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第四十六話 「ウルフ一郎さん、ペットになる?」
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「うわーい!」
「マドレーヌおばちゃん、遊ぼう!」
「いいですよぉ~。」
「キャハハハハハ!」
「お―い、遠くへ行くんじゃないぞぉ。」
「は―い!」
「ったく、本当にわかってんのかなぁ?」
シュッ。
「ふぅ~。ガキ達のめんどーは、大変だぜ。」
「モカ~。」
「ああん?」
「モカ~。」
「・・・・・・誰だ?お前。」
☆
今日は子供達は、ウルフ一郎さんと一緒に、菜の花広場に遊びに行ってますっ。
今頃、子供達は、なにしてるんだろ?
特に、道華はウルフ一郎さんを、困らせてないかなぁ?
ちょっと、そこらへんが心配・・・・・・。
「ただいまぁ。」
あれ?帰って来るのが早いねぇ。
一体、どうしたんだろ。
私達が玄関に行くと、道華とマドレーヌちゃんとアキちゃんとソラちゃんがいた。
あれ?もう一人、足りないような・・・・・・。
「オオカミヤローは?」
「まさか、置いて来たんじゃないでしょ―ね?」
「いいえ、ちがいますぅ!」
マドレーヌちゃんが、首を大きく振った。
「じゃあ、最初から最後まで、説明してくださいますか?」
ルクトさんが優しく言うと、道華が口を動かした。
「実は、ウルフ一郎がいなくなったの!」
「え~!?」
私達は、大きな声で驚いた。
それって、本当!?
「ほんとだよぉ!のどがかわいたから、ジュースを買ってもらおうと、ウルフ一郎にたのもうとしたの!」
「そしたら、今までベンチにすわってたのに、急にいなくなったの!」
「どうやら、子供達が言っていることは、本当だねぇ。」
・・・・・・はい。
ウルフ一郎さん、まさか、誘拐されたんじゃないでしょうか。
「確かに!そう思うわ!」
「けど、誰に?」
・・・・・・わかりません。
「あだ―っ!」
ジュンブライト達は、お笑い劇のように、コケた。
「じゃあ、なんで誘拐されたと言い張るんだよっ!」
だって、そーゆー気があるじゃん!
「とにかくみなさん、ウルフ一郎様を探しましょう!」
「はい!」 「えぇ!」 「おう!」 「うん!」
☆
結局、ウルフ一郎さんは、なかなか見つからなかった。
「真莉亜~!」
ジュンブライトが、私のところへ走って来た。
「見つかった!?」
ジュンブライトは、「ううん。」と首を振った。
「あいつがいそうなところに行ったけど、全然いなかった。」
そう・・・・・・。
「もうちょっと、向こうを探す?」
・・・・・・そうするしかないね。
「じゃあ、行こう!」
うん!
私とジュンブライトと道華が向こうに行こうとした、その時!
「あら、真莉亜様。そこでなにしてらっしゃるの?」
その声は・・・・・・。
「比奈多さん!」
「ぐ―然ですわねぇ。それに、潤様も♡ところで、なにしてらっしゃるの?探し物?」
実はぁ・・・・・・。
私は比奈多さんに、ウルフ一郎さんのことを話した。
「そうねぇ。あの犬さんが誘拐されたとはねぇ。」
「そいつ、オオカミだって。」
「なにか、心当たり、ありますか?」
「心当たりねぇ~。う~ん・・・・・・あ―!」
いきなり、比奈多さんがさけび声を上げた。
「なにか、心当たりがあんのか!?」
「ありますわよ!」
「じゃあ、教えて!」
「わかりましたから、落ち着いてください。真莉亜様のお友達は・・・・・・。」
私達は、ごくりとつばを飲んだ。
「実は、くるみの家にいるんです!」
「え~!?」
「くるみって、誰?」
あぁ。道華は知らなかったね。
ここで、くるみちゃんを知らない人のために、くるみちゃんについて、説明します。
くるみちゃんは、比奈多さんのいとこで、5歳。
お父さんが日本を代表する振付師、花本博志で、お母さんが大物女優の花本薫という、家系がものすごくキラキラしてるんです!
くるみちゃんは、一回、マドレーヌちゃんのことをバカにしてたけど、なんだかんだで、最終的には、マドレーヌちゃんのことを「円花先輩。」と呼ぶようになったんだ。
「へぇー。」
「で、なんでオオカミヤローが、くるみんちにいるんだ?」
「くるみが、菜の花広場で拾って来たって言ってましたわよ。あの子、動物がものすごく大好きで、そこらへんの飼い犬とか、野良犬とか、野良猫とか、飼い猫を拾って、家に持って帰るんです。昨日はすごかったんですよ~。ワニを持って帰ったんですよ、ワニを!」
くるみちゃんって、そんな子だったっけ?
「人んちのペットも拾うんだぁ。」
「えぇ。」
比奈多さんは、うなずいた。
「情報、ありがとう!じゃあ、紅葉達に電話するねっ。」
私は比奈多さんに手を振りながら、向こうへと走って行った。
☆
う、う~ん。ここはどこだ?
白いたんすに、じゅうたんはピンクのハートの形で、かわいいくまのぬいぐるみとうさぎのぬいぐるみがあって、お姫様ベッドがある。
ここ、誰の部屋だ?
真莉亜ちゃんの部屋でもないし・・・・・・。
ひょっとして、マドレーヌの部屋か?
いやいや、紅葉の部屋かもしれないぜ。
もうちょっと考えてみたら、クリスかもしれない。
てか、幼児的にいえば、アキかソラかな?
ていうか、満月荘にそ―ゆ―部屋をつくるスペース、なかったような気がするが・・・・・・。
俺様、確か、菜の花広場にいたよな?
で、なぞの女の子から「モカ」という、やな名前で呼ばれて・・・・・・。そこしか、覚えてねぇ。
ガチャッ。
ドアがいきなり開いた。
誰か来る!
「モカ~。」
・・・・・・誰だ?こいつ。
「モカ、元気?」
俺様はモカじゃねぇ!ウルフ一郎だ!
背がちっさくて、頭にでっかいピンクのリボンをつけていて、目はくりくりしている、お嬢様らしい女の子。
「お前は誰だ!」
俺様が怒鳴ると、女の子は急に「うわ~ん!」と泣き出した。
「おい、どうした!?」
「うわ~ん!モカがこわいよぉ~!」
俺様はモカじゃねぇ―って、言ってんだろ―!
「くるみ~。うるさいわよぉ~。」
下から女の人の声が聞こえた。
「ひくっ、ひくっ、ひくっ。」
女の子は泣きやんだ。
「ところで、お前は誰なんだ。」
「私は花本くるみ。5歳。」
かわいいな。
「俺様はウルフ一郎。よろしく。」
「変な名前。」
変って言うな、変って!俺様の母ちゃんが付けてくれた名前なんだぞ!?
「ところで、なんで俺様をここに連れて来たんだ?」
「ん?すいみん薬でねむらせて、大きな袋に入れて来たの。」
5歳児がすいみん薬を使うか、ふつ―。
「あと、お願いがあってぇ。」
お願い?
なんか、いやーな感じがするぞぉ~。
「私のペットになって!」
ペッ、ペットだとぉ~!?
そんなの無理!できん!
「え~?ペットになってよ~。私、ペットが欲しかったからぁ。」
俺様を動物扱いするなっ!
「ねぇ、おねが―い。」
だめだ!
「俺様には、やりたいことがあるんだ!」
「やりたいこと?」
くるみが首をかしげた。
あぁ。やりたいこととは・・・・・・。真莉亜ちゅわんと結婚して、しあわせな家庭をつくることだよ―ん♡
パリパリパリ。
話聞いてんのかてめぇ!
「だらしないやりたいことねぇ。」
こ、こいつ、むかつくぅ~!
俺様はむかついて、たばこを吸おうとした、その時。
「あ―!犬のくせにたばこを吸わないの!」
くるみがたばこを取り上げた。
な、なにすんだよぉ!
「たばこを吸ったら、私の部屋が、たばこくさくなるわぁ。」
ちっ。むかつくぜ!
「それと、サングラスも。」
くるみが今度は、サングラスを取り上げた。
あ―!それは、俺様の宝物なんだよ!
「サングラスをかけたら、悪い犬に思われるわぁ。」
俺様は犬じゃねぇ!オオカミだっ!
ったく、誰か助けに来てぇ~。真莉亜ちゅわ~ん♡
☆
「マドレーヌおばちゃん、遊ぼう!」
「いいですよぉ~。」
「キャハハハハハ!」
「お―い、遠くへ行くんじゃないぞぉ。」
「は―い!」
「ったく、本当にわかってんのかなぁ?」
シュッ。
「ふぅ~。ガキ達のめんどーは、大変だぜ。」
「モカ~。」
「ああん?」
「モカ~。」
「・・・・・・誰だ?お前。」
☆
今日は子供達は、ウルフ一郎さんと一緒に、菜の花広場に遊びに行ってますっ。
今頃、子供達は、なにしてるんだろ?
特に、道華はウルフ一郎さんを、困らせてないかなぁ?
ちょっと、そこらへんが心配・・・・・・。
「ただいまぁ。」
あれ?帰って来るのが早いねぇ。
一体、どうしたんだろ。
私達が玄関に行くと、道華とマドレーヌちゃんとアキちゃんとソラちゃんがいた。
あれ?もう一人、足りないような・・・・・・。
「オオカミヤローは?」
「まさか、置いて来たんじゃないでしょ―ね?」
「いいえ、ちがいますぅ!」
マドレーヌちゃんが、首を大きく振った。
「じゃあ、最初から最後まで、説明してくださいますか?」
ルクトさんが優しく言うと、道華が口を動かした。
「実は、ウルフ一郎がいなくなったの!」
「え~!?」
私達は、大きな声で驚いた。
それって、本当!?
「ほんとだよぉ!のどがかわいたから、ジュースを買ってもらおうと、ウルフ一郎にたのもうとしたの!」
「そしたら、今までベンチにすわってたのに、急にいなくなったの!」
「どうやら、子供達が言っていることは、本当だねぇ。」
・・・・・・はい。
ウルフ一郎さん、まさか、誘拐されたんじゃないでしょうか。
「確かに!そう思うわ!」
「けど、誰に?」
・・・・・・わかりません。
「あだ―っ!」
ジュンブライト達は、お笑い劇のように、コケた。
「じゃあ、なんで誘拐されたと言い張るんだよっ!」
だって、そーゆー気があるじゃん!
「とにかくみなさん、ウルフ一郎様を探しましょう!」
「はい!」 「えぇ!」 「おう!」 「うん!」
☆
結局、ウルフ一郎さんは、なかなか見つからなかった。
「真莉亜~!」
ジュンブライトが、私のところへ走って来た。
「見つかった!?」
ジュンブライトは、「ううん。」と首を振った。
「あいつがいそうなところに行ったけど、全然いなかった。」
そう・・・・・・。
「もうちょっと、向こうを探す?」
・・・・・・そうするしかないね。
「じゃあ、行こう!」
うん!
私とジュンブライトと道華が向こうに行こうとした、その時!
「あら、真莉亜様。そこでなにしてらっしゃるの?」
その声は・・・・・・。
「比奈多さん!」
「ぐ―然ですわねぇ。それに、潤様も♡ところで、なにしてらっしゃるの?探し物?」
実はぁ・・・・・・。
私は比奈多さんに、ウルフ一郎さんのことを話した。
「そうねぇ。あの犬さんが誘拐されたとはねぇ。」
「そいつ、オオカミだって。」
「なにか、心当たり、ありますか?」
「心当たりねぇ~。う~ん・・・・・・あ―!」
いきなり、比奈多さんがさけび声を上げた。
「なにか、心当たりがあんのか!?」
「ありますわよ!」
「じゃあ、教えて!」
「わかりましたから、落ち着いてください。真莉亜様のお友達は・・・・・・。」
私達は、ごくりとつばを飲んだ。
「実は、くるみの家にいるんです!」
「え~!?」
「くるみって、誰?」
あぁ。道華は知らなかったね。
ここで、くるみちゃんを知らない人のために、くるみちゃんについて、説明します。
くるみちゃんは、比奈多さんのいとこで、5歳。
お父さんが日本を代表する振付師、花本博志で、お母さんが大物女優の花本薫という、家系がものすごくキラキラしてるんです!
くるみちゃんは、一回、マドレーヌちゃんのことをバカにしてたけど、なんだかんだで、最終的には、マドレーヌちゃんのことを「円花先輩。」と呼ぶようになったんだ。
「へぇー。」
「で、なんでオオカミヤローが、くるみんちにいるんだ?」
「くるみが、菜の花広場で拾って来たって言ってましたわよ。あの子、動物がものすごく大好きで、そこらへんの飼い犬とか、野良犬とか、野良猫とか、飼い猫を拾って、家に持って帰るんです。昨日はすごかったんですよ~。ワニを持って帰ったんですよ、ワニを!」
くるみちゃんって、そんな子だったっけ?
「人んちのペットも拾うんだぁ。」
「えぇ。」
比奈多さんは、うなずいた。
「情報、ありがとう!じゃあ、紅葉達に電話するねっ。」
私は比奈多さんに手を振りながら、向こうへと走って行った。
☆
う、う~ん。ここはどこだ?
白いたんすに、じゅうたんはピンクのハートの形で、かわいいくまのぬいぐるみとうさぎのぬいぐるみがあって、お姫様ベッドがある。
ここ、誰の部屋だ?
真莉亜ちゃんの部屋でもないし・・・・・・。
ひょっとして、マドレーヌの部屋か?
いやいや、紅葉の部屋かもしれないぜ。
もうちょっと考えてみたら、クリスかもしれない。
てか、幼児的にいえば、アキかソラかな?
ていうか、満月荘にそ―ゆ―部屋をつくるスペース、なかったような気がするが・・・・・・。
俺様、確か、菜の花広場にいたよな?
で、なぞの女の子から「モカ」という、やな名前で呼ばれて・・・・・・。そこしか、覚えてねぇ。
ガチャッ。
ドアがいきなり開いた。
誰か来る!
「モカ~。」
・・・・・・誰だ?こいつ。
「モカ、元気?」
俺様はモカじゃねぇ!ウルフ一郎だ!
背がちっさくて、頭にでっかいピンクのリボンをつけていて、目はくりくりしている、お嬢様らしい女の子。
「お前は誰だ!」
俺様が怒鳴ると、女の子は急に「うわ~ん!」と泣き出した。
「おい、どうした!?」
「うわ~ん!モカがこわいよぉ~!」
俺様はモカじゃねぇ―って、言ってんだろ―!
「くるみ~。うるさいわよぉ~。」
下から女の人の声が聞こえた。
「ひくっ、ひくっ、ひくっ。」
女の子は泣きやんだ。
「ところで、お前は誰なんだ。」
「私は花本くるみ。5歳。」
かわいいな。
「俺様はウルフ一郎。よろしく。」
「変な名前。」
変って言うな、変って!俺様の母ちゃんが付けてくれた名前なんだぞ!?
「ところで、なんで俺様をここに連れて来たんだ?」
「ん?すいみん薬でねむらせて、大きな袋に入れて来たの。」
5歳児がすいみん薬を使うか、ふつ―。
「あと、お願いがあってぇ。」
お願い?
なんか、いやーな感じがするぞぉ~。
「私のペットになって!」
ペッ、ペットだとぉ~!?
そんなの無理!できん!
「え~?ペットになってよ~。私、ペットが欲しかったからぁ。」
俺様を動物扱いするなっ!
「ねぇ、おねが―い。」
だめだ!
「俺様には、やりたいことがあるんだ!」
「やりたいこと?」
くるみが首をかしげた。
あぁ。やりたいこととは・・・・・・。真莉亜ちゅわんと結婚して、しあわせな家庭をつくることだよ―ん♡
パリパリパリ。
話聞いてんのかてめぇ!
「だらしないやりたいことねぇ。」
こ、こいつ、むかつくぅ~!
俺様はむかついて、たばこを吸おうとした、その時。
「あ―!犬のくせにたばこを吸わないの!」
くるみがたばこを取り上げた。
な、なにすんだよぉ!
「たばこを吸ったら、私の部屋が、たばこくさくなるわぁ。」
ちっ。むかつくぜ!
「それと、サングラスも。」
くるみが今度は、サングラスを取り上げた。
あ―!それは、俺様の宝物なんだよ!
「サングラスをかけたら、悪い犬に思われるわぁ。」
俺様は犬じゃねぇ!オオカミだっ!
ったく、誰か助けに来てぇ~。真莉亜ちゅわ~ん♡
☆
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