18 / 18
“死を伴う者”サリエル 【1】
しおりを挟む
サリエルと名乗った黒ずくめの者は、テキパキと傷口の処理をしていく。
「ダンダリオンさんも随分手荒に処置するなぁ。治すのが私だからって、丸投げし過ぎだと思いません?
あ、そこの綺麗なあなたは早くシャワー浴びてきてください。結構臭いが堪えるので。私鼻が敏感でね、結構苦手なものが多いんですよー。
・・・・・・例えば、生きていることを感じさせるような、匂いとか。」
黒い布で覆われたその顔は目元しか見えず、ただ、その目は笑っていた。だが、温度がない。
「あなたは、思ったより喋るのですね。」
俺の感想に、サリエルが答えることは無い。
「はい、それじゃあとても痛みますからね。叫んでも大丈夫ですよー。」
そう言ってサリエルが、傷口に触れる。
瞬間、激痛が走る。刺された時、傷口を抉られた時とは、比べ物にならないほどの苦痛。
「っは、・・・・・・・・・・・・・!!!!・・・・・・・・・!?!?!?」
叫び声など、あげる余裕もなかった。
「はーい、処置終わりでーす。
もう魔力が逆流することは無いと思いますけど、無理な魔法や身体強化はお控えくださいねー、お大事にー。」
だが痛みは一瞬で、気のせいだったと言われても信じてしまえそうなほどに残る感覚もない。
傷口を見やれば、傷などなかったかのように綺麗な状態になっている。
一呼吸にも満たぬ間に、跡形もなく消えてしまった。魔術の形跡もない。
「一体・・・どうやって・・・・・・?」
「どうやって、といわれましてもね。これがサリエルの権能なのだから、説明のしようがないんですよ。」
なんだか、良く分からない。
このサリエルという者が考えていることも、サリエルという者の正体も。
「あなたは、いったい何者なんですか?」
「漠然とした質問ですね。
私はサリエルです。それ以上も以下もありはしませんよ。」
「ダンダのじっさまの知り合いということは、魔族なのですか?」
少し考えるようなしぐさを見せたが、すぐに納得したかのように頷く。
「もしかして、私に聞きたいことがあるのではありませんか?
それは貴方自身に関することだから、私の素性が知りたい。その質問をするにあたって、問題のない相手なのか。それが知りたい・・・って感じだったりしませんか?」
ゾッ、と背筋が粟立つ。
「あ、図星って感じですね。
得体のしれないものに対して気味の悪さを感じる・・・とっても人間種族的でいいと思いますよ。うまく育ててもらえたようで安心しました、“アンドレアルフス”さん。」
その黄金のような瞳が、すべてを見透かしているかのように弧を描く。
「サリエルに心を読む権能はありませんから、そこは安心してもらっていいですよ。
ただあなたのことをよく知っている。それだけのことです。」
これが欲しかった答えでしょう?
そういうかのようにサリエルは笑う。
「美しいエルフの方が戻ってくるまでかなり時間がかかるでしょうから、それまでゆっくりお話をしましょうか。」
ヒースに何かしたのか。
だとするならば、こいつは敵だ。
「そんなおっかない顔しなくても、私は彼には何もしていませんよ。
ここに来る道中で、心配そうな顔をしている人間種族がたくさんいたので、今頃捉まってるんじゃないかと思っただけです。」
サリエルはそう言いながら、ベッド全体に清浄魔法をかけ腰掛ける。
「こういう臭いが苦手でしてね。
まあ、兎にも角にも、聞きたいことがあるのならお答えしましょうか。」
答えられる範囲でね、とサリエルは付け加えた。
「ダンダリオンさんも随分手荒に処置するなぁ。治すのが私だからって、丸投げし過ぎだと思いません?
あ、そこの綺麗なあなたは早くシャワー浴びてきてください。結構臭いが堪えるので。私鼻が敏感でね、結構苦手なものが多いんですよー。
・・・・・・例えば、生きていることを感じさせるような、匂いとか。」
黒い布で覆われたその顔は目元しか見えず、ただ、その目は笑っていた。だが、温度がない。
「あなたは、思ったより喋るのですね。」
俺の感想に、サリエルが答えることは無い。
「はい、それじゃあとても痛みますからね。叫んでも大丈夫ですよー。」
そう言ってサリエルが、傷口に触れる。
瞬間、激痛が走る。刺された時、傷口を抉られた時とは、比べ物にならないほどの苦痛。
「っは、・・・・・・・・・・・・・!!!!・・・・・・・・・!?!?!?」
叫び声など、あげる余裕もなかった。
「はーい、処置終わりでーす。
もう魔力が逆流することは無いと思いますけど、無理な魔法や身体強化はお控えくださいねー、お大事にー。」
だが痛みは一瞬で、気のせいだったと言われても信じてしまえそうなほどに残る感覚もない。
傷口を見やれば、傷などなかったかのように綺麗な状態になっている。
一呼吸にも満たぬ間に、跡形もなく消えてしまった。魔術の形跡もない。
「一体・・・どうやって・・・・・・?」
「どうやって、といわれましてもね。これがサリエルの権能なのだから、説明のしようがないんですよ。」
なんだか、良く分からない。
このサリエルという者が考えていることも、サリエルという者の正体も。
「あなたは、いったい何者なんですか?」
「漠然とした質問ですね。
私はサリエルです。それ以上も以下もありはしませんよ。」
「ダンダのじっさまの知り合いということは、魔族なのですか?」
少し考えるようなしぐさを見せたが、すぐに納得したかのように頷く。
「もしかして、私に聞きたいことがあるのではありませんか?
それは貴方自身に関することだから、私の素性が知りたい。その質問をするにあたって、問題のない相手なのか。それが知りたい・・・って感じだったりしませんか?」
ゾッ、と背筋が粟立つ。
「あ、図星って感じですね。
得体のしれないものに対して気味の悪さを感じる・・・とっても人間種族的でいいと思いますよ。うまく育ててもらえたようで安心しました、“アンドレアルフス”さん。」
その黄金のような瞳が、すべてを見透かしているかのように弧を描く。
「サリエルに心を読む権能はありませんから、そこは安心してもらっていいですよ。
ただあなたのことをよく知っている。それだけのことです。」
これが欲しかった答えでしょう?
そういうかのようにサリエルは笑う。
「美しいエルフの方が戻ってくるまでかなり時間がかかるでしょうから、それまでゆっくりお話をしましょうか。」
ヒースに何かしたのか。
だとするならば、こいつは敵だ。
「そんなおっかない顔しなくても、私は彼には何もしていませんよ。
ここに来る道中で、心配そうな顔をしている人間種族がたくさんいたので、今頃捉まってるんじゃないかと思っただけです。」
サリエルはそう言いながら、ベッド全体に清浄魔法をかけ腰掛ける。
「こういう臭いが苦手でしてね。
まあ、兎にも角にも、聞きたいことがあるのならお答えしましょうか。」
答えられる範囲でね、とサリエルは付け加えた。
1
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*不定期連載です。
BLゲームの悪役に転生したら攻略対象者が全員ヒロインに洗脳されてた
さ
BL
主人公のレオンは、幼少期に前世の記憶を思い出し、この世界がBLゲームで、自身は断罪される悪役だと気づく。
断罪を回避するため、極力攻略対象者たちと関わらないように生きてきた。
ーーそれなのに。
婚約者に婚約は破棄され、
気づけば断罪寸前の立場に。
しかも理由もわからないまま、
何もしていないはずの攻略対象者達に嫌悪を向けられてーー。
※最終的にハッピーエンド
※愛され悪役令息
『定時後の偶然が多すぎる』
こさ
BL
定時後に残業をするたび、
なぜか必ず同じ上司が、同じフロアに残っている。
仕事ができて、無口で、社内でも一目置かれている存在。
必要以上に踏み込まず、距離を保つ人――
それが、彼の上司だった。
ただの偶然。
そう思っていたはずなのに、
声をかけられる回数が増え、
視線が重なる時間が長くなっていく。
「無理はするな」
それだけの言葉に、胸がざわつく理由を、
彼自身はまだ知らない。
これは、
気づかないふりをする上司と、
勘違いだと思い込もうとする部下が、
少しずつ“偶然”を積み重ねていく話。
静かで、逃げ場のない溺愛が、
定時後から始まる。
運命の番は僕に振り向かない
ゆうに
BL
大好きだったアルファの恋人が旅先で運命の番と出会ってしまい、泣く泣く別れた経験があるオメガの千遥。
それ以来、ずっと自分の前にも運命の番があらわれることを切に願っていた。
オメガひとりの生活は苦しく、千遥は仕方なく身体を売って稼ぐことを決心する。
ネットで知り合った相手と待ち合わせ、雑踏の中を歩いている時、千遥は自分の運命の番を見つけた。
ところが視線が確かに合ったのに運命の番は千遥を避けるように去っていく。彼の隣には美しいオメガがいた。
ベータのような平凡な見た目のオメガが主人公です。
ふんわり現代、ふんわりオメガバース、設定がふんわりしてます。
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
今日もBL営業カフェで働いています!?
卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ
※ 不定期更新です。
僕の恋人は、超イケメン!!
八乙女 忍
BL
僕は、普通の高校2年生。そんな僕にある日恋人ができた!それは超イケメンのモテモテ男子、あまりにもモテるため女の子に嫌気をさして、偽者の恋人同士になってほしいとお願いされる。最初は、嘘から始まった恋人ごっこがだんだん本気になっていく。お互いに本気になっていくが・・・二人とも、どうすれば良いのかわからない。この後、僕たちはどうなって行くのかな?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
更新待ってます