俺が子連れエルフに一目惚れした話

kaduki

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罪過の炎は燃え盛る

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昔、・・・まだ、学園に通える歳になっていなかった頃だと思う。父上に連れられ、俺のことをよく知るという魔族に会いに行った。物心がついてから、アイゼンシュトンから出たことがないのに、魔族に会ったことはないというのに、どうして知っているなどと言われたのか、わからなかった。父上が、それに疑問を持たない理由も、俺には理解できなかった。
その魔族は長く生きていること、人間種族ではないということが一目で分かる、威圧感・・・というよりは貫禄のある男だった。
自分が人間種族ではないという自覚こそあったものの、自分が何者であるかなどよく知らなかった。魔族と言う種族のことも、その時初めて知ったのだ。

 久方ぶりだな、アンドレ。

その魔族は俺を、俺の知らない名を呼んだ。
俺はイアンという名前であって、アンドレという名前ではない。人違いだろうと伝えても、その魔族は薄く笑った。

 その名は人として過ごすための名だ。随分と居心地のいい人のあり方ゆえに忘れてしまったか?その変質を許されぬ魂に、刻まれた名を。忘れることは許されぬ、巨大なその罪を。

俺が訝しげに眉を顰めようとも、優しく微笑むだけ。この魔族は、俺の何を知っているというのだろうか。
そう思ったその時。

『アンドレアルフス』

その名が呼ばれた瞬間、自身に刻まれた宿命を自覚した。
どれほど焦がれようとも、どれほど足搔こうとも、魔族『アンドレアルフス』以外の何者にもなれはしない。

俺は、そういった存在なのだと。

 俺たちが背負う罪を、罰を、思い出したか?アンドレ。

魔族として、背負う罪。それは、下位種族に焦がれ、この世界へ堕ちた罪。
俺たちが、背負う罰。それは・・・

俺がその身に刻まれた罪に打ちひしがれるのを、その男は・・・、その魔族は・・・、・・・ダンダリオンはただ笑ってみていた。

**********

口内に感じる、酔ってしまうような濃厚な魔力。鼻腔内をつく、芳しい命の香り。
ごくり、と口内のそれを嚥下する。
強い倦怠感と腹部の鈍い痛みとともに、意識が鮮明になっていく。

ぐらつく視界が、何とか認識が可能な程度までに回復してくる。
回復が進んでいくにつれ、酷い飢餓と渇きまでもが鮮明になっていく。

「ぁ、お、とう、さ、ん・・・」

絶望の声が聞こえる。
小さな、子供の声。テオが、父上に助けを求めているのか?

「テオ、俺でも、いいだろ・・・なんで父上にばかり、ひっつくんだ。」

怖いのならこちらにおいで。にいさんがだきしめてやるから。

「にい、さん。気がついたのか・・・?」

頼りない、男の声。・・・テオの、声?では先ほどの子供の声は・・・?
ゆっくり顔を上げ、すべてを思い出した。

「お父さん!いやだ、死んじゃ、やだ・・・!」

ああ、そうだ。俺は、凶刃に倒れ、それで・・・魔力の流出が止められずに・・・
最悪の事実が想定できた。
そしてそれは、先ほどの子供・・・ロベルトの反応が、その想定が現実であることを物語っていた。

はっきりとしてきた視界に映ったのは、真っ白な首筋に咲く、生々しくも艶めかしい傷跡。
酷く飢餓を煽るその傷口は、俺の寵愛を一身に受けるべき人間種族・・・ヒースの身体に刻まれていた。
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