2 / 22
2
しおりを挟む
夜中、自分を起こす母の声で目覚める。
「どうかしたの?」
目を擦りながら母の顔を見つめる。
その顔が嬉々としているのが、夜目でも解る。
まさか……、と心に過ぎった考えに身震いする。
(お願い。
今、考えた事が現実ではないように)
心の中で祈る言葉に一瞬、自分がどれだけこの家に馴染んでいるのか解った。
最初、自分の存在はただこの家に寄生する。
それだけの筈だった……。
だけどこの4年間の間で私は今まで味わった事の無い「平穏」を知った。
穏やかで優しい義父。
自分の事を本当の姉の様に慕う綺麗で可愛い義妹。
今まで知らなかった幸せ。
マトモな環境。
朝、起きて家族団欒で朝ごはんを食べて、学校に行って。
真面目に勉学に励んで、友達とのたわいの無い会話をし、帰宅したら、母が家に居て、夕ご飯が準備されていて……。
ずっと心の底から望んでいた生活。
平凡で、でも愛しい。
そんな幸せをこの母は潰そうとしている。
「……、まさか、ここから出て行くつもりなの?」
自然と声が低くなる。
普段の私とは思えない言動に母が厭らしく口角を上げる。
ねっとりと笑う独特な表情に、自分の考えが現実なんだと悟った。
「何時までも家族ごっこなんて性に合うわけないでしょう?
この私が。
今まで、何故、あんな冴えない男の妻に納まっていたか、あんたには解るでしょう?」
吐き捨てるように私の耳元で囁く言葉に、私は心の中で舌打ちをしていた。
知りたくも無いと思う。
でも、咄嗟に浮かぶ考えがこの母と同じ血が流れていると訴えている。
どう足掻いても私は所詮、この母と同じ穴のムジナなんだ……。
「……」
「よくこの4年間、私は我慢してきたと我ながら感心するわ。
貞淑な妻を演じるのにどれだけ骨を折ったか、あんたには解るでしょう?
あんただってよくもまあ、優等生な学生を演じて。
登校拒否を繰り返し、根暗で生意気で可愛げのないあんたが今では成績優秀な生徒ですって。
担任にあんたの事を褒められた時、私は腹の中で笑いを堪えるのに必死だった。
私の血を引くあんたが、普通に育つとは。
何時かあんたも本性に目覚めて、男を誑かす様になるのさ。
この私の様に……」
「やめて!」
「ふふん。
否定してもどうにもならないのよ。
さああ、早く着替えて出て行くのよ。
上手い具合にあのお人よしは今日は帰ってこない。
瞳もぐっすり眠っている。
それにもう、私はあの男の妻でもないんだから……」
最後の母の言葉に目を見開く。
唇が震える。
考えたくも無い言葉が唇から出そうになっている。
「……、ま、まさか離婚したの?」
私の言葉に母が目を細める。
「勝手に離婚届を出したのよ。
この家の財産は全て、私の新しい生活の為に頂いたわ。
株を売っぱらって貯金を店を開くための資金に回したの。
最初、あの男と籍を入れる時、婚姻届と一緒に離婚届も書かせたの。
もし、あんたの身に何かあった時、私はあんたの尻拭いはしたくないからやばくなる前に離婚するのが前提だと言ったら書いてくれたわ。
ホント、お人よしにも程がある。
だから会社が傾いていくんだよ、馬鹿が……」
散々義父をコケにする母に、私は一片の愛情も感じない。
どうしてこうも勝手な考えを持って生きることが出来るんだろう。
人のモノをいとも簡単に奪い去り我が物にする。
それが当たり前と言う傲慢な考え。
人として欠落している母に不意に涙が出そうになる。
「さああ、ぐずぐずしないのよ。
ほら、さっさと着替えて出て行くよ。
新しい場所で新しい生活が待っている。
ああ、やっとあの煌びやかな生活に戻るのよ。
今度は私が雇う側。
ふふふ、上手くやるわ。
店の売り上げを伸ばすために、ホステスを見繕って。
あんたにも協力して貰うわよ。
帳簿は任せたから。
金の管理はきっちりして貰うから」
今後の人生が既に決められている。
この母について行ったら、今度は私が食い物にされてしまう。
娘と言っても母の目にはそう映っていない。
利用できるかどうか。
私の存在意義はそれだけ……。
このまま一緒に行くべきなのだろうか?
離婚をしたと言った。
もう自分にはこの家にいる権利など無い。
だけど……。
一瞬、義父のあの穏やかで優しい笑みが浮かんだ。
お人よしだと馬鹿にする母の言葉通り、義父は本当に慈愛に満ちていた。
困っている人に手を差し伸べ、従業員の借金を知れば無担保でお金を貸す。
そんな義父に私は人として大切な事を学んだ。
出来ればずっと側に居たい。
許されるのなら……。
躊躇う私に母が、一瞬くつりと笑う。
「あんた、まさかあのお人よしに情が移ったと言う訳?
平凡な人生をあんたは望むの?
こんな刺激の無い、面白みの無い生活を!」
「……、そんな事を言わないで」
「美夜」
「平凡で何が悪いの?
お人よしで何が悪いの!
この生活が何処が悪いって言うの!」
「美夜?」
「私は行かない!
このままずっとこの家にいる。
お母さんが離婚したって、私はついて行かない。
お義父さんもきっと許してくれる。
私がこの家に留まる事を。
あの人はそんな人だから……」
「……、あのお人よしに惚れてるって訳?
ああ、あんたも一人前の女だね。
一端の口で言ってもあんたは女の顔をして私に言ってる。
ははん、私がこの家を出て行く事を心から喜んでいるんだろう?
あの男を私から奪える事が出来るんだからさっ!」
母の言っている言葉に言葉が出ない。
ああ、なんて低俗なんだろう……。
娘に対してそんな言葉がよくも出る。
つと涙が出た。
どうしてこんな人を後妻に迎えたの?
どうしてこんな女の娘を実の娘の様に愛情を注いでくれるの?
「ああ、そうかい。
残って苦労を味わえばいいさ……。
この先、この家にあるのは何千万と言う借金だけ。
財産なんて何もありゃしない。
それでもあんたは残るんだね」
「……」
「馬鹿な美夜。
ホント、もっと賢いと思ったら馬鹿な娘……」
げらげらと笑いながら部屋を出て行く。
ぱたんと閉まるドアの音。
これが母との最後になると思っていた。
数年後、再会するまでは。
この先、母が言う様にこの家に不幸が襲ってくる。
だけど、どうしてだろう…。
それでも母についていかなかった自分を愚かとは思わない。
何か、大切なものを守ったとこの時そう思った。
この先、哀しい別れがやってくる……。
そう遠くない無い未来に。
あの穏やかで優しい義父との別れが近づいている事を今の私は知る由も無かった。
「どうかしたの?」
目を擦りながら母の顔を見つめる。
その顔が嬉々としているのが、夜目でも解る。
まさか……、と心に過ぎった考えに身震いする。
(お願い。
今、考えた事が現実ではないように)
心の中で祈る言葉に一瞬、自分がどれだけこの家に馴染んでいるのか解った。
最初、自分の存在はただこの家に寄生する。
それだけの筈だった……。
だけどこの4年間の間で私は今まで味わった事の無い「平穏」を知った。
穏やかで優しい義父。
自分の事を本当の姉の様に慕う綺麗で可愛い義妹。
今まで知らなかった幸せ。
マトモな環境。
朝、起きて家族団欒で朝ごはんを食べて、学校に行って。
真面目に勉学に励んで、友達とのたわいの無い会話をし、帰宅したら、母が家に居て、夕ご飯が準備されていて……。
ずっと心の底から望んでいた生活。
平凡で、でも愛しい。
そんな幸せをこの母は潰そうとしている。
「……、まさか、ここから出て行くつもりなの?」
自然と声が低くなる。
普段の私とは思えない言動に母が厭らしく口角を上げる。
ねっとりと笑う独特な表情に、自分の考えが現実なんだと悟った。
「何時までも家族ごっこなんて性に合うわけないでしょう?
この私が。
今まで、何故、あんな冴えない男の妻に納まっていたか、あんたには解るでしょう?」
吐き捨てるように私の耳元で囁く言葉に、私は心の中で舌打ちをしていた。
知りたくも無いと思う。
でも、咄嗟に浮かぶ考えがこの母と同じ血が流れていると訴えている。
どう足掻いても私は所詮、この母と同じ穴のムジナなんだ……。
「……」
「よくこの4年間、私は我慢してきたと我ながら感心するわ。
貞淑な妻を演じるのにどれだけ骨を折ったか、あんたには解るでしょう?
あんただってよくもまあ、優等生な学生を演じて。
登校拒否を繰り返し、根暗で生意気で可愛げのないあんたが今では成績優秀な生徒ですって。
担任にあんたの事を褒められた時、私は腹の中で笑いを堪えるのに必死だった。
私の血を引くあんたが、普通に育つとは。
何時かあんたも本性に目覚めて、男を誑かす様になるのさ。
この私の様に……」
「やめて!」
「ふふん。
否定してもどうにもならないのよ。
さああ、早く着替えて出て行くのよ。
上手い具合にあのお人よしは今日は帰ってこない。
瞳もぐっすり眠っている。
それにもう、私はあの男の妻でもないんだから……」
最後の母の言葉に目を見開く。
唇が震える。
考えたくも無い言葉が唇から出そうになっている。
「……、ま、まさか離婚したの?」
私の言葉に母が目を細める。
「勝手に離婚届を出したのよ。
この家の財産は全て、私の新しい生活の為に頂いたわ。
株を売っぱらって貯金を店を開くための資金に回したの。
最初、あの男と籍を入れる時、婚姻届と一緒に離婚届も書かせたの。
もし、あんたの身に何かあった時、私はあんたの尻拭いはしたくないからやばくなる前に離婚するのが前提だと言ったら書いてくれたわ。
ホント、お人よしにも程がある。
だから会社が傾いていくんだよ、馬鹿が……」
散々義父をコケにする母に、私は一片の愛情も感じない。
どうしてこうも勝手な考えを持って生きることが出来るんだろう。
人のモノをいとも簡単に奪い去り我が物にする。
それが当たり前と言う傲慢な考え。
人として欠落している母に不意に涙が出そうになる。
「さああ、ぐずぐずしないのよ。
ほら、さっさと着替えて出て行くよ。
新しい場所で新しい生活が待っている。
ああ、やっとあの煌びやかな生活に戻るのよ。
今度は私が雇う側。
ふふふ、上手くやるわ。
店の売り上げを伸ばすために、ホステスを見繕って。
あんたにも協力して貰うわよ。
帳簿は任せたから。
金の管理はきっちりして貰うから」
今後の人生が既に決められている。
この母について行ったら、今度は私が食い物にされてしまう。
娘と言っても母の目にはそう映っていない。
利用できるかどうか。
私の存在意義はそれだけ……。
このまま一緒に行くべきなのだろうか?
離婚をしたと言った。
もう自分にはこの家にいる権利など無い。
だけど……。
一瞬、義父のあの穏やかで優しい笑みが浮かんだ。
お人よしだと馬鹿にする母の言葉通り、義父は本当に慈愛に満ちていた。
困っている人に手を差し伸べ、従業員の借金を知れば無担保でお金を貸す。
そんな義父に私は人として大切な事を学んだ。
出来ればずっと側に居たい。
許されるのなら……。
躊躇う私に母が、一瞬くつりと笑う。
「あんた、まさかあのお人よしに情が移ったと言う訳?
平凡な人生をあんたは望むの?
こんな刺激の無い、面白みの無い生活を!」
「……、そんな事を言わないで」
「美夜」
「平凡で何が悪いの?
お人よしで何が悪いの!
この生活が何処が悪いって言うの!」
「美夜?」
「私は行かない!
このままずっとこの家にいる。
お母さんが離婚したって、私はついて行かない。
お義父さんもきっと許してくれる。
私がこの家に留まる事を。
あの人はそんな人だから……」
「……、あのお人よしに惚れてるって訳?
ああ、あんたも一人前の女だね。
一端の口で言ってもあんたは女の顔をして私に言ってる。
ははん、私がこの家を出て行く事を心から喜んでいるんだろう?
あの男を私から奪える事が出来るんだからさっ!」
母の言っている言葉に言葉が出ない。
ああ、なんて低俗なんだろう……。
娘に対してそんな言葉がよくも出る。
つと涙が出た。
どうしてこんな人を後妻に迎えたの?
どうしてこんな女の娘を実の娘の様に愛情を注いでくれるの?
「ああ、そうかい。
残って苦労を味わえばいいさ……。
この先、この家にあるのは何千万と言う借金だけ。
財産なんて何もありゃしない。
それでもあんたは残るんだね」
「……」
「馬鹿な美夜。
ホント、もっと賢いと思ったら馬鹿な娘……」
げらげらと笑いながら部屋を出て行く。
ぱたんと閉まるドアの音。
これが母との最後になると思っていた。
数年後、再会するまでは。
この先、母が言う様にこの家に不幸が襲ってくる。
だけど、どうしてだろう…。
それでも母についていかなかった自分を愚かとは思わない。
何か、大切なものを守ったとこの時そう思った。
この先、哀しい別れがやってくる……。
そう遠くない無い未来に。
あの穏やかで優しい義父との別れが近づいている事を今の私は知る由も無かった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
数年振りに再会した幼馴染のお兄ちゃんが、お兄ちゃんじゃなくなった日
プリオネ
恋愛
田舎町から上京したこの春、5歳年上の近所の幼馴染「さわ兄」と再会した新社会人の伊織。同じく昔一緒に遊んだ友達の家に遊びに行くため東京から千葉へ2人で移動する事になるが、その道中で今まで意識した事の無かったさわ兄の言動に初めて違和感を覚える。そしてその夜、ハプニングが起きて………。
春にぴったりの、さらっと読める短編ラブストーリー。※Rシーンは無いに等しいです※スマホがまだない時代設定です。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる