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第三十三話 「ジュンブライトとマドレーヌちゃんが、けんかした!?」

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平和なお昼です。
今日は土曜日。なにをしよっかなぁ~?
よし、勉強をしよう!
すると、ドアが、ガチャッと開いた。
 
「お母さん、遊ぼう!」
 
ごめんね、道華。勉強するからあっちに行って。
 
「え~?やだ―。」
 
もう、わがまま言わないの。
ピンポーン。
 
「真莉亜~、出て~。」
 
下から私のお母さんの声が聞こえる。
一体、誰が来たんだろ。
私は、階段を降りて、玄関のドアを開いた。
あれ?誰もいない。
もう!最近の若者は、こんなにおもしろくないいたずらを、するんだから!
私が、ドアを閉めようとした、その時!
 
「真莉亜お姉様・・・・・・。」
 
ん?声がした?
下を見ると・・・・・・。
むらさき色のツインテールに、ピンクの大きいリボン。むらさき色の、かわいい目は・・・・・・。
 
「マドレーヌちゃん!」
 
ちょっと、様子がおかしいなぁ。
目に、むらさき色の涙をためていて、大きい風呂敷を、どろぼうみたいに、せおっていて、むらさきの目を、うるうるさせている。
マドレーヌちゃん、それ、重くない?
 
「全然、重くありません。」
 
マドレーヌちゃんは、超能力ヴァンパイアだから、重いのは、平気だったね。
って、そういうことじゃないよ!
 
「マドレーヌおばちゃん!なにしに来たの?」
 
「ゔ・・・・・・ゔぅ。」
 
道華!耳栓!
 
「うん!」
 
「ゔぇ~ん!」
 
うわっ、耳栓が、ぶっ飛んだよ!
 
「ゔぇ~ん!」
 
マドレーヌちゃんの泣き声で、電信柱とか、近所の家の洗濯ものとか、浮いている。
 
「ゔぇ~ん!」
 
向かい合わせの家の犬は、ブルブル体をふるわせながら、耳をふせている。
あらら。犬小屋まで浮いちゃって。
 
「ゔぇ~ん!」
 
じ・・・・・・地割れがぁ!
 
「マドレーヌちゃん、もうやめて!」
 
「ひくっ、ひくっ。」
 
マドレーヌちゃんが泣きやんだとたん、物が浮かぶのをやめた。
 
「マドレーヌちゃん。家に上がって。私の部屋で、話をしよう。」
 
「は・・・・・・はいっ!」
 
 

 
 
私達は、マドレーヌちゃんを、部屋に連れて来た。
 
「マドレーヌちゃん。一体、なにがあったの?ちゃんと話して。」
 
マドレーヌちゃんは、口を動かした。
 
「私、けんかしたんです。」
 
誰と?
 
「もしかして、リリア?」
 
マドレーヌちゃんは、首を振った。
 
「ジュンブライトお兄様とです。」
 
「え~!?」
 
私達は、大きな声で、驚いた。
 
「なんでなんで!?」
 
「実は・・・・・・。」
 
マドレーヌちゃんは、大好きなホットケーキを、食べたくなって。
 
「ルクトじいや様ぁ、ホットケーキ、つくってくださ―い。」
 
と、お願いしたんだけど・・・・・・。
 
「じいやは休んでろ。俺がつくる。」
 
「え!?」
 
急にジュンブライトが、言い出して、みんながざわめいた。
 
「これは、ヤバイ展開になるぞ。」
 
「かわいいいとこのためだ。え―っと、卵にぃ、ホットケーキミックスにぃ、牛乳にぃ、バターっと!これでよし!マドレーヌ、お兄様がつくるから、楽しみにしとけ!」
 
「は、はい。」
 
「わ!どーすりゃいいんだ?」
 
「こーするのよ。」
 
「って、なに梅干し入れてんだ!」
 
「うるせー!隠し味ってやつだ!」
 
「ジュンブライト様、あんなに無理しなくていいのに。」
 
「ジュンブライト様!それはソーダー!」
 
「ポテトチップスを入れるな―っ!」
 
「あーあ。マズイホットケーキに、なっちゃうわね。」
 
そして、とうとう・・・・・・。
 
「できたぁ!俺特製、ホットケーキ!」
 
「ゔ・・・・・・。」
 
「さぁさぁ、遠慮せず、食べろ食べろ!」
 
「お、王子のお料理、おいしそうですねぇ。」
 
「だろ?」
 
「マ、マドレーヌ。早くしないと、冷めちゃうわよ?」
 
「は、はい・・・・・・。」
 
マドレーヌちゃんは、そのホットケーキを、一口食べた。
 
「・・・・・・!」
 
「どう?どう?」
 
「こんなの・・・・・・こんなの!ホットケーキじゃありません!」
 
ガッシャーン!
とうとうマドレーヌちゃんは、テーブルをたおした。
たおしたひょうしに、ホットケーキを乗せた皿が割れ、ホットケーキが落ちちゃった。
 
「なにすんだよぉ!」
 
「ジュンブライトお兄様のホットケーキなんか、食べたくありません!ルクトじいや様のホットケーキが、食べたかったですぅ!」
 
「文句言うな!人がつくったもんに!」
 
「ジュンブライトお兄様は、ふざけ半分が、多すぎますっ!」
 
「ふざけてねぇ!真剣につくったんだぜ!?」
 
「うそつき!」
 
「なんだとぉ!?」
 
「ウルフ一郎、止めてよぉ。」
 
「止めろって言われたって・・・・・・。」
 
「食べ物を粗末にするなっ!」
 
「してません!」
 
「あんたら!いーかげんにせんかいっ!」
 
「もう!ジュンブライトお兄様なんか、ず~っと、死んでいれば、よかったですぅ!」
 
「!?」
 
「マドレーヌ・・・・・・。」
 
「・・・・・・行け。」
 
「えっ?」
 
「この家から出て行け!お前はもう、俺のいとこじゃねぇ!」
 
「・・・・・・!?」
 
「おい!それは言いすぎだろ!」
 
「てめぇはだまってろ!」
 
「・・・・・・。」
 
そして、ジュンブライトは、マドレーヌちゃんのところに行き・・・・・・。
パン!
マドレーヌちゃんのほっぺに、ビンタした。
ほっぺには、ジュンブライトの手形が、赤くくっきり見えていた。
 
「二度と俺のこと、ジュンブライトお兄様って、呼ぶな。」
 
「・・・・・・!!ジュンブライトお兄様なんか・・・・・・ジュンブライトお兄様なんか!大っ嫌いですぅ!」
 
「俺も、お前のことが、大っ嫌いだ!!」
 
「つまり、兄妹げんかならぬ、いとこげんかだねっ。」
 
「私、ジュンブライトお兄様に、あんなひどいことを・・・・・・。」
 
ヤ・・・・・・ヤバイよ・・・・・・。
 
「うぇ~ん!」
 
もう、これで2回目~。
あっ、私の『ОNEPICE』のコミックが!
リラックマのぬいぐるみも、マドレーヌちゃんが背負ってきた、でっかい風呂敷も!
みーんな、宙に浮かんでるぅ~。
 
「うぇ~ん!」
 
机も、いすも、棚も、制服も、カバンも、本棚も、ベッドも!
 
「マドレーヌちゃん!いいかげんにして!」
 
「ひくっ、ひくっ。」
 
ふぅ。やっと、おさまったよぉ。
 
「マドレーヌちゃん、ジュンブライトのところに行こう。そして、ちゃんと謝ろう。」
 
「やです~。私、あの方とはもう、会いたくありません。」
 
マドレーヌちゃん・・・・・・。
マドレーヌちゃんは、私にだきついて来た。
 
「私、真莉亜お姉様と、一緒にいたいです。」
 
「で、でも・・・・・・。」
 
「いいじゃない!マドレーヌおばさん!大歓迎だよ!」
 
道華が言うと、マドレーヌちゃんが、笑顔になった。
 
「やったぁ~!」
 
マドレーヌちゃんは、うれしそうに、ピョンピョンはね上がってる。
本当に、これでいいのかな?
 
 

 
 
私は一人で満月荘に行った。
ピンポーン。
ガチャッと、ドアが開いた。
 
「ジュンブライト。」
 
「真莉亜。」
 
ジュンブライトは、私を中に入らせた。
 
「寝室で、キスしよう。」
 
「今はそんなんじゃないの。マドレーヌちゃんのことで来たの。」
 
「あいつか。ほっとけ。」
 
ほっとくわけにはいかないでしょ!?
マドレーヌちゃんは今、私の家にいるんだよっ!
ジュンブライトは、足を止めて、私の方を見つめた。
 
「なんだと?」
 
 

 
 
ジュンブライト、マドレーヌちゃんに、謝りたいんでしょ?
 
「ふん!謝りたくねぇよ!あのガキ、俺のホットケーキを、台無しにしたんだ!」
 
あんたがつくったのが、まずかったからだよ。
 
「マドレーヌは?」
 
マドレーヌちゃんは、道華と一緒に、家にいます。
 
「そう。」
 
リリアさん、しょんぼりしている。
そりゃそうだよ。マドレーヌちゃんが、いないんだもん。
 
「なんか、子供が一人、減ったような。」
 
「マドレーヌちゃんが、家出したんだよ。」
 
「え―っ!?あんなにいい子なのに!?」
 
「驚きすぎだろ。」
 
「俺、マドレーヌとけんかしたの、生まれて初めてだぜ。」
 
え!?そうなの!?
 
「王子は、王女様とけんかしたことが、一つもないのです。」
 
「仲良しこよしだな。」
 
「それと、マドレーヌをブッたのも。」
 
ジュンブライトが、自分の右手を、目を細くしながら、見つめている、
ジュンブライト・・・・・・。
 
「真莉亜ぁ~。キス、しよ~。」
 
そ、そんなこと言ったら、反応する人が・・・・・・。
 
「ヴァンパイア界の王子!真莉亜ちゃんの唇にキスしようなんて、ゆるさん!」
 
ほーら、いた。約一名。
 
「俺のストレス発散を、じゃますんな!」
 
「なんだとぉ!?」
 
「やんのかオラァ!」
 
「あんたらがけんかしてどーすんだい!」
 
「とーにーかーく!ジュンブライト、あなた、マドレーヌちゃんのために、ケーキを作ろうとしたんだね。」
 
「あぁ。」
 
「その気持ち、伝えてあげなよ。」
 
私は優しくほほえんだ。
 
「優しくほほえむ真莉亜ちゃんも、ステキだぁ!」
 
「口チャックしろ。」
 
「う~ん。」
 
ジュンブライトは、考えこんだ。
 
「よし。明日、決める。」
 
「今決めろや!」
 
 

 
 
夜。
私と道華は、ぐっすりねていた。
ガチャッ。
ん・・・・・・光が差しこんで来た。
 
「真莉亜お姉様。」
 
マドレーヌちゃん、どうしたの?
 
「一人でねるのがこわいから、一緒にねてもいいですか?」
 
いいよ。右側にねていいよ。
マドレーヌちゃんは、私の右側にねた。
かわいい寝顔。どっかの誰かさんと、そっくり。
 
「真莉亜お姉様のベッド、ふかふかですぅ。」
 
寝言、言ってる。
 
「ムニャ、ムニャ・・・・・・真莉亜お姉様のホットケーキ、早く食べたいですぅ。」
 
うふふふふ。
 
 

 
「マドレーヌ・・・・・・あがっ!」
 
「ムニャムニャ・・・・・・天パヤロー、真莉亜ちゃんは、渡さないぞぉ~。」
 
「こ、こいつぅ~。いつかこらしめてやるぅ~!あがっ!」
 
「うわーい。巨大なオムライス。こんなに食べきれないよぉ。」
 
「足じゃまっ!」
 
「ったく・・・・・・マドレーヌ・・・・・・。」
 
「『ん・・・・・・誰だ。こんな夜中に。』」
 
「『ジュンブライトお兄様。』」
 
「『マドレーヌ。どうしたんだ?』」
 
「『一人で寝るのがこわいから、一緒に寝てもいいですか?』」
 
「『あぁ。いいぜ。』」
 
「『・・・・・・ジュンブライトお兄様の胸、あったかいですぅ。』」
 
(ふっ。寝言、言ってらぁ。)
 
「『ムニャ、ムニャ・・・・・・ジュンブライトお兄様より、ギロお兄様の方が、かっこいいですぅ。』」
 
「『って、おい!』」
 
「・・・・・・。」
 
ガラッ。
 
「ん・・・・・・。」
 
「ジュンブライト様。」
 
「アキ、ソラ。どうしたんだ。」
 
「マドレーヌがいないから、こわくてねむれなくて。」
 
「一緒にねても、いいですか?」
 
「いいぜ。」
 
「わーい!」
 
「あ、こら!」
 
「ジュンブライト様の胸、あったかいわ~。」
 
「一生、このままでいたい♡」
 
「おめぇら、姉ちゃんのところに、ねてろ。」
 
 
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