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《sideレイチェル》
春休みが終わり、3年生に進級したその日、私はある女生徒に話しかけられました。
「レイチェル様。少しよろしいでしょうか」
(この人は……)
話しかけてきた女生徒は、リチャード殿下が興味を示していた、天真爛漫な女生徒達の1人です。名前は確か……。
「マリア=フォーレンス伯爵令嬢……でしたよね? 何でしょうか?」
フォーレンス伯爵家。伯爵家ながら、当主は代々学園の長を兼任しており、それなりに力のあるお家です。
「……リチャード殿下の事でお話があります。ここではなんですので、場所を変えさせて下さい」
リチャード殿下の事と言われたら無下にする事は出来ません。それに、話の内容によっては、ここで話をするのは得策でない可能性が高いです。
「分かりました。場所を変えましょう」
フォーレンス伯爵令嬢の案内で、普段は使われていない特別教室へと向かいました。確かにここなら、周りの目を気にせずに会話が出来るでしょう。
この時の私は、フォーレンス伯爵令嬢の話の内容について考えていて、気がそぞろになり、その教室に他の令嬢が待ち受けている事に気付けませんでした。
ピシッ!!
(――っ!)
私とフォーレンス伯爵令嬢が教室に入った瞬間に教室の扉が閉められ、その扉を塞ぐように令嬢達が立ちふさがります。
(しまった!?)
ここでようやく私ははめられたことに気が付きました。
(扉の前に2人……窓に3人。全部で6人。…………って、ちょっと多くない!? いえ、落ち着いて……落ち着いて……)
予想外の展開に驚いたとはいえ、それを顔に表すような私ではありません。王妃教育は伊達ではないのです。
「フォーレンス伯爵令嬢。これはどういう事でしょうか? 私は――」
「――黙りなさい」
「え? 今何と?」
「黙れって言ったのよ!! このモブが!!」
「っ!?」
聞き間違いかと思いましたが、そうではないらしいです。あまりの展開に王妃教育を受けた私でさえ、感情が顔に表れてしまいました。
(『黙れ』って言ったの? 伯爵令嬢ごときが私に? というか『モブ』って……)
「言葉を控えなさい、フォーレンス伯爵令嬢。いくら学園の中の事とは言え、それ以上の発言は不敬罪になりますよ」
いくら学園の中とはいえ、私とフォーレンス伯爵令嬢では明確に立場が違います。私のメンツのためにも、見過ごす事は出来ません。
というか、もし『モブキャラ』が『死ね』や『殺す』などと言った意味でしたら、今の時点で不敬罪を適用すべき状態です。流石にそんな意味ではないと思うのですが……。
「はっ! 偉そうにしちゃって。どうせあなたも転生者なんでしょ?」
「……はい?? 何を言って――」
(『転生者』?)
どういう意味なのでしょうか。またしても理解できない言葉がとびだしてきました。王妃教育でスラングから古語まで様々な言語を学んだのですが、明らかに聞いた事のない言葉です。
「とぼけないで! 貴女も『君が王子の家庭教師《かて》』を知ってるんでしょ? だから『ざまぁ』されないように性格を変えてリチャードの好感度を稼いでたんでしょ!?」
「――っ!?!?」
もはや表情を取り繕う事は出来ませんでした。
(リチャード殿下を呼び捨てにした!? 何考えているのよ!!)
これで彼女達の不敬罪は確定です。命が惜しくないのでしょうか。それとも別の理由が?
そんなことを考えていると、それまで静かにしていた他の令嬢達が騒ぎ出しました。
「ちょっと待って! 何度も言ってるけど、この世界は『目指せシンデレラストーリー』よ! ヒロインは私なの!」
「はぁ!? 貴女こそまだそんな事言っているの!? この世界は『女が騎士になっちゃいけないなんて誰が決めた!』でしょ? 騎士を目指していない貴女がヒロインのわけないじゃん!!」
皆さんがそれぞれご自身の意見を主張し始めたため、収拾がつかなくなってしまいました。こういう時、本来私が場を治めるべきなのですが、皆さんの言葉が理解できないため、手が出せずにいました。そんな中、フォーレンス伯爵令嬢が彼女達を一喝します。
「あー、もう! ちょっと黙って! 今はこっち側でもめている場合じゃないの!! 分かってるでしょ!?」
フォーレンス伯爵令嬢の言葉を聞いて、渋々といった様子ではある者の、彼女達は落ち着きを取り戻したようです。
「全く……。まぁ、そういうわけよ。ここがどの世界なのだとしても貴女にはちゃんと役目をはたしてもらわなきゃ困るのよ! 勝手にストーリーを改変しないで!」
(――っ!!)
あれだけ混乱していた令嬢達をまとめた手腕は見事です。が、彼女の言い分を認める事は私には決して出来ません!
「役目? 私はちゃんとリチャード殿下の婚約者としての役目を果たしております。部外者が口を挟まないでください!」
「――っ!!!」
特別な《・・・》王妃教育のせいで、彼女達は私に思う所があるのかもしれません……。
それでも! 誰が何と言おうと! 私はリチャード殿下の婚約者としての役目をちゃんと果たしています!
「違うでしょ! あんたの役目は、リチャードを束縛する悪役令嬢でしょ! なんでリチャードを支えているのよ!!」
「……………………は???」
(ちょっとちょっとちょっと!!)
今度は言葉の意味は理解できたのですが、言葉の内容を理解する事が出来ません。彼女は反逆を促しているのでしょうか? 彼女の目的が分かりません。
ですが、周りの彼女達はフォーレンス伯爵令嬢の目的が分かっているようで、口々に追従してきます。
「そうよそうよ!」
「貴女はもっとわがままを言ってリチャードを困らせる存在のはずでしょ!」
「それが、何、良い子にしてんのよ! 悪役令嬢に産まれたんだから諦めなさいよ!!」
(リチャード殿下を困らせるって……これはもうダメね)
彼女達はリチャード殿下に迷惑をかけたいのでしょうか? 今の発言を加味すると、もはや不敬罪などではなく、反逆罪や国家転覆罪となってしまい、処罰の対象が『当人』から『一族全員』となってしまいます。
彼女達が何をしたいのか分からずにいると、フォーレンス伯爵令嬢がさらに言葉をつづけました。
「まぁ、さすがに、断罪が嫌なのは私も分かるわよ。だから、この中の誰がどんなエンディングを迎えても、貴女を自分付きのメイドとして迎える事を約束するわ。だから貴女も、ちゃんと悪役令嬢を演じなさい。分かった?」
(えぇ……)
分かったも何も、この状況で断罪されるのは、フォーレンス伯爵令嬢を含めた彼女達です。そもそもなんで公爵令嬢である私が、誰かのメイドになるという話になるのでしょうか。さっぱり理解できず混乱している私に、焦れた様子のフォーレンス伯爵令嬢が、私につかみかかろうとしてきました。
「貴女、いい加減に――」
「――おっと、そこまでだ」
私に向けて伸ばされたその腕を、横から伸びた手がつかみます。
「君達は私の婚約者に何をしようとしているのかな?」
腕を掴まれたフォーレンス伯爵令嬢と周りの令嬢達が固まっています。それも仕方のない事でしょう。
フォーレンス伯爵令嬢の腕をつかんだのは、他でもない、リチャード殿下だったのですから。
春休みが終わり、3年生に進級したその日、私はある女生徒に話しかけられました。
「レイチェル様。少しよろしいでしょうか」
(この人は……)
話しかけてきた女生徒は、リチャード殿下が興味を示していた、天真爛漫な女生徒達の1人です。名前は確か……。
「マリア=フォーレンス伯爵令嬢……でしたよね? 何でしょうか?」
フォーレンス伯爵家。伯爵家ながら、当主は代々学園の長を兼任しており、それなりに力のあるお家です。
「……リチャード殿下の事でお話があります。ここではなんですので、場所を変えさせて下さい」
リチャード殿下の事と言われたら無下にする事は出来ません。それに、話の内容によっては、ここで話をするのは得策でない可能性が高いです。
「分かりました。場所を変えましょう」
フォーレンス伯爵令嬢の案内で、普段は使われていない特別教室へと向かいました。確かにここなら、周りの目を気にせずに会話が出来るでしょう。
この時の私は、フォーレンス伯爵令嬢の話の内容について考えていて、気がそぞろになり、その教室に他の令嬢が待ち受けている事に気付けませんでした。
ピシッ!!
(――っ!)
私とフォーレンス伯爵令嬢が教室に入った瞬間に教室の扉が閉められ、その扉を塞ぐように令嬢達が立ちふさがります。
(しまった!?)
ここでようやく私ははめられたことに気が付きました。
(扉の前に2人……窓に3人。全部で6人。…………って、ちょっと多くない!? いえ、落ち着いて……落ち着いて……)
予想外の展開に驚いたとはいえ、それを顔に表すような私ではありません。王妃教育は伊達ではないのです。
「フォーレンス伯爵令嬢。これはどういう事でしょうか? 私は――」
「――黙りなさい」
「え? 今何と?」
「黙れって言ったのよ!! このモブが!!」
「っ!?」
聞き間違いかと思いましたが、そうではないらしいです。あまりの展開に王妃教育を受けた私でさえ、感情が顔に表れてしまいました。
(『黙れ』って言ったの? 伯爵令嬢ごときが私に? というか『モブ』って……)
「言葉を控えなさい、フォーレンス伯爵令嬢。いくら学園の中の事とは言え、それ以上の発言は不敬罪になりますよ」
いくら学園の中とはいえ、私とフォーレンス伯爵令嬢では明確に立場が違います。私のメンツのためにも、見過ごす事は出来ません。
というか、もし『モブキャラ』が『死ね』や『殺す』などと言った意味でしたら、今の時点で不敬罪を適用すべき状態です。流石にそんな意味ではないと思うのですが……。
「はっ! 偉そうにしちゃって。どうせあなたも転生者なんでしょ?」
「……はい?? 何を言って――」
(『転生者』?)
どういう意味なのでしょうか。またしても理解できない言葉がとびだしてきました。王妃教育でスラングから古語まで様々な言語を学んだのですが、明らかに聞いた事のない言葉です。
「とぼけないで! 貴女も『君が王子の家庭教師《かて》』を知ってるんでしょ? だから『ざまぁ』されないように性格を変えてリチャードの好感度を稼いでたんでしょ!?」
「――っ!?!?」
もはや表情を取り繕う事は出来ませんでした。
(リチャード殿下を呼び捨てにした!? 何考えているのよ!!)
これで彼女達の不敬罪は確定です。命が惜しくないのでしょうか。それとも別の理由が?
そんなことを考えていると、それまで静かにしていた他の令嬢達が騒ぎ出しました。
「ちょっと待って! 何度も言ってるけど、この世界は『目指せシンデレラストーリー』よ! ヒロインは私なの!」
「はぁ!? 貴女こそまだそんな事言っているの!? この世界は『女が騎士になっちゃいけないなんて誰が決めた!』でしょ? 騎士を目指していない貴女がヒロインのわけないじゃん!!」
皆さんがそれぞれご自身の意見を主張し始めたため、収拾がつかなくなってしまいました。こういう時、本来私が場を治めるべきなのですが、皆さんの言葉が理解できないため、手が出せずにいました。そんな中、フォーレンス伯爵令嬢が彼女達を一喝します。
「あー、もう! ちょっと黙って! 今はこっち側でもめている場合じゃないの!! 分かってるでしょ!?」
フォーレンス伯爵令嬢の言葉を聞いて、渋々といった様子ではある者の、彼女達は落ち着きを取り戻したようです。
「全く……。まぁ、そういうわけよ。ここがどの世界なのだとしても貴女にはちゃんと役目をはたしてもらわなきゃ困るのよ! 勝手にストーリーを改変しないで!」
(――っ!!)
あれだけ混乱していた令嬢達をまとめた手腕は見事です。が、彼女の言い分を認める事は私には決して出来ません!
「役目? 私はちゃんとリチャード殿下の婚約者としての役目を果たしております。部外者が口を挟まないでください!」
「――っ!!!」
特別な《・・・》王妃教育のせいで、彼女達は私に思う所があるのかもしれません……。
それでも! 誰が何と言おうと! 私はリチャード殿下の婚約者としての役目をちゃんと果たしています!
「違うでしょ! あんたの役目は、リチャードを束縛する悪役令嬢でしょ! なんでリチャードを支えているのよ!!」
「……………………は???」
(ちょっとちょっとちょっと!!)
今度は言葉の意味は理解できたのですが、言葉の内容を理解する事が出来ません。彼女は反逆を促しているのでしょうか? 彼女の目的が分かりません。
ですが、周りの彼女達はフォーレンス伯爵令嬢の目的が分かっているようで、口々に追従してきます。
「そうよそうよ!」
「貴女はもっとわがままを言ってリチャードを困らせる存在のはずでしょ!」
「それが、何、良い子にしてんのよ! 悪役令嬢に産まれたんだから諦めなさいよ!!」
(リチャード殿下を困らせるって……これはもうダメね)
彼女達はリチャード殿下に迷惑をかけたいのでしょうか? 今の発言を加味すると、もはや不敬罪などではなく、反逆罪や国家転覆罪となってしまい、処罰の対象が『当人』から『一族全員』となってしまいます。
彼女達が何をしたいのか分からずにいると、フォーレンス伯爵令嬢がさらに言葉をつづけました。
「まぁ、さすがに、断罪が嫌なのは私も分かるわよ。だから、この中の誰がどんなエンディングを迎えても、貴女を自分付きのメイドとして迎える事を約束するわ。だから貴女も、ちゃんと悪役令嬢を演じなさい。分かった?」
(えぇ……)
分かったも何も、この状況で断罪されるのは、フォーレンス伯爵令嬢を含めた彼女達です。そもそもなんで公爵令嬢である私が、誰かのメイドになるという話になるのでしょうか。さっぱり理解できず混乱している私に、焦れた様子のフォーレンス伯爵令嬢が、私につかみかかろうとしてきました。
「貴女、いい加減に――」
「――おっと、そこまでだ」
私に向けて伸ばされたその腕を、横から伸びた手がつかみます。
「君達は私の婚約者に何をしようとしているのかな?」
腕を掴まれたフォーレンス伯爵令嬢と周りの令嬢達が固まっています。それも仕方のない事でしょう。
フォーレンス伯爵令嬢の腕をつかんだのは、他でもない、リチャード殿下だったのですから。
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