ヴァンパイア♡ラブどっきゅ〜ん!

田口夏乃子

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第三十九話 「ネルさん、ウルフ一郎さんと、二人っきりになる」

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カラーン、カラーン、カラーン。
 
「おめでと―、ネル―!」
 
「ジュンブライト様、おしあわせに―!」
 
「アハハハハ。ネル・・・・・・。」
 
「なんですか、ジュンブライト様。」
 
「・・・・・・愛してるぞ。」
 
「あたしも。愛してますよ、ジュンブライト様♡」
 
「・・・・・・あれっ?ジュンブライト様、なぜここに?」
 
「なぜって、お前とオオカミヤローの結婚式だからだよ。」
 
「え・・・・・・。」
 
「ネル。」
 
「お、お前!」
 
「愛してるぞ。」
 
「い、いや―!」
 
「だ―っ!」
 
はぁ、はぁ、はぁ。夢かぁ。
ったく、なんであいつが出てくんだよ。
 
 

 
 
「ウルフ一郎さん!」
 
「どうしたの、真莉亜ちゃん。」
 
「私、妊娠したんです!」
 
「えぇ~!?俺様と真莉亜ちゃんの子供が、できたの~?」
 
「ちげ―よ。あたしとお前の子だ。」
 
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
 
「だ―っ!」
 
「はぁ、はぁ、はぁ。なんだ、夢かぁ。」
 
「ったく、なんであいつが出てくんだよ。」
 
 

 
 
最近、おかしいよなぁ。
夢の中で、あいつが出てくんだもん。
どうか、現実にならないで欲しい・・・・・・。
ん?あそこは、満月荘・・・・・・。
まてよ?満月荘があるってことは、ジュンブライト様に会えるぅ!
あたしは喜びながら、階段をかけあがった。
そして、ジュンブライト様がいる、お部屋の前に立った。
ピンポーン。
いるかな?いるかな?
ガチャ・・・・・・。
来た―っ!
って、あれ?ジュンブライト様じゃない。
黒いオオカミで、あたしより、背が高くて、黒いサングラスをかけていて、中途半端に、黒い学生服を開けている。
あ―っ!
 
「ウルフ一郎!」
 
「ネルじゃねぇか。」
 
「ジュンブライト様は!?」
 
「後で説明する。さぁ、中に入れ。冷たいお茶を用意してやる。」
 
え―っ!?
 
 

 
部屋に入ったあたしは、あたりをキョロキョロ見渡した。
誰もいない。人の気配もしない。
リリアもいないし、ギロもいないし、アキとソラもいないし、クリスもいないし、紅葉もいないし、道華もいないし、ルクトもいないし、テレサもいないし、マドレーヌもいないし、春間真莉亜もいない。
それに、あのジュンブライト様までいないじゃないか!
ったく、一体、どうしたんだろ。
 
「はい、どうぞ。」
 
ウルフ一郎が、テーブルに、冷たいお茶を、コトンと置いた。
ありがとう。
あたしは、お茶をゴクゴクと飲んだ。
 
「それより、今日はお前、一人なのか?」
 
「あぁ。」
 
ウルフ一郎が、うなずいた。
 
「なんでだ。」
 
「み―んな、北海道に旅行に行ったよ。」
 
旅行だとぉ~!?
 
「あぁ。紅葉が福引きで、北海道旅行券を当てたんだ。」
 
じゃあ、なんでお前は、行かなかったんだよ。
 
「旅行券が12枚しかなかったんだよ。みんなで話し合った結果、じゃんけんで負けたやつが、おるすばんするってなったのさ。」
 
「『じゃ―んけ―んぽんっ!』」
 
「『あっちむいてホイッ!』」
 
「『ちげ―よ!』」
 
「『めざましじゃ―んけ―ん、じゃ―んけ―んぽんっ!俺がグーを出したので、パーを出した方が勝ちです。』」
 
「『それはどっちでもいーわ!』」
 
「『先輩、ちゃんとやってください。』」
 
「『そうだよ。ふざけるのは、ほどほどにしな。』」
 
「『わかったよぉ。じゃ―んけ―んぽんっ!』」
 
「結果は・・・・・・。」
 
「『やったぁ!あたし、チョキ~!』」
 
「『私もチョキです~!』」
 
「『よっしゃあ!俺、勝ったぜ~!』」
 
「『というわけで、ウルフ一郎さんは、おるすばんねっ。』」
 
「『そ、そんなぁ~。』」
 
「・・・・・・というわけだ。」
 
「じゃんけん、弱いのか?」
 
「弱くねぇ―よ!はぁ、俺様、なんて不運な男なんだろう・・・・・・。もし、あの時、チョキを出していたら、真莉亜ちゃんの裸が、見られたのにぃ!」
 
ウルフ一郎は、滝のように、涙を流した。
変態か。
 
「お前に言われたくないわ、ボケ―ッ!」
 
「あんだろオラァ!」
 
それと、立ち直りが早いんだよぉ!
 
「はぁ。けんかをすると、イライラする。」
 
こっちもだよ。
ん?ちょっとまって。
リリア達は、何泊何日、北海道に泊まるんだ?
 
「二泊三日だ。」
 
ということは・・・・・・。
 
「リリア達が帰って来るまで、お前とあたしは、ここで二人っきりでいるのか!?」
 
「あぁ。そうだ。」
 
神様ぁ~!どうか、あたしを救ってください!
できれば、ジュンブライト様と、二人っきりになりたかったぁ!
よりによって、なんであの、オオカミヤローとなんか・・・・・・。
 
「ひゃ―っはっはっはっはっは!おもしれぇ、おもしれぇ!」
 
はぁ、もう、いやだ。
ここから、ぬけ出したい。
 
「おい、どこに行くんだ?」
 
ぎくぅ!
あたしは、ぶるぶるづるえながら、作り笑いを浮かべて、振り向いた。
 
「ちょっ・・・・・・ちょっとぉ、散歩に行こうかなぁ~?って・・・・・・・。」
 
「だめだ。お前、方向オンチだから、帰って来るのが、3日後になってしまう。」
 
むか―っ!こいつ、きりたい!」
 
「それに俺様、一人ぼっちだから、マジでさびしいんだよ。」
 
「じゃあ、そこらへんの犬と、話をすれば?」
 
「お前、ふざけてんのか!」
 
「ふざけてなんかねぇ!」
 
「うそつけ!」
 
「あんだとオラァ!」
 
あーあ。またけんかになっちまったじゃねぇか。
 
「・・・・・・。」
 
「・・・・・・。」
 
あたし達は、けんかをするのをやめた。」
すると、ウルフ一郎が、あたしのあごを、スッと上げた。
!?
顔、近っ!
 
「お前じゃねぇと、だめなんだ、ネル。」
 
・・・・・・!
 
「だから、ネル。この3日間、俺様のそばにいてくれ。」
 
恋愛ゲームみてぇなこと、言うなぁ!
 
「ったく、わかったよ。一緒にいればいいんだろ、一緒にいれば!」
 
「やったぁ~!」
 
ウルフ一郎が突然、あたしをぎゅっとだきしめた。
 
「ありがとう、ネル!お前、優しいところも、あるんだなぁ!」
 
ぐ、ぐるじ~い。
 
「あ、ごめん。」
 
ウルフ一郎は、あたしから、ぱっと離れた。
 
「それと、あたしはお前が、世界一大っっっっっ嫌いだっ!」
 
「俺様も!お前のことが、世界一大っっっっっ嫌いだっ!」
 
あ―、なんか、胸がムカムカする~。
 
 

 
グゥ~。
 
「ん?今、グゥ~って、鳴ってなかったか?」
 
な・・・・・・鳴ってねぇよ!
 
「顔、赤くなってるぞ。」
 
の、のぞきこむなっ!
グゥ~。
あ・・・・・・。
 
「ほーら、お前じゃねぇか。」
 
う、うるさいっ!
 
「どら、俺様がつくるか。」
 
ウルフ一郎が、スッと立ち上がった。
お前、つくれるのか!?
 
「あぁ。どっかの不器用王子と同じ、不器用じゃねぇからな。」
 
ジュンブライト様を、バカにするなぁ!
あたしは怒りとともに、立ち上がった。
 
「そんなに怒んなよぉ。なにをつくって欲しい?」
 
「カステラ。」
 
「カステラぁ?はっ、それは食後のデザートにしてくれよ。」
 
あたしはカステラしか食べないんだ。
 
「変わったやつだなぁ。」
 
ウルフ一郎は、しゃがみながら、冷蔵庫を開けた。
 
「え―っと、卵とベーコンと、コーンの缶詰を取り出してっと。」
 
ウルフ一郎が、卵と、ベーコンと、コーンの缶詰を、長い茶色のテーブルに置いた。
 
「玉ねぎもあるなぁ。あ、ねぎもあるぞ。」
 
ウルフ一郎は、玉ねぎとねぎを取り出し、テーブルの上に置いた。
 
「ご飯は・・・・・・ないじゃねぇか。ちっ、ルクトのやつ、米を炊いでから行けよ。よしっ!チャーハン絵尾つくるか!」
 
トン、トン、トン、トン、トン、トン。
ジュー、ジュー、ジュー。
す・・・・・・すげぇ。料理のうでまえ、うそじゃねぇ。本物だ。
まるで、サンジみてぇ~。
 
「さ、できたぞぉ。」
 
うわぁ。いいにおいだなぁ。
 
「さ、早く食べないと、冷めっちまうぞ。」
 
いちいちうるさいなぁ。
あたしは、チャーハンを、スプーンですくって、ぱくっと一口食べた。
 
「ん!?んん!?」
 
あたしは、それから、ばくばく食べた。
おいしい!こんなチャーハン、生まれて初めて食べたぜ!
 
「どうだ、おいしいだろ?」
 
「あぁ!うまい!お前、本当に料理がうまいんだな!」
 
「あぁ。弟達によく、つくってやってたからな。」
 
お前、兄弟がいるのか。
 
「あぁ。下に、かわいい弟が、二人いる。」
 
お前の場合、『下に、かわいい弟が、2匹いる。』だな。
 
「てめぇ、俺様をバカにすると、ロースにするぞ。」
 
やれるもんだったら、やってみな―。
 
「・・・・・・!」
 
ほーら、なにも言えない。
 
「ごちそうさまでした!」
 
「はえーなぁ。今日の晩飯、焼き肉にしようと思ってんだ。」
 
お前が食べたいだけだろ。
 
「けど、材料がなくって・・・・・・今から、一緒に買い出しに行くか?」
 
へっ?今、なんつった?
 
「だから、一緒に買い出しに行くかって。」
 
断る。
 
「え―っ!?」
 
そんなの、一人で行けよぉ。
 
「冷てぇなぁ。」
 
「あたしはこれから、刀を掃除するから、一人で行きな。」
 
あたしがそう言うと、ウルフ一郎は、後ろを振り向いた。
 
「あーあ。一緒に行ったら、カステラ、おごってやるのに。」
 
あ―!やっぱ、行くよ!
 
「よろしい。」
 
ウルフ一郎は、顔をニヤニヤさせた。
 
 

 
あたし達は、ラビットスーパーに行った。
 
「これも、これも!あと、これも!」
 
おい、こんなにいっぱい、食うのかよぉ。
 
「あったり前だぁ!天パヤローもいないし、今日は自由に、肉が食べられる!」
 
そこか。
 
「ねぇ、あの二人、夫婦みたいじゃない?」
 
!?
 
「あぁ、確かに。」
 
「だって、あんなに楽しそうに、お買い物をしてるんだもの。」
 
あたしのダーリンは、ジュンブライト様だぁぁぁぁぁぁ!
 
「おい、どうしたんだ?」
 
「あ、いや、なんでもないっ。」
 
「そうか。ほい。」
 
ウルフ一郎が、かごの中に、冷たいビールを入れた。
 
「たまには、二人で飲んだ方が、いいだろ?」
 
あぁ。そうだなぁ。
あたし達は、レジに行った。
 
「合計で、一万九千八百円です。」
 
「お前のせいだからなっ。」
 
「はい・・・・・・・・。」
 
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