俺が子連れエルフに一目惚れした話

kaduki

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太陽に触れる【3】 ヒースside

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首筋に痛みが走る。
ああ、喰われる。
喰われてしまう。
私の太陽の姿をした“死”が、私の首に歯を立てる。

ロベルトは?近くにはいないらしいけれど・・・ちゃんと逃げただろうか。妻の幻影に魅せられた愚かな父とは違い、賢いお前なら逃げているよね。

死にたくはない。ロベルトが成人の儀を済ませるまでは、死んでも死にきれないというのに。何故、こんなに不安がないのだろう。死が、こんなにも迫ってきているというのに。

ふと、最初以外に痛みが来ないことに気がついた。肉を喰い千切られる痛みが来ない。
反射で閉じた目を開けると、私の首元に顔をうずめたまま肩を上下させるイアン様が目に入る。この焼けるような痛みさえなければ、嬉しくて仕方なかったことだろう。

なにかに、耐えている?

獰猛な獣のような荒い息遣いが、とても苦しそうで。

「お父さん!!お父さん!!!嫌だ、死んじゃいやだ!!!!!」

ロベルトの悲痛な叫びが聞こえる。

「近づいたらだめだ!生存が危ぶまれるほど魔力が不足している魔族は、接触した生命体から魔力を、それだけでは足りないから生命力を奪うんだ!
一度接触したら、対象が死ぬか、魔力が事足りるまで離さない!君のお父さんは手遅れだよ!!君まで死んじゃったらお父さんが報われないだろ!!」

いや、意識は遠くならないし、死ぬ気配もないのだけれども。
ロベルトを止めているのは声からしてテオ様だろう。危ないから止めてくれるのはありがたいけれども・・・ロベルトを脅かすのはやめてほしい。

振り返ってロベルトを安心させようとして、身体が動かないことに気がついた。

イアン様の腕ががっちりと私の腕を押さえ、足も、なにかに縛り付けられているかのように動かない。
首を噛まれているから、首だけで振り向くこともできない。
なぜ、ここまでされていて。

死の恐怖が来ないのだろう。

目の前のイアン様は今にも命を刈り取らんと、私を拘束しているというのに。
・・・そういえば、死の恐怖を感じたことがない。

前の主人に、瞳の色が気に入らないからと眼球を焼かれた時も。
その前の主人に、面白半分で毒を盛られた時も。
その前の屋敷で、奥方様に逆恨みで首を絞められた時も。
その前の奴隷商で、態度が生意気だと拷問を受けた時も。
里にいたとき、獣駆除の囮にされ、イノシシの牙に腹を貫かれた時も。

痛みこそあれども、死の恐怖を感じなかった。
“死が来る”という恐怖が、来なかった。
けれど、恐怖を感じないわけではない。
怪我をしても一晩で治ってしまうから、外傷によって死ぬということが想像できないのかもしれない。

そう現実逃避しなければ、泣き叫ぶロベルトの声で頭がどうにかなってしまいそうだった。
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