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結
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《sideレイチェル》
(――と、言うわけで、彼女達は私と同じ場所で生きていた人達だと思う。私達みたいに身体を共有してるんじゃなくて、身体を乗っ取っちゃったんじゃないかな)
王城に向かう馬車の中で、彼女が先ほどのフォーレンス伯爵令嬢達の言葉の意味を教えてくれました。私も彼女に身体を乗っ取られていたのかもしれない。そう思うと少し怖いです。
まぁ、それ以上に彼女には感謝しているのですが……。
(あはは。私ってば、昔はほんとわがままだったもんね。私のいう事聞いておいてよかったでしょ?)
彼女は私の事も彼女自身の事も『私』と言います。紛らわしいのでやめて欲しいのですが……。
(だって、私は私なんだもん)
とのことです。何はともあれ、彼女のおかげでフォーレンス伯爵令嬢達の奇行の意味は分かりました。決して理解は出来ませんが……。
(それでいいと思うよ。よその世界の価値観なんて、そう簡単に理解できるわけないし。私達くらいの距離感がちょうどいいんだよ)
その通りですね。彼女がそういう人間で本当に良かったと思います。
(あはは。照れるなぁ)
……思考が全て伝わってしまうため、彼女に隠し事が出来ない事が、唯一の難点です。
しばらくすると、馬車が王宮に着いたようです。顔なじみの執事さんが馬車の扉を開けてくれました。
「お待ちしておりました。レイチェル公爵令嬢。リチャード殿下がお待ちです」
「ええ。ご苦労様」
(くー! 私が執事にちゃんとお礼を言えるようになって……成長したね!)
うるさいですよ。事あるごとに貴女に諭されれば、態度も改まるという物です。
(ふふふ。私も頑張った!)
……。
調子に乗る彼女を無視して執事さんの後について行くと、いつも王妃様とお茶会をしている会場に案内されました。
(あれ? って事は)
そういう事なのでしょう。
会場に着くと、私達の予想通り、リチャード殿下とクリス王妃が私達を待っていました。
「お待たせ致しました。クリス王妃。リチャード殿下」
「いえいえ。むしろよく来てくれたわ。もう来てくれないかもと思ったもの」
「母上……不吉な事をおっしゃらないでください」
リチャード殿下が苦々し気にクリス王妃におっしゃいます。
「何が『不吉な事』よ。貴方、レイチェルが本当にあと一歩で婚約解消しようとしていた事、気付いてなかったでしょ?」
「え!?」
クリス王妃のお言葉に、リチャード殿下は驚いてこちらをご覧になりました。
「クリス王妃のおっしゃる通りです。私では、リチャード殿下の婚約者として、力不足なのではと……」
本当に後一歩で私の心は折れていたと思います。少なくとも、クリス王妃がいらっしゃらなければ、とっくに折れていたでしょう。
「そんな! 何を言ってるんだ! 君程王妃にふさわしい人間はいないというのに!」
リチャード殿下はそうおっしゃいますが、私はそうは思いません。確かに私自身の成績は悪くないですが、私は、リチャード殿下の成績を上げる事が出来なかったのですから。
「ねぇ、リチャード。貴方、成績の事、レイチェルになんて言ってたの?」
私達の様子を見ていたクリス王妃が、リチャード殿下に尋ねました。
「なんてって……『次こそ王族にふさわしい成績をとる』って」
「それ、具体的には何点で何位を取るつもりだったの?」
「今回のテストは435点を目指した。それで31位になれると思ったから。ちょっと読み違えて32位だったけど……」
は?
(え??)
435点で31位を目指した?? それはつまり、31位を目指すために点数調整をしたという事でしょうか? だとすると、なぜそんなことを??
「ど、どういう意味ですか!?」
「どういう意味って……入学の試験でレイチェルが1位で俺が2位だったろ? それなのに私が主席として入学式で挨拶をする事になって……誰かが王家に忖度したって事だろ? 公正な学園であってはならない事だ」
学園による王族貴族への忖度は、国法で禁じられています。とはいえそれは、テストの内容を特定の人間にだけ教えたり、特定の人間の点数を不当に上げたりする行為の事だと思っていました。
(2位の王族を主席にするのも、十分忖度だよ)
……確かに彼女の言う通りです。リチャード殿下が主席の方が良いと思って失念していました。
「で、ですが……」
「それに、テストの時だけレイチェルが『ミリア』という偽名を使っていたのも知っている。それが、学園長であるフォーレンス伯爵からの指示だってこともな」
「――!!」
入学試験の後、フォーレンス伯爵から『婚約者である貴女が、リチャード殿下より高得点を取るのは見栄えが良くない。次回からテストは『ミリア』という名前で受けてくれ』と言われていました。
「学園での忖度は、総じて生徒のやる気をそぐ行為だ。たとえどんなに軽い物でも、決して認める事は出来ない」
リチャード殿下は力強くおっしゃいます。
「もしかしてリチャード殿下が31位を狙われていたのは……」
「成績上位40名を掲示させて、レイチェルの名前が無い事を確認するためだ。王家から学園に問い合わせたら、警戒されてしまうからな」
簡単におっしゃいますが、それはとても難しい事です。少なくとも私は、テストで満点を取る事は出来るかもしれませんが、狙った順位をとる事は出来ません。
「ク、クリス王妃が『これがあの子の実力』とおっしゃったのは」
「ああ、学友の成績を見誤ったことに対して、よ。次期国王たるもの、周囲の人間の成績をきちんと把握して、狙った成績ぐらい取れるようにならないと。ね?」
「……力不足でした。スミスのやつが思ったより高得点だったようです」
リチャード殿下が苦々し気におっしゃいました。
(スミス君、勉強頑張っただけなのに……哀れ)
しかし、そうなると一つ疑問が残ります。
「ではなぜ、私にあのような王妃教育を?」
私の質問にリチャード殿下は暗い顔をされてしまいました。
「…………フォーレンス伯爵について調べていくうちに、今回の件を裏で糸を引いている存在がいる事が分かったのだ」
話が飛んでいる気がしたのですが、リチャード殿下のお声は真剣そのものです。ここは、黙って聞く事にします。
「それが、フォーレンス伯爵の娘、マリア=フォーレンスだ」
「……え?」
あの方が……黒幕??
自分でも考えてみますが、どうもしっくりきません。あの方に、そのような知恵があるとは思えないのです。
「たかが伯爵令嬢にそんなことが出来るのか、か? ああ、その通りだ。私も彼女が黒幕だとは思っていない。恐らく本当の黒幕がいるのだろう」
それならば、納得できます。リチャード殿下の言葉に、私は頷きました。しかし――
(うーん。多分黒幕はいないと思う……)
彼女の意見は異なるようです。どういう意味でしょうか。
(多分、あのマリアって子は、前世の記憶にあるイベントを、無理やり起こそうとしたんだと思うよ。そのためのフラグとして『主席入学のリチャード殿下』と『成績が悪いレイチェル公爵令嬢』が必要だったんじゃないかな?)
『いべんと』や『ふらぐ』については、彼女から聞いていました。正直、理解できたとは言い難いのですが、何となく、状況は分かりました。
つまりは強引に自分に都合のいい状況に持ち込もうとしたようです。ですが……。
「フォーレンス伯爵令嬢の事は分かりました。ですが、それがあの王妃教育とどのような関係が?」
それが分かりませんでした。
「フォーレンス伯爵令嬢の事を調べていて分かったのだが……彼女はつい最近急に性格が変わったらしい。そして、時同じくして複数の令嬢の性格が変わり、皆天真爛漫な……私好みの性格になっていることが分かったのだ」
リチャード殿下は言いにくそうにおっしゃいました。
そうですか。あのような性格が本当に好みなのですか。
(ちょ、ちょっと私? 気持ちは分かるけど今は抑えて!)
彼女に言われて、リチャード殿下のお顔が引きつっている事に気付きました。どうやら、私の中の怒気が漏れ出してしまっていたようです。
「失礼しました。続きをお願い致します」
「あ、ああ。と、とにかく! これは何か裏があると思ってな? レイチェルにも同じような性格を演じてもらったのだ」
確かに黒幕がいれば、その手は正しかったのかもしれません。自分が指示した内容を、自分が指示していない令嬢が実施していれば、気になるのが人の性という物です。
「結果、黒幕を捕える事が出来なかった事は、申し訳なく思う。だが、6人もの令嬢を捕まえる事が出来たのだ。彼女達から、真の黒幕にたどり着く事が出来るだろう」
申し訳ありません。恐らく真の黒幕は神様です。そして彼女達から、真の黒幕にたどり着く事は出来ないでしょう。
それにしても……。
「お話は分かりました。それにしても……リチャード殿下って、本当にああいう性格が好みなんですか?」
「え、いや、まぁ……可愛いとは思うけど…………」
「………………そうですか」
リチャード殿下のお考えは分かりました。少しだけ感じていた嫌悪感も、今はもう感じません。ですが、リチャード殿下を本当に支えたいと思ったら、あのキャラを演じる必要があるようです。
人前では絶対に無理。でも、2人っきりの時なら……。
(あはは。本当に私ってば可愛いんだから)
うるさいですよ、私。
リチャード殿下と二人っきりになれない事も、彼女がいる事の難点かもしれません。
◆あとがき◆
ちなみに、『起』で書いた『レイチェルの苦手な事』は、『周囲の気持ちを察する事』です。『成績上位者の一覧に名前をのせないようにする』というフォーレンス伯爵(令嬢)の悪意や、『成績上位者のクラスにいるのだから、成績上位者のはずなのに、大人の事情で名前を乗せてもらえないレイチェル』を可哀そうに思っている他のクラスメイト達の気持ちに、レイチェルは全く気付いていませんでした。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます!
少しでも、面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、ブックマーク、高評価を頂けると嬉しいです!
(――と、言うわけで、彼女達は私と同じ場所で生きていた人達だと思う。私達みたいに身体を共有してるんじゃなくて、身体を乗っ取っちゃったんじゃないかな)
王城に向かう馬車の中で、彼女が先ほどのフォーレンス伯爵令嬢達の言葉の意味を教えてくれました。私も彼女に身体を乗っ取られていたのかもしれない。そう思うと少し怖いです。
まぁ、それ以上に彼女には感謝しているのですが……。
(あはは。私ってば、昔はほんとわがままだったもんね。私のいう事聞いておいてよかったでしょ?)
彼女は私の事も彼女自身の事も『私』と言います。紛らわしいのでやめて欲しいのですが……。
(だって、私は私なんだもん)
とのことです。何はともあれ、彼女のおかげでフォーレンス伯爵令嬢達の奇行の意味は分かりました。決して理解は出来ませんが……。
(それでいいと思うよ。よその世界の価値観なんて、そう簡単に理解できるわけないし。私達くらいの距離感がちょうどいいんだよ)
その通りですね。彼女がそういう人間で本当に良かったと思います。
(あはは。照れるなぁ)
……思考が全て伝わってしまうため、彼女に隠し事が出来ない事が、唯一の難点です。
しばらくすると、馬車が王宮に着いたようです。顔なじみの執事さんが馬車の扉を開けてくれました。
「お待ちしておりました。レイチェル公爵令嬢。リチャード殿下がお待ちです」
「ええ。ご苦労様」
(くー! 私が執事にちゃんとお礼を言えるようになって……成長したね!)
うるさいですよ。事あるごとに貴女に諭されれば、態度も改まるという物です。
(ふふふ。私も頑張った!)
……。
調子に乗る彼女を無視して執事さんの後について行くと、いつも王妃様とお茶会をしている会場に案内されました。
(あれ? って事は)
そういう事なのでしょう。
会場に着くと、私達の予想通り、リチャード殿下とクリス王妃が私達を待っていました。
「お待たせ致しました。クリス王妃。リチャード殿下」
「いえいえ。むしろよく来てくれたわ。もう来てくれないかもと思ったもの」
「母上……不吉な事をおっしゃらないでください」
リチャード殿下が苦々し気にクリス王妃におっしゃいます。
「何が『不吉な事』よ。貴方、レイチェルが本当にあと一歩で婚約解消しようとしていた事、気付いてなかったでしょ?」
「え!?」
クリス王妃のお言葉に、リチャード殿下は驚いてこちらをご覧になりました。
「クリス王妃のおっしゃる通りです。私では、リチャード殿下の婚約者として、力不足なのではと……」
本当に後一歩で私の心は折れていたと思います。少なくとも、クリス王妃がいらっしゃらなければ、とっくに折れていたでしょう。
「そんな! 何を言ってるんだ! 君程王妃にふさわしい人間はいないというのに!」
リチャード殿下はそうおっしゃいますが、私はそうは思いません。確かに私自身の成績は悪くないですが、私は、リチャード殿下の成績を上げる事が出来なかったのですから。
「ねぇ、リチャード。貴方、成績の事、レイチェルになんて言ってたの?」
私達の様子を見ていたクリス王妃が、リチャード殿下に尋ねました。
「なんてって……『次こそ王族にふさわしい成績をとる』って」
「それ、具体的には何点で何位を取るつもりだったの?」
「今回のテストは435点を目指した。それで31位になれると思ったから。ちょっと読み違えて32位だったけど……」
は?
(え??)
435点で31位を目指した?? それはつまり、31位を目指すために点数調整をしたという事でしょうか? だとすると、なぜそんなことを??
「ど、どういう意味ですか!?」
「どういう意味って……入学の試験でレイチェルが1位で俺が2位だったろ? それなのに私が主席として入学式で挨拶をする事になって……誰かが王家に忖度したって事だろ? 公正な学園であってはならない事だ」
学園による王族貴族への忖度は、国法で禁じられています。とはいえそれは、テストの内容を特定の人間にだけ教えたり、特定の人間の点数を不当に上げたりする行為の事だと思っていました。
(2位の王族を主席にするのも、十分忖度だよ)
……確かに彼女の言う通りです。リチャード殿下が主席の方が良いと思って失念していました。
「で、ですが……」
「それに、テストの時だけレイチェルが『ミリア』という偽名を使っていたのも知っている。それが、学園長であるフォーレンス伯爵からの指示だってこともな」
「――!!」
入学試験の後、フォーレンス伯爵から『婚約者である貴女が、リチャード殿下より高得点を取るのは見栄えが良くない。次回からテストは『ミリア』という名前で受けてくれ』と言われていました。
「学園での忖度は、総じて生徒のやる気をそぐ行為だ。たとえどんなに軽い物でも、決して認める事は出来ない」
リチャード殿下は力強くおっしゃいます。
「もしかしてリチャード殿下が31位を狙われていたのは……」
「成績上位40名を掲示させて、レイチェルの名前が無い事を確認するためだ。王家から学園に問い合わせたら、警戒されてしまうからな」
簡単におっしゃいますが、それはとても難しい事です。少なくとも私は、テストで満点を取る事は出来るかもしれませんが、狙った順位をとる事は出来ません。
「ク、クリス王妃が『これがあの子の実力』とおっしゃったのは」
「ああ、学友の成績を見誤ったことに対して、よ。次期国王たるもの、周囲の人間の成績をきちんと把握して、狙った成績ぐらい取れるようにならないと。ね?」
「……力不足でした。スミスのやつが思ったより高得点だったようです」
リチャード殿下が苦々し気におっしゃいました。
(スミス君、勉強頑張っただけなのに……哀れ)
しかし、そうなると一つ疑問が残ります。
「ではなぜ、私にあのような王妃教育を?」
私の質問にリチャード殿下は暗い顔をされてしまいました。
「…………フォーレンス伯爵について調べていくうちに、今回の件を裏で糸を引いている存在がいる事が分かったのだ」
話が飛んでいる気がしたのですが、リチャード殿下のお声は真剣そのものです。ここは、黙って聞く事にします。
「それが、フォーレンス伯爵の娘、マリア=フォーレンスだ」
「……え?」
あの方が……黒幕??
自分でも考えてみますが、どうもしっくりきません。あの方に、そのような知恵があるとは思えないのです。
「たかが伯爵令嬢にそんなことが出来るのか、か? ああ、その通りだ。私も彼女が黒幕だとは思っていない。恐らく本当の黒幕がいるのだろう」
それならば、納得できます。リチャード殿下の言葉に、私は頷きました。しかし――
(うーん。多分黒幕はいないと思う……)
彼女の意見は異なるようです。どういう意味でしょうか。
(多分、あのマリアって子は、前世の記憶にあるイベントを、無理やり起こそうとしたんだと思うよ。そのためのフラグとして『主席入学のリチャード殿下』と『成績が悪いレイチェル公爵令嬢』が必要だったんじゃないかな?)
『いべんと』や『ふらぐ』については、彼女から聞いていました。正直、理解できたとは言い難いのですが、何となく、状況は分かりました。
つまりは強引に自分に都合のいい状況に持ち込もうとしたようです。ですが……。
「フォーレンス伯爵令嬢の事は分かりました。ですが、それがあの王妃教育とどのような関係が?」
それが分かりませんでした。
「フォーレンス伯爵令嬢の事を調べていて分かったのだが……彼女はつい最近急に性格が変わったらしい。そして、時同じくして複数の令嬢の性格が変わり、皆天真爛漫な……私好みの性格になっていることが分かったのだ」
リチャード殿下は言いにくそうにおっしゃいました。
そうですか。あのような性格が本当に好みなのですか。
(ちょ、ちょっと私? 気持ちは分かるけど今は抑えて!)
彼女に言われて、リチャード殿下のお顔が引きつっている事に気付きました。どうやら、私の中の怒気が漏れ出してしまっていたようです。
「失礼しました。続きをお願い致します」
「あ、ああ。と、とにかく! これは何か裏があると思ってな? レイチェルにも同じような性格を演じてもらったのだ」
確かに黒幕がいれば、その手は正しかったのかもしれません。自分が指示した内容を、自分が指示していない令嬢が実施していれば、気になるのが人の性という物です。
「結果、黒幕を捕える事が出来なかった事は、申し訳なく思う。だが、6人もの令嬢を捕まえる事が出来たのだ。彼女達から、真の黒幕にたどり着く事が出来るだろう」
申し訳ありません。恐らく真の黒幕は神様です。そして彼女達から、真の黒幕にたどり着く事は出来ないでしょう。
それにしても……。
「お話は分かりました。それにしても……リチャード殿下って、本当にああいう性格が好みなんですか?」
「え、いや、まぁ……可愛いとは思うけど…………」
「………………そうですか」
リチャード殿下のお考えは分かりました。少しだけ感じていた嫌悪感も、今はもう感じません。ですが、リチャード殿下を本当に支えたいと思ったら、あのキャラを演じる必要があるようです。
人前では絶対に無理。でも、2人っきりの時なら……。
(あはは。本当に私ってば可愛いんだから)
うるさいですよ、私。
リチャード殿下と二人っきりになれない事も、彼女がいる事の難点かもしれません。
◆あとがき◆
ちなみに、『起』で書いた『レイチェルの苦手な事』は、『周囲の気持ちを察する事』です。『成績上位者の一覧に名前をのせないようにする』というフォーレンス伯爵(令嬢)の悪意や、『成績上位者のクラスにいるのだから、成績上位者のはずなのに、大人の事情で名前を乗せてもらえないレイチェル』を可哀そうに思っている他のクラスメイト達の気持ちに、レイチェルは全く気付いていませんでした。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます!
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