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第三章 クラス丸ごと異世界転生!? 追放された野獣が進む、復讐の道は怒りのデスロード!
3-236.クトリア議会議長、レイフィアス・ケラー(91)「……開いた?」
しおりを挟む思い出すに。
アルバ達との話のとき、“辺土の老人”によりこの世界へと送り込まれたという100人近い飛行機の乗客たち、そして恐らくはその中の1人、“災厄の美妃”の持ち手となっただろう猫獣人について話し合ったときも、「神の思惑など推し量ろうとしても意味はない。僕らに出来るのは、僕ら同様の定命の者の意図と行いを探り、場合によってはそれを防ぐことだ」と言う話になった。
そのときは、話の中心はあくまで“辺土の老人”による生まれ変わりとその影響についてだったから、その点では僕は非当事者。関係のある話ではあっても、どこかしら他人事のような距離感があった。けれども今は違う。僕自身が当事者で、僕自身の問題だ。
つまりは、僕がこの世界へと“生まれ変わった”ことそれ自体が、まさに“辺土の老人”や、その他の“まつろわぬ混沌の神々”……つまりこの場合は我らがダークエルフの守護女神、三美神の現世における尖兵として、それらと戦い、勢力を奪う為に送り込まれたのではないか……、と言う疑念。
僕や、またガンボン、JB、イベンダー達がそう言う存在としてこの世界へと呼び寄せられたのか? そうだとしたら……僕らの“新しい人生”とは、何なんだ?
「安易に結論、結果を求めるな」
ヘルヴォラはそう言った。それは確かにそうだ。理屈では分かっている。分かっているが、いざ我が事としてその曖昧模糊とした胡乱さに直面すると、なんとも居心地悪く不安になる。
しかし……まさに彼女に指摘された通り、僕がこの世界へと生まれ変わった理由、原因と言うのは、存在理由にも関係する話だ。
今までは、ただそうなった事をそのままの事実として受け入れてきた……受け入れているつもりだったが、神々の特別な意志、思惑がそこに関わっていると言うことをリアルに考えると、様相が変わる。
そしてそこで……やはり彼女たちの言葉に戻る。
「神々の思惑など、我ら定命の者が推し量れるものではない」
と。
考え方を変えるべきだ。そもそも神と言うのは人ではない。その本質は自然現象と同じ。我々が解釈する上である種の擬人化をするだけで、そのかりそめの人格そのものは本質ではない。
僕らは例えば“運命を司るウィドナ”とか、“復讐と獄炎のエンファーラ”などと呼ぶ。それはその神が何を象徴しているかを現しているが、同時に僕らの理解力の限界でもある。擬人化し、僕らと同じような人格を持った者として解釈することでしか、神と言う存在……概念を理解出来ない。
けれどもそれこそがまさに、「安易に結論、結果を求める」心理でもある。
アルバ達との関わり、そして僕自身が別の世界からこの世界へと生まれ変わったと言うその事実。その2つを持ってしても、僕は既に望むと望まざるとそう言う存在と深く関わっている。つまり、この世界における特異なるもの、超越的存在と。だから、他の人たちとは“神”と言う存在への向き合い方が根本的に違っているのだ。
まして、少なくとも前世の世界においては、公に神の実在が証明されていたワケではない。そう言う“神とは人の作り出した概念としてのみ存在する”と言う世界観を、前世の記憶と共に蘇らせてもいる。だから───。
いかん。思考のドツボにはまりつつある。
結局ずっと同じところを行ったり来たりだ。
どんだけ行ったり来たりしたところで、ヘルヴォラの言うとおりに「神の思惑なんか分からんよねー」としか言えない。
考える、悩むことそれ自体が無意味だとは言わない。けど、それでただ足踏みを続けても意味はない。考えるにしても、考えつつも進まなければならないのだ。
◇ ◆ ◇
「ゲームやろー、ゲーム!」
また別の心地よい日差しの春の昼下がり、エルマー達がそう言いながらやってくる。
食後の休み時間。いつもならだいたい読書タイムではあるのだけど、すでに魔女の谷の蔵書の殆どを読み終えてしまったので、今は再読くらいしかやることがない。
なので、ゲームをするの自体はやぶさかではない。
「何をやります?」
「しゅーかくさーい!」
最近のエルマー、そしてヘンリエッタが共にお気に入りなのは、『収穫祭』。
これは僕が前世に知っていたいくつかのゲームのルール、要素を組み合わせて作った物で、闇の森ダークエルフの収穫祭のトレードをモチーフにしている。
各プレイヤーは最初に 自分の郷の特産品カードを手札として5枚持ち、残りをまとめて山札として伏せる。
最初にその山からプレイヤー1人につき5枚を場、つまり交換できるカードとして“市場”へと出す。そして順番に場に出ている特産品カードから自分の手札カードとを交換できる。
交換には「自分の出したカードの合計ポイント」が、「場から選ぶカードを上回ってる」必要があり、市場のカードが5枚から減ったら、山から補充する。
逆に、手札カードは最初の5枚を上回っても良い。その組み合わせで、5ターンまでの間に“役”を作っておく。5ターン後に全員の手札を公開し、集めた特産品の合計ポイントに役による加点を加え、総合ポイントの高い順に勝者が決まる。
ただし、自分の郷の特産品カードは、手札のまま持っていてもポイントにはならない。ポイントになるのは、交換で得た他郷の特産品だけだ。
ポイントを度外視して目標の役に繋がる特産品を集めることを目指すか、出来るだけ高ポイントをキープする事を目指すかで戦略も変わる。
ルール的にはけっこう単純。ケルアディード郷に居た頃に考案し作りはしたけど、僕自身があんまり人付き合いしてなかったのでそんなにはやってなかった。
それをここでまた作ったのか……と言うとそうではなく、なんでもカプレートのウッドエルフから貰ったらしい。
そのカプレートにこれを伝えたのは、モンティラーダ郷に居る僕の本好き仲間のバルトロラムス。なんとも紆余曲折あったもんだが、モンティラーダではかなり流行ってるらしい。
なもんで、考案者だけど実はそんなにやり慣れてない僕は、何気にヘルヴォラとかには負けまくる。さすがにエルマーとかにはそう負けないけど、ヘンリエッタの方は親に似て手強い。
このゲームを作ったのは、“怪物”ゴブリンにやられて死にかけ、前世の記憶が蘇りだした去年の春から夏にかけての頃。あの頃はとにかく思い出したいろんな事を試してみたくて仕方なかったのだ。
他にも幾つかのゲームや何かを再現したり考案したりしてて、やはりその中の幾つかはモンティラーダ郷経由でカプレート他へ流出してるらしい。自分でもけっこう忘れてたけど、これもクトリアで流通させても良いんじゃないかなぁ。
クトリアは娯楽産業が発達してはいるけど、基本はギャンブルばかりで、それも知略、駆け引きよりかは運頼みのものが多い。
ぶっちゃけ僕自身は運頼みのギャンブルって全く興味持てないんだけれども、いわゆる射幸心を煽るのにはそういう要素が強い方が向いてるっぽい。
賭博は三大ファミリーが取り仕切ってるし、そもそも人間社会からギャンブルそれ自体を無くすのは不可能だとは思ってるけど、「運頼みの一か八かのギャンブル」ばかりが娯楽として流行ってるというのは、あーんまり良い社会状況とは言えないから、こういうもっと違うアプローチのゲームも色々広めたいっちゃ広めたいね。もちろん、学びに繋がるならなおよし、だ。
「やったー! 一等!」
とかなんとか考えながらやってると、エルマーが高ポイントを得て勝ち。役の内容によっては比較的集めやすい場合もあるが、難易度の低い役は加点も少ない。けど複合的に役になる組み合わせもあるので、今回は上手く「集めやすいが合わせていくことで高加点の役」を上手く揃えてる。
また、幾つかの役、ルールは、モンティラーダ郷からカプレートを経由する際に変更追加削除されてたりもして、内容も変わってきてる。
「今回のはエルマーのが集めやすい役だったからだよ!」
「負っけ惜しみ~!」
他愛の無い言い争いだが、このゲームに自信のあるヘンリエッタはやや不満げだ。
「まあ、運も実力のうち、とも言いますから」
それより大人しいのはマノーラだ。この娘もまた親に似てか、コミュニケーション、駆け引きの必要なゲームはあまり得意ではないっぽい。
改めて考えるとこのゲーム、イベンダーがよく言う「政治は利害調整と長期的損得勘定が重要」と言う考え方がけっこう反映されてもいる。
もちろん、作った当時はイベンダーとも知り合ってないし、そんなことを意識していたわけではないけれども、ゲームシステムと言うのはまず思想ありきなので、僕が前世で知っていた元ネタのゲームに、やはりそう言う思想が込められていたのかもしれない。
うむ、やはりそう言う面からも、色んな新しいゲームを流通させるのは、思考訓練の出来る教材と言う意味でも良い計画だな。
もう少し必要とするアイテムも少なく、戦略性などが高く思考訓練に向いていて、子供にも分かり易い簡単なルールのもの、無かったかなー。
その後も、他のゲームも含めて幾つかのゲームをし、彼女らはお昼寝の時間となり解散。再び僕はあてがわれた自室で一旦お茶をしながら一息つく。
そこへ、今度はエンスヘーデとマヤが連れ立ってやってくる。
「はぁい、元気?」
「お陰様で」
マヤはまた最近どこかへ出掛けていて、多分何らかの調査、情報を持ち帰って戻ってきたばかりのはず。
なので、もしかしたらまた何かしら僕と関係する情報でもあったのかな、と思ったが、今回はそういうことではないらしい。
「ちょっとついて来て」
促され、僕は立ち上がって彼女らの後を追う。
「何の話ですか?」
「ん~……。話、はわたしからは特に無いわ」
「あなたから、は?」
「そう。ヘルヴォラが待ってるから」
と、そう言うが、行く先はそのヘルヴォラの家ではないようだ。
と言うか、目的地は最初にここへと訪れた“門”で、そこには2人ほどに付き添われ、車輪のついた椅子に座ったヘルヴォラ。ここのところ、ますます体調が良くないようだ。
「やあ」
事も無げで簡単な挨拶に、僕も軽く手を挙げて返す。
「どうしました? こんなところで」
「こんなところでも何もないよ。まさか、ここに来た最初の目的、忘れたわけじゃないよね?」
そりゃあ忘れて無い。
世界の様々な場所と繋がっていて、瞬間移動のように行き来する事の出来る“門”。そこを利用するにはある種の魔術的な“鍵”を自ら持ってなければならない。
しかし、僕はどうやら話によると、元々“蜘蛛の女王”の子、つまりは使徒候補足り得る存在であったこともあって、何度かの転移により“不完全な鍵”が作られてしまった。だから、それをきちんと完成させておかないと、“門”のある場所に来る度に無作為な転移をしてしまう可能性がある。
なので、ヘルヴォラの指導の元、僕の中の“不完全な鍵”を完全なかたちへと変えること。それが、僕がこの“魔女の谷”を訪れた目的だ。
「はい、分かってます」
ヘルヴォラにそう応えると、彼女は軽く微笑んで、
「それじゃ、次の段階に進むよ」
と言う。
「次の、ですか?」
「そうだよ。まさか、ただ絵を描いて物語を綴ってゲームで遊ぶだけで、“鍵”を、完成させる……なんて思っては居ないよね?」
「え、いや、それは……そうですよ?」
正直、基本訓練以外はほぼそんなんばっかだったので、どうするつもりなんだろうとは思って居た。
「前にも言ったけど、創作はあくまで“鍵”を作りコントロールする上での素地づくりの一環だよ。
一般的な……特に人間種向けの魔術理論は数学的なものが多いけど、それはあくまで生来的に魔術に向いていない人間種が、彼らなりに使い易くするために“改良”したものだ」
その辺、確かに習っては居る話。
「君はダークエルフ流を主体としつつも、トゥエン・ディンの元で人間流、そして父からの東方流とを複合的に学んでいる。
それにより、ある意味柔軟で多面的な魔術理論に触れてきて居るわけだけど、本質……つまり、魔術の本質と君自身の本質からは、やや離れてしまっていた」
「それは……どういうことですか?」
「君の本質は理論家ではなく芸術家だ。だから、人間流の魔術理論より、芸術に寄り添った創造的な魔術に向いている」
ふぅむ、と考える。
確かに僕は理屈っぽくはあるけど理論家ではない。その辺、例えばイベンダーと僕は真逆で、彼は一見すると大ざっぱで直感的な性格に見えるが、やはり本質の部分が理論的。だから魔導技師としての腕も一流だ。
しかし同じ様に魔導具を作り出す技に長けた、付呪師として超一流である母ナナイはどうかというと、見たまんまに直感派。イベンダーのような細密で複雑な術式を組み合わせたり再現したりするのは巧くないが、傍目には「なんで?」と思えるような雑なやり方で高品質の付呪品を作れる。
つまり、同じ様に見える付呪、魔導技師の技術にしても、人によって得意不得意があり、その適性資質の差が、やり方や結果にも現れる。
僕は言うまでもなく理屈っぽい性格で、だからこそトゥエン・ディン師やその弟子の魔術師達から人間たちの理論化された魔術を学んだ。
それを……ヘルヴォラは「あなたの気質には向いていない」と、そう言ったワケだけど、も……。
うん、正直、めっちゃ思い当たる。というか、やっぱそうか~……と、思う。
「自分でも分かってるみたいね」
表情からそう読み取ったのか、ヘルヴォラはそう言うと、左右から支えられながらゆっくり立ち上がる。
手にした杖……僕が使うような身体を支えるような杖でも、また、叔母のガヤンが持っているような“いかにも”と言う長い魔術師の杖……スタッフでもなく、短く小さな指示棒くらいの魔法の杖、ワンド。先端には“蜘蛛の女王”を象徴する蜘蛛の巣のシンボルを象った装飾に宝石がはめ込まれている。
そのワンドを軽く回しながら、彼女は話を続ける。
「イメージは魔術において重要だが、それは単純に心の中に何かを思い浮かべれば良いと言う事ではない。
術式の構築とは魔力を正確に操作する技術で、それらを裏付けるのにイマジネーションが必要になる。
頭のなかでどんなにイメージを膨らませても、それを具現化する技術が無ければ、絵も作品も何も生み出せないのと同じことだ。
君は人間たちの魔術理論から、数学的に術式を構築するやり方を学んだ。それは特に、潜在的魔力適性に欠けた人間たちには効率が良いもので、まだ未熟で魔力循環も鍛えられていなかった君にも有用なものに思えただろう。
けど、今の君は昔の君とは違う。様々な経験を経て、魔術師としても、その他の面でも成長している。
だから───」
回し続けていたワンドの先から、奇妙な光が軌跡を描き空間を歪ませる。
その円の向こうは、こことは違う空間。つまり、
「“門”を……開いた?」
“門”をくぐり転移したのは何度もある。けれどもこういう形で……つまり、何者かが能動的な意志、操作の元に誰にでも見える形で“門”を開くのは見たことがない。
その様を、まるで魅入られたかに見つめている僕の背を、何者かがすっ、と押す。
不意を突かれてつんのめり、たたらを踏んで押し止まろうとするも、その矢先に今度は何かを投げつけられてさらに数歩。
「今度は実施訓練だよ」
ヘルヴォラにより開かれた“門”の先へと足を踏み入れた僕の耳に、最後にそう聞こえて来たが、向こうには僕の悲鳴に近い返答は、多分届いて居ないだろう。
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