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教皇と元聖女
ep7
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「見てみて、アリシア。初代聖女像の真似」
教皇がそう言いながらすまし顔でおしとやかに佇む聖女像のモノマネポーズを決めた。
「お、お父さん。美術館ではしゃがないでくださいよ…」
視線が集まっているので恥ずかしそうにうつむいたアリシアに、教皇は拗ねたように口を尖らせた。
「そっかぁ、残念」
「お父さんと一緒に来られて嬉しいんです。だから、その、お父さんと一緒に芸術鑑賞もしたいんです」
「実はね、お父さん…芸術はサッパリわからんのだよ。芸術的な絵なんてかけないから、すごいなーとは思うんだよ? けど、どれがどうすごいとか、そういうのは全然ダメ」
「そうですか? 私もあまり価値はわからないですけど、綺麗な色彩や素敵な絵を見ていると幸せな気持ちになりませんか?」
アリシアが顔を綻ばせると、教皇ものほほんと返した。
「なるよね♪ うん、なるよ」
ポワポワとお花畑のような感じでのほほんと親子デートを楽しんでいる二人は、元とはいえ聖女と、しかも教皇が一緒に歩いているという驚きで見られていることに気が付かないまま、先ほどの一発芸で見られていたと思い込んでいた。
「そういえば、ノエル君はどうしたんです?」
アリシアがそう尋ねると、教皇はのほほんと返した。
「さあ? ノエルに出かける時間を2時間くらい遅く伝えておいたから、まだ来ていないと思うよ?」
「え? でも、お父さんの護衛なんですよね?」
「まあね。でもさ、ノエルがいるとアリシアと二人きりで観光できないじゃん? お父さん、アリシアとせっかく二人きりで親子デートができるチャンスなのに、ノエルがいたら視線をガンガン感じまくって、落ち着かないよ」
教皇が拗ねたように頬を膨らませたので、アリシアは戸惑ったように返した。
「でも、…お父さん、万が一、襲撃を受けたらどうするんですか?」
「お父さん、強いから大丈夫! ノエルなんか魔法で一撃だからね!」
「ノエル君を練習相手にしては可哀そうですよ」
アリシアがちょっと憐れんだ表情を浮かべると、教皇は慌てたように言った。
「だ、大丈夫だよ、アリシア。お父さんね、本当に強いし、ノエルは強い子だから打たれ強いから。そう、ノエルは強い子だから大丈夫」
「…そう、ですか?」
「うん、そうだよ!」
アリシアがホッと胸を撫で下ろしたので教皇もホッとしたが、小さく呟いた。
「…ノエル、許せよ」
アリシアは不思議そうに振り返って尋ねる。
「何か言いました?」
「ううん、何にも! それより、次は隣にある本屋さんに行こうか。教皇庁に大きな図書館もあるし、本を買う必要はないんだけど、アリシアは欲しい本、あるんじゃないのかい?」
「えへへ…。でも、自分で買いますよ!」
「いいから、お父さんに任せなさい!」
「じゃあ、…お言葉に甘えて?」
楽しそうな二人を物珍しそうな顔で見る通りすがりの野次馬以外に、二人を見る瞳がいくつかあったことに誰も気が付かない。
アリシアは恋愛小説のコーナーに立ち寄り、一冊の本を手に取った。
「この、パーカー・ハウノルゼンさんの『幼馴染』シリーズがキュンキュンして素敵なんです。短編集なんですけど、いろいろな幼馴染同士の恋愛のシチュエーションがあって、しかも、全部素敵な恋なんです」
「アリシアはこういうの、憧れるの?」
「えへへ、幼馴染なんていないですけど、絶妙な距離感がすごくいいんです。ノリア…あ、お友達にこの本を紹介してもらったんですけど、今ハマっているんです!」
「よし、お父さんがアリシアにプレゼントしちゃうぞ☆」
そう言って棚を見た。
「えーと、これが一巻で、…あれ? これが14巻で、えーと、下の段も全部かな? えっと、これは59巻で、あれれ? その下の棚まで行っているね?」
「すごいですよね。全部で80巻なんですよ! 80巻なんて出たばかりだからどこも売り切れちゃうくらいなんですけど、すごい! 入荷してます♪」
嬉しそうに声を弾ませたアリシアは教皇を振り返った。
「あ、お父さん。でも、気持ちは嬉しいんですけど、80冊も買ってしまったら重たくて持って帰れませんし、大丈夫ですよ」
「そ、そっかー、それは残念だなー」
半ば80冊というショックで棒読みになっていたが、アリシアは特に気にしている様子もなく、ただ、教皇の顔を見てクスクスと笑った。
「お父さん、驚きすぎですよ」
「いや、魔法鞄を持ってくればよかったなと、そう思ってね。それにしても、80巻も出るくらい、シチュエーションがあるのに驚きだよ」
「ですよね! 著者のパーカーさんは速筆家で有名で、一か月に二回も本を出すくらい早いんですって!」
「へぇ、すごいねぇ。お父さんなんてあいさつ文を書くのに二日くらいかかっちゃうのに、そのパーカーさんはきっと一瞬で書いちゃうんだろうな」
「すごいですよね!」
教皇は気を取り直してアリシアに尋ねる。
「ほかに好きな本はあるのかい?」
「料理本も大好きですよ。自分で作る時間はだいぶ減りましたけど、おやつに色々と作ることがありますし、なにより、作っていて楽しいです」
「料理本かぁ! アリシアは将来、素敵なお嫁さんになりそうだね」
そう言った後、冷や汗を浮かべながら教皇は尋ねた。
「ち、ちなみにだけど…アリシアは気になる人とか、いるのかな…?」
「気になる人ですか? いませんけど…」
そう言った後、脳裏を閃いたのは首筋にキスを落とされた瞬間とそして、低く優しい声。
『青には内緒だ』
その声を思い出した瞬間、ボンっと頭から湯気があがらんばかりに顔が真っ赤になり、リスのように頬を膨らませてムスッとしてから口を尖らせ、言った。
「一発、ぶん殴りたい人ならいます」
教皇はショックを受けたように目を見開いた。
「ちょ、…えっ!? あの、アリシア? 顔が真っ赤だけど何かされたのかい? もし、そうならお父さん、全力でその男をぶん殴りに行っちゃうよ?」
「ボコボコのたこ殴りです! きちんとあの時のお礼をしないと気が済まないんです! むうぅ…ルピルにあんな酷いことをして、青の御遣い様には内緒だとか訳の分からないことを言って…!」
アリシアはぷんすかと怒りながら今度は教皇の手を引いて料理本のコーナーに向かう。
「お父さん、お父さんは絶対に黒服にフードを目深にかぶったアヤシイ人について行っちゃだめですからね! 絶対犯罪者か何かですよ!」
「う、うん」
愛娘の勢いに押されて頷いたが、教皇はぽつりと呟いた。
「黒フードのアヤシイ人…って、まさか、ね?」
☆
「へぷちっ」
ナハトが変なくしゃみをした。それを見て、白い鳥がケラケラ笑う。
「風邪ひいた?」
「いや、まさか。それより、お前の方は大丈夫か?」
「うん、ため込んだ魔力が十分にあるから大丈夫。それより、怪我なんかしないでよね。修復するだけの力、もう今日は残っていないし、これで失敗したら処理、大変なんだから」
「わかっている」
ナハトと白い鳥の姿は美術館の屋根の上から一瞬で消えた。
教皇がそう言いながらすまし顔でおしとやかに佇む聖女像のモノマネポーズを決めた。
「お、お父さん。美術館ではしゃがないでくださいよ…」
視線が集まっているので恥ずかしそうにうつむいたアリシアに、教皇は拗ねたように口を尖らせた。
「そっかぁ、残念」
「お父さんと一緒に来られて嬉しいんです。だから、その、お父さんと一緒に芸術鑑賞もしたいんです」
「実はね、お父さん…芸術はサッパリわからんのだよ。芸術的な絵なんてかけないから、すごいなーとは思うんだよ? けど、どれがどうすごいとか、そういうのは全然ダメ」
「そうですか? 私もあまり価値はわからないですけど、綺麗な色彩や素敵な絵を見ていると幸せな気持ちになりませんか?」
アリシアが顔を綻ばせると、教皇ものほほんと返した。
「なるよね♪ うん、なるよ」
ポワポワとお花畑のような感じでのほほんと親子デートを楽しんでいる二人は、元とはいえ聖女と、しかも教皇が一緒に歩いているという驚きで見られていることに気が付かないまま、先ほどの一発芸で見られていたと思い込んでいた。
「そういえば、ノエル君はどうしたんです?」
アリシアがそう尋ねると、教皇はのほほんと返した。
「さあ? ノエルに出かける時間を2時間くらい遅く伝えておいたから、まだ来ていないと思うよ?」
「え? でも、お父さんの護衛なんですよね?」
「まあね。でもさ、ノエルがいるとアリシアと二人きりで観光できないじゃん? お父さん、アリシアとせっかく二人きりで親子デートができるチャンスなのに、ノエルがいたら視線をガンガン感じまくって、落ち着かないよ」
教皇が拗ねたように頬を膨らませたので、アリシアは戸惑ったように返した。
「でも、…お父さん、万が一、襲撃を受けたらどうするんですか?」
「お父さん、強いから大丈夫! ノエルなんか魔法で一撃だからね!」
「ノエル君を練習相手にしては可哀そうですよ」
アリシアがちょっと憐れんだ表情を浮かべると、教皇は慌てたように言った。
「だ、大丈夫だよ、アリシア。お父さんね、本当に強いし、ノエルは強い子だから打たれ強いから。そう、ノエルは強い子だから大丈夫」
「…そう、ですか?」
「うん、そうだよ!」
アリシアがホッと胸を撫で下ろしたので教皇もホッとしたが、小さく呟いた。
「…ノエル、許せよ」
アリシアは不思議そうに振り返って尋ねる。
「何か言いました?」
「ううん、何にも! それより、次は隣にある本屋さんに行こうか。教皇庁に大きな図書館もあるし、本を買う必要はないんだけど、アリシアは欲しい本、あるんじゃないのかい?」
「えへへ…。でも、自分で買いますよ!」
「いいから、お父さんに任せなさい!」
「じゃあ、…お言葉に甘えて?」
楽しそうな二人を物珍しそうな顔で見る通りすがりの野次馬以外に、二人を見る瞳がいくつかあったことに誰も気が付かない。
アリシアは恋愛小説のコーナーに立ち寄り、一冊の本を手に取った。
「この、パーカー・ハウノルゼンさんの『幼馴染』シリーズがキュンキュンして素敵なんです。短編集なんですけど、いろいろな幼馴染同士の恋愛のシチュエーションがあって、しかも、全部素敵な恋なんです」
「アリシアはこういうの、憧れるの?」
「えへへ、幼馴染なんていないですけど、絶妙な距離感がすごくいいんです。ノリア…あ、お友達にこの本を紹介してもらったんですけど、今ハマっているんです!」
「よし、お父さんがアリシアにプレゼントしちゃうぞ☆」
そう言って棚を見た。
「えーと、これが一巻で、…あれ? これが14巻で、えーと、下の段も全部かな? えっと、これは59巻で、あれれ? その下の棚まで行っているね?」
「すごいですよね。全部で80巻なんですよ! 80巻なんて出たばかりだからどこも売り切れちゃうくらいなんですけど、すごい! 入荷してます♪」
嬉しそうに声を弾ませたアリシアは教皇を振り返った。
「あ、お父さん。でも、気持ちは嬉しいんですけど、80冊も買ってしまったら重たくて持って帰れませんし、大丈夫ですよ」
「そ、そっかー、それは残念だなー」
半ば80冊というショックで棒読みになっていたが、アリシアは特に気にしている様子もなく、ただ、教皇の顔を見てクスクスと笑った。
「お父さん、驚きすぎですよ」
「いや、魔法鞄を持ってくればよかったなと、そう思ってね。それにしても、80巻も出るくらい、シチュエーションがあるのに驚きだよ」
「ですよね! 著者のパーカーさんは速筆家で有名で、一か月に二回も本を出すくらい早いんですって!」
「へぇ、すごいねぇ。お父さんなんてあいさつ文を書くのに二日くらいかかっちゃうのに、そのパーカーさんはきっと一瞬で書いちゃうんだろうな」
「すごいですよね!」
教皇は気を取り直してアリシアに尋ねる。
「ほかに好きな本はあるのかい?」
「料理本も大好きですよ。自分で作る時間はだいぶ減りましたけど、おやつに色々と作ることがありますし、なにより、作っていて楽しいです」
「料理本かぁ! アリシアは将来、素敵なお嫁さんになりそうだね」
そう言った後、冷や汗を浮かべながら教皇は尋ねた。
「ち、ちなみにだけど…アリシアは気になる人とか、いるのかな…?」
「気になる人ですか? いませんけど…」
そう言った後、脳裏を閃いたのは首筋にキスを落とされた瞬間とそして、低く優しい声。
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アリシアはぷんすかと怒りながら今度は教皇の手を引いて料理本のコーナーに向かう。
「お父さん、お父さんは絶対に黒服にフードを目深にかぶったアヤシイ人について行っちゃだめですからね! 絶対犯罪者か何かですよ!」
「う、うん」
愛娘の勢いに押されて頷いたが、教皇はぽつりと呟いた。
「黒フードのアヤシイ人…って、まさか、ね?」
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