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○僕とお家訪問
◆79
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僕達はありさんの後を無言でテクテクと歩いて行きました。
時折聞こえる木々のザワザワとした騒めきと、僕達の草や土を踏みしめる音と、ぴょん太がふよふよと浮いて歩いている音……。
それだけが唯一の音です。
──……う?
僕はじーっとぴょん太を見ました。
「ぴょん太の歩き方、どくとく? でしゅね」
そうなのです!
ぴょん太は土の上を歩いているように見せかけて、実際は歩いていないのです!
よーくよぉーく、目を細めて見たら浮いているんですよ!
でも、浮いているのがバレないようにか、可愛い足をチョコチョコって動かしているのです。
それがまた可愛いのです!
でも、それをまた言うとエリーナが『自分の方が可愛い!』と言うのが分かりましたから、僕は極力エリーナがいる前ではぴょん太が可愛い!と言わないように気をつける事にしました。
困った事にエリーナは手がかかる侍女なのです。
「あら? もしかして坊っちゃま、私の事を何か考えていらっしゃいますか?」
「ふぇっ!?
ぼくがエリーナの事を、でしゅか!?」
『お前は相変わらず、図々しい事を言うな』
「何ピョンタ? もしかして嫉妬かしら?」
『はぁあ?』
おかしいですね。
僕、ぴょん太の事を可愛いと言っていないのに、何故かエリーナとぴょん太が言い合いを始めましたよ。不思議です……。
「むー! ぴょん太もエリーナも今日はけんかばかりでしゅ!
そんなけんかばかりしていたら、ありしゃんも気分がわりゅくなりゅでしゅよ!
けんかをやめにゃいのなら、二人は連れて行きましぇん!」
折角ありさんがお家に呼んでくれたのに、喧嘩ばかりするなんてありさんの気分も悪くなってしまいます。
ありさんは優しいから、二人が喧嘩しても何も言いませんが、だからってそれを許容するのは違います。
だからここは僕がビシッと言わなくてはいけないのです。
『ユーリ様、申し訳ございません』
「坊っちゃま、すみません」
シュンッてしてたって僕は誤魔化されませんからね!という気持ちを込めて、ジロッと厳しい目を二人に向けます。
「本当に分かってりゅのでしゅか?」
『もちろんです』
「はい……」
「今日は二人ともこれ以上言い合いは駄目でしゅよ。
僕とのお約束でしゅ。守れましゅか?」
「はいっ!」
『もちろんですっ!』
僕は二人にお説教をするマティアスのように、キリッ!としたお顔で言いました。
するとどこからかくぐもった、笑い声?のようなものが聞こえます。
──んにゅ?
どこから聞こえるのでしょうか?
『きさまっ! 何がおかしいっ!』
「そうよ! 何笑っているのよっ!」
何故かぴょん太とエリーナが怒ってます。
どうやら二人が言い争っているのではなく、何かに怒っているようです。
うむむ。困りました。
これは二人の喧嘩ではないので、僕との約束は守ってます……。
でも、二人ともぷんぷん!って感じで怒ってます。
こんなに怒ってたら、僕との約束は意味がないのです……。
「誰が笑ってりゅでしゅ?」
だから僕は原因を突き止める事にしました。
そうすれば、二人の気持ちも少しは治るかと思うのです。
『ユーリ様ぁ。カショウが私の事馬鹿にして笑ってるのです。酷いのです……』
「そうなのです! 坊っちゃま! カショウは私の事も馬鹿にしています!」
な、なんと!?
カショウが犯人でしたか!
「すみませんっ。お二人の事を笑っていたのではないのです。
ただ、お二人に説教をしている坊っちゃまがお可愛らしくてつい……」
『ふむ……。それならば仕方ない。許そう』
「そうね。坊っちゃまの可愛らしさには誰も抗えないから、仕方ないわね」
ふええっ!?
さっきまでカショウに怒っていたのに、なんで納得出来るのですか!?
それに言っている事がおかしいですよ。
言い争いもなくなって落ち着いたのは良い事ですが、僕は納得出来ません。
なんかモヤモヤです。
──モヤモヤモヤー!!
時折聞こえる木々のザワザワとした騒めきと、僕達の草や土を踏みしめる音と、ぴょん太がふよふよと浮いて歩いている音……。
それだけが唯一の音です。
──……う?
僕はじーっとぴょん太を見ました。
「ぴょん太の歩き方、どくとく? でしゅね」
そうなのです!
ぴょん太は土の上を歩いているように見せかけて、実際は歩いていないのです!
よーくよぉーく、目を細めて見たら浮いているんですよ!
でも、浮いているのがバレないようにか、可愛い足をチョコチョコって動かしているのです。
それがまた可愛いのです!
でも、それをまた言うとエリーナが『自分の方が可愛い!』と言うのが分かりましたから、僕は極力エリーナがいる前ではぴょん太が可愛い!と言わないように気をつける事にしました。
困った事にエリーナは手がかかる侍女なのです。
「あら? もしかして坊っちゃま、私の事を何か考えていらっしゃいますか?」
「ふぇっ!?
ぼくがエリーナの事を、でしゅか!?」
『お前は相変わらず、図々しい事を言うな』
「何ピョンタ? もしかして嫉妬かしら?」
『はぁあ?』
おかしいですね。
僕、ぴょん太の事を可愛いと言っていないのに、何故かエリーナとぴょん太が言い合いを始めましたよ。不思議です……。
「むー! ぴょん太もエリーナも今日はけんかばかりでしゅ!
そんなけんかばかりしていたら、ありしゃんも気分がわりゅくなりゅでしゅよ!
けんかをやめにゃいのなら、二人は連れて行きましぇん!」
折角ありさんがお家に呼んでくれたのに、喧嘩ばかりするなんてありさんの気分も悪くなってしまいます。
ありさんは優しいから、二人が喧嘩しても何も言いませんが、だからってそれを許容するのは違います。
だからここは僕がビシッと言わなくてはいけないのです。
『ユーリ様、申し訳ございません』
「坊っちゃま、すみません」
シュンッてしてたって僕は誤魔化されませんからね!という気持ちを込めて、ジロッと厳しい目を二人に向けます。
「本当に分かってりゅのでしゅか?」
『もちろんです』
「はい……」
「今日は二人ともこれ以上言い合いは駄目でしゅよ。
僕とのお約束でしゅ。守れましゅか?」
「はいっ!」
『もちろんですっ!』
僕は二人にお説教をするマティアスのように、キリッ!としたお顔で言いました。
するとどこからかくぐもった、笑い声?のようなものが聞こえます。
──んにゅ?
どこから聞こえるのでしょうか?
『きさまっ! 何がおかしいっ!』
「そうよ! 何笑っているのよっ!」
何故かぴょん太とエリーナが怒ってます。
どうやら二人が言い争っているのではなく、何かに怒っているようです。
うむむ。困りました。
これは二人の喧嘩ではないので、僕との約束は守ってます……。
でも、二人ともぷんぷん!って感じで怒ってます。
こんなに怒ってたら、僕との約束は意味がないのです……。
「誰が笑ってりゅでしゅ?」
だから僕は原因を突き止める事にしました。
そうすれば、二人の気持ちも少しは治るかと思うのです。
『ユーリ様ぁ。カショウが私の事馬鹿にして笑ってるのです。酷いのです……』
「そうなのです! 坊っちゃま! カショウは私の事も馬鹿にしています!」
な、なんと!?
カショウが犯人でしたか!
「すみませんっ。お二人の事を笑っていたのではないのです。
ただ、お二人に説教をしている坊っちゃまがお可愛らしくてつい……」
『ふむ……。それならば仕方ない。許そう』
「そうね。坊っちゃまの可愛らしさには誰も抗えないから、仕方ないわね」
ふええっ!?
さっきまでカショウに怒っていたのに、なんで納得出来るのですか!?
それに言っている事がおかしいですよ。
言い争いもなくなって落ち着いたのは良い事ですが、僕は納得出来ません。
なんかモヤモヤです。
──モヤモヤモヤー!!
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