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序章:朝、目が覚めたらぬいぐるみになっていた俺。

第7話「俺、明日は水モグラが降ると思う」

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「おい、それは俺のだぞ!
 って、こぼすなよ……もったいないな。
 ほれ、こっちやるからゆっくり食えよ。
 あーったく、ガキはこれだから……ん、なんだよ?」

「別に、相変わらずパンが好きなんだなと思って」

 はぁ?

 パンなんてみんな好きだろうが。

 身体が合わないやつ以外で、パンを食べないやつなんて見た事ねえよ。

「それより……どこに向かってるんだ?
 ここって国境付近だよな、まさか、目的地は国外か?」

 俺は辺りを見回しながらアメリアに尋ねた。

 かすかに見える赤い色の旗は、国境を示すものだったはずだ。

 あそこを通り抜けるには、事前の申請がうんざりするほど必要だったと思うが……ちょうど旅行にでも行くつもりだったんかね?

「いいえ、目的地は国外ではないわ。
 というよりも、目的地なんてないわよ?」

 へ?

「じゃあ何でここにいんのよ、俺ら?」

「あなたが言ったからでしょ?」

 ふむ。

 ……

 …………

「まさかあの、逃げないと死ぬとかいうわけのわからない言葉一つで、子供ひとつだけ連れて、家を捨てたっていうのか?」

「そうよ。
 正確に言うなら、あなたも持ってきたけど」

「ふぅん、お前って……意外とバカだったんだな!」

 うはは。

 まあ、俺もなんか旅行に行きたかったし、別にいいけどな。

 さて、飯の続きだ……うわわっ!?

「それくらいにしておきなさい、口からパンがはみ出してるじゃない。
 もっと食べたいなら、一回全部中身を取り出さないといけないわね。
 じっとしてなさい、私がしてあげるから」

 おいっ、ちょっ!? マジ? ……え、嘘っ、そこは……いや、そこまでするの!?

 お前……っ、くそっ! 何で妙に手馴れて……あ――――



 そんなこんなで飯が終わった後、使った食器なんかを川で洗っているアメリアにもう一度尋ねた。

「なあ、ホントに目的地がねえのかよ」

「ええ」

 ふーん、お前が俺の言うこと聞くなんてな。

 まあ、厳密には俺じゃねえけど。

 明日になったら、水もぐらでもふるんじゃねえの?

 うはは。

「私は昔から、あなたの言うことを聞いてきたと思うけど?」

 はぁ?

 俺の言うことなんて、一度だって聞いたことない癖によく言うぜ。

「じゃあ聞くけどな、俺が前に美味いパン屋見つたから誘ったとき、お前断って、別のパン屋に引きずり込んだよな?」

「あら、気に入らなかったの?

 いや、パン自体は美味かったけどな。

 せっかく俺様がお前に教えてやろうと……

「あそこのパン屋さん、あなたが言ったお店で働く職人達の「師匠」のお店なのよ?」

「マジ!?」

 そりゃ美味いわけだわ……って、ちげえよ。

「なんで俺の意見を無視して、あの店に行ったのかって話だろ?」

「美味しいパン屋さんに行きたかったのだから、あなたの意見通りじゃない。
 それにね……」

 ちっ……確かにそれはそうだけどよ。

 せっかくお前に美味いパンを――――

「あなたに食べてみてほしかったの」

 ……

 …………

 ふぅん。

 もう一人の俺が、何でこんなやつと結婚したのか、ちょっとわかった気がする。

 ちょっとだけな。

「もういい、俺が悪かった。
 お前は旦那思いのいい嫁さんだ……へ?」

 おいおいおい、ちょっと待て!?

 何でこいつ泣いてんの?
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