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特別編 「ウルフ一郎が主役!真莉亜と会う1か月前に起きた話!」

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ふぁ~。おはよう、母ちゃん。
ん?どうしたんだ?母ちゃん。口をポカーンと開けたまんま、つっ立って。

「ウルフ一郎!あれを見な!」

母ちゃんがびしっと指をさした。
ん?んん!?なんじゃありゃあ!
家の庭が、青くなってるぅ!
一体、どーゆーことだ!

「ウルフ一郎兄貴ぃ~。」

「なにがあったんッスか~?」

ウルフ次郎!ウルフ三郎!

「うわ!家の庭が!」

「どーなってんだ、これ!」

知らねぇ。
きっと、誰かのしわざだよ。

「誰かのしわざって?」

な、母ちゃん。目がこわいよ。

「兄貴!門!」

へっ?
あ……。

「門になにか書いてある!」

ん?どれどれ?

<かあちゃんのぶあか!!ばーい うるふいちろー うるふじろー うるふさぶろー>

「あ……。」

俺様達、こんな落書き、してねぇよ!
ちっ、またハメられたか……。

「おい、お前達。」

「ひぃ!」

「かかかかか母ちゃん!」

「あんたら、よくも大切な家に、こーんな落書きをしたな!そんなの、ガキんちょ以下だよ!」

うわぁ。両手をポキポキと鳴らして、怒ってるよぉ。

「母ちゃん!俺様達は、悪くないよ!」

「そうだよ!」

「こんな子供だましのいたずらなんか……。」

「うおりゃあああああ!」

「ひぃ!」

母ちゃんが、片手で俺様達を持ち上げて、門へと向かって走った。
ひぃぃぃぃぃぃ!
母ちゃん、降ろしてぇ~!

「ゆるさん!おりゃあ~!」

ドッ!

「うわぁ~!」

俺様達は、家を追い出された。
おい、大丈夫か!?

「はい。なんとか。」

すると、母ちゃんが俺様達を見て、にらんでいるのに気付いた。

「あんたらはもう、あたしの子供じゃないよっ!」

そう言って、母ちゃんは、門を強く閉めた。
そ、そんなぁ~。がくっ。


                                  ☆


「おい!たばこの火を付けろ!」

「は、はい~!」

ウルフ次郎が、たばこに火を付けた。
おぉ、サンキュー。

「ふー。おい!もう一回、付けろ!」

「兄貴ぃ、もうそれぐらいでいいじゃないですか?」

「お体に悪いですし。」

うるせぇ!ストレスがたまってんだよ、ストレスが!
早く付けろ!

「はいはい。」

ウルフ次郎は、たばこにまた火を付けた。

「ふー。」

「ん?あれ、オオカミ三兄弟じゃねぇか?」

「あぁ。最近、また悪さをしてるとか、うわさの。」

「近づかないようにしようぜっ。」
 
「おう!」

あーあ。うわさになってらぁ。
俺様は壁に、パンチをした。
ちっくしょー!俺様達の帰るところが、なくなったんじゃねぇか!

「兄貴!落ち着いて!」

「そうですよ。これからは、三人で暮らしましょう。」

いやだいやだ!
このままじゃ、死んでしまうぜ……。

「あのう。」

ん?今、声がしたか?
後ろを振り返ると……。
あ!昨日のガキんちょ!

「兄貴、知り合いッスか?」

あぁ。ちょっとな。

「なにしに来た。」

「そのぉ、昨日の話なんですけどぉ……。」

昨日の話?
俺様は、首をかしげた。

「実は僕、ちがうオオカミ三兄弟にいじめられたんです。」

ちがうオオカミ三兄弟にぃ!?

「えぇ。いじめられた後、こう言われたんです。「親父に言え。ウルフ一郎にやられたってな、ガハハハハハ~!」って。」

「ま、まさか!」

「あぁ。ウル男さん達だ。」

「やっぱり!ウルフ一郎兄貴、大当たりッスね!」

ん?ちょっとまてよ?
じゃあ、コーヒーにマスタードを入れたり、花屋の花の花びらを取ったり、こぶたちゃん達ひ悪口を書いた手紙を送ったり、俺様んちの家の庭と門に、落書きをしたのは……ウル男さん達?

「……みたいッスね。」

ゆるせねぇ、絶っっっっっっ対、ゆるせねぇ!
俺様の怒りがこみ上げてきた。
あいつらめぇ~!

「ありがとう、ガキんちょ!俺様、あの三人をやっつけに行くから!」

俺様は、三人のところへ行こうとした。

「ちょっ……兄貴!一人で行くんッスか!」

あったりめぇだぁ!
あいつらをぶったおすのは、どうやら、俺様だけらしいからなぁ。
俺様は、向こうへ走って行った。

「兄貴……。」

「俺様達も行くぞ!」

「おう!」


                             ☆
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