 
「大好き。」
 
「俺もだ。」
 
「た―まや―。」
 
クリスさんが、夜空に舞い上がっている花火に向かって、言った。
 
「こんなきれいな光景が、人間界にあったなんて、知らなかったなぁ。」
 
「あぁ。」
 
「・・・・・・。」
 
ネルさんとウルフ一郎さんは、顔を真っ赤にして、見合わせて、目線を花火に戻した。
 
「花火というのは、すばらしいものですねぇ。」
 
この思い出は、一生、忘れないよ。
 
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