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ゆがんだ愛情
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『しーにぃ。
遊んで』
僕は大好きなしーにぃに遊んでほしくて、せいいっぱい背筋を伸ばした。
『おいで……』
しーにぃは優しく微笑んで、僕を抱き上げた。
僕はそんな優しいしーにぃが大好きで、泣きたくなる。
思わずうるんでしまった僕を見とがめて、しーにぃは『大丈夫か?』と頭を撫でてくれた。
大好き!
しーにぃ!!
胸がドキドキと高鳴る。
僕は、津田君のことが好きだ!!!!
切ない気持ちが胸に沸いた。
だけど次の瞬間、場面が切り替わり、津田君と鈴ヶ宮が唇を重ね合わせていた。
とたんに、体中の血の気が引いて、寒さすら感じるほどだった。
「僕のしーにぃになにするんだ!!」
真咲は大きな声で叫んでいた。
真咲は必死に忍と鈴ヶ宮を引き離そうとするのに、二人はびくともしなかった。
「やめて。
香月。
僕はもう、この人のモノだから」
真咲は二人を呆然として見つめる。
「だめだよ!!
しーにぃ!!
生徒会長のこと好きになっちゃダメ!!」
真咲は自分の発した声に驚いて目を覚ました。
なんて夢だ……。
息が切れて、はぁはぁと荒い息をこぼす。
いつもの夢でもあり、いつもと違う夢でもあった。
流石に、自分でも分かる。
僕は、おかしい。
それに……僕は、偶然だと思ってた。
津田君のことを夢に見ていたのも、この学園のことを見知っていたのも。
予知夢のようなものだと思っていた。
だけど、僕のこと、津田君は香月って呼んでた……。
それは数日前に鈴ヶ宮の話していた人物と同じ名前だったはずだ。
……嵯峨那香月って、いったい誰なんだろう。
何で僕、その人の夢を見てるんだろうか……。
ファルコ:情報の改竄済んだぞ。
念のため写真をあちこちバラまいといたから、少し調べればたいていの奴は思い込む。
シグマ :流石だな。
早くてマジ助かる。
ファルコ:ムーモンタイ。
それよか学ラン着てるんだろ?
写真よこせ。
ジェニファが見たがってる。
せっかくの学生生活満喫してるか?
シグマ :うるせー。
しるか。
それにここの制服はブレザーだ。
悔しかったらお前も高校受験してみやがれ。
ファルコ:やなこった。
せっかくスキップした意味がない。
シグマ :俺も早く卒業したいよ。
それよか、噂は本当か?
ファルコ:噂? 俺にダッチワイフの嫁ができたの、もう噂になってるか?
シグマ :お前のチンコ、腐ってもげろ………。
ファルコ:冗談だ。真に受けるな。
シグマ :一遍地獄に逝ってこい。
……伯父貴が行動を開始したと聞いている。
ファルコ:それは間違いない。
シグマ :資金の目途がつくのが早すぎる。
ファルコ:そりゃ、息子の敵だもん。
頑張ったんじゃねーの?
シグマ :まだ事件の全容がつかめてないんだ。
怪しいってだけで、確実じゃないし。
できたらもう少し猶予が欲しいんだが。
ファルコ:どうした?
お坊ちゃまにほだされたか?
シグマ :それはない!!!
二度というな!!
……ただまだ本当に奴がかかわってるのか、わかってない。
ファルコ:随分慎重だな?
お前の方が進めた話だろ?
シグマ :それは分かってるが……もう少しだけ、伯父貴に待ってもらえないか?
ファルコ:あと1週間なら、なんとかなる。
シグマ :……頼む。
ファルコ:随分素直だな。
お前まさか、本当にお坊ちゃまと……。
俺に犯罪者の友達ができるなんてなぁ。
差し入れは任せろ。
シグマ :……お前、俺が出てきたら、分かってるんだろうな?
………「ファルコ」退室しました。
タブレットの画面に、浮かび上がった文字を見て、忍は悪態をつく。
まったく、鷹取の奴……俺が学校から抜け出せないの分かってて、言いたい放題言いやがって。
忍は俺がもし捕まったら、ぜったい鷹取を道連れにしてやる。
そんなことを想いながら、忍はハタ……と気づく。
ば……馬鹿か俺は!!
淫行で捕まるなんてあるわけないのに……!!!
旧友の揶揄いに頭がおかしくなってしまったに違いない。
鈴ヶ宮とこれ以上どうなるはずもあるはずない!!
確かに、キスはした。
二次元での人間関係しか築いてこなかった忍にとってはキャパオーバーのキス。
初めて味わう感触は強烈な印象で、忍の脳に刻まれてしまっている。
モテル男は、さすがにキスが巧みだ。
舌を絡められた感触も、唇を舐られた感触も、吐息が頬にかかり体の芯が熱く蕩けてしまうような感覚すら鮮明に思い出せた。
って、馬鹿!!!
何思い出してんだ!!!
忍はしっかりと思い出してしまった感触を払うように頭を振った。
しかし脳裏に思い浮かべたせいで違う場所が反応してしてしまい、忍は途方に暮れた。
俺はホモじゃない。
おっぱいの好きなどこにでもいる健全な青年だ。
少なくともこれまではそうだった。
なのに。
なんで勃起してんだ、俺の息子は。
「嘘だろうぉぉぉぉ!!!!」
ため息とともに漏らされた忍のつぶやきは、薄暗い部屋の中にむなしく響いた。
遊んで』
僕は大好きなしーにぃに遊んでほしくて、せいいっぱい背筋を伸ばした。
『おいで……』
しーにぃは優しく微笑んで、僕を抱き上げた。
僕はそんな優しいしーにぃが大好きで、泣きたくなる。
思わずうるんでしまった僕を見とがめて、しーにぃは『大丈夫か?』と頭を撫でてくれた。
大好き!
しーにぃ!!
胸がドキドキと高鳴る。
僕は、津田君のことが好きだ!!!!
切ない気持ちが胸に沸いた。
だけど次の瞬間、場面が切り替わり、津田君と鈴ヶ宮が唇を重ね合わせていた。
とたんに、体中の血の気が引いて、寒さすら感じるほどだった。
「僕のしーにぃになにするんだ!!」
真咲は大きな声で叫んでいた。
真咲は必死に忍と鈴ヶ宮を引き離そうとするのに、二人はびくともしなかった。
「やめて。
香月。
僕はもう、この人のモノだから」
真咲は二人を呆然として見つめる。
「だめだよ!!
しーにぃ!!
生徒会長のこと好きになっちゃダメ!!」
真咲は自分の発した声に驚いて目を覚ました。
なんて夢だ……。
息が切れて、はぁはぁと荒い息をこぼす。
いつもの夢でもあり、いつもと違う夢でもあった。
流石に、自分でも分かる。
僕は、おかしい。
それに……僕は、偶然だと思ってた。
津田君のことを夢に見ていたのも、この学園のことを見知っていたのも。
予知夢のようなものだと思っていた。
だけど、僕のこと、津田君は香月って呼んでた……。
それは数日前に鈴ヶ宮の話していた人物と同じ名前だったはずだ。
……嵯峨那香月って、いったい誰なんだろう。
何で僕、その人の夢を見てるんだろうか……。
ファルコ:情報の改竄済んだぞ。
念のため写真をあちこちバラまいといたから、少し調べればたいていの奴は思い込む。
シグマ :流石だな。
早くてマジ助かる。
ファルコ:ムーモンタイ。
それよか学ラン着てるんだろ?
写真よこせ。
ジェニファが見たがってる。
せっかくの学生生活満喫してるか?
シグマ :うるせー。
しるか。
それにここの制服はブレザーだ。
悔しかったらお前も高校受験してみやがれ。
ファルコ:やなこった。
せっかくスキップした意味がない。
シグマ :俺も早く卒業したいよ。
それよか、噂は本当か?
ファルコ:噂? 俺にダッチワイフの嫁ができたの、もう噂になってるか?
シグマ :お前のチンコ、腐ってもげろ………。
ファルコ:冗談だ。真に受けるな。
シグマ :一遍地獄に逝ってこい。
……伯父貴が行動を開始したと聞いている。
ファルコ:それは間違いない。
シグマ :資金の目途がつくのが早すぎる。
ファルコ:そりゃ、息子の敵だもん。
頑張ったんじゃねーの?
シグマ :まだ事件の全容がつかめてないんだ。
怪しいってだけで、確実じゃないし。
できたらもう少し猶予が欲しいんだが。
ファルコ:どうした?
お坊ちゃまにほだされたか?
シグマ :それはない!!!
二度というな!!
……ただまだ本当に奴がかかわってるのか、わかってない。
ファルコ:随分慎重だな?
お前の方が進めた話だろ?
シグマ :それは分かってるが……もう少しだけ、伯父貴に待ってもらえないか?
ファルコ:あと1週間なら、なんとかなる。
シグマ :……頼む。
ファルコ:随分素直だな。
お前まさか、本当にお坊ちゃまと……。
俺に犯罪者の友達ができるなんてなぁ。
差し入れは任せろ。
シグマ :……お前、俺が出てきたら、分かってるんだろうな?
………「ファルコ」退室しました。
タブレットの画面に、浮かび上がった文字を見て、忍は悪態をつく。
まったく、鷹取の奴……俺が学校から抜け出せないの分かってて、言いたい放題言いやがって。
忍は俺がもし捕まったら、ぜったい鷹取を道連れにしてやる。
そんなことを想いながら、忍はハタ……と気づく。
ば……馬鹿か俺は!!
淫行で捕まるなんてあるわけないのに……!!!
旧友の揶揄いに頭がおかしくなってしまったに違いない。
鈴ヶ宮とこれ以上どうなるはずもあるはずない!!
確かに、キスはした。
二次元での人間関係しか築いてこなかった忍にとってはキャパオーバーのキス。
初めて味わう感触は強烈な印象で、忍の脳に刻まれてしまっている。
モテル男は、さすがにキスが巧みだ。
舌を絡められた感触も、唇を舐られた感触も、吐息が頬にかかり体の芯が熱く蕩けてしまうような感覚すら鮮明に思い出せた。
って、馬鹿!!!
何思い出してんだ!!!
忍はしっかりと思い出してしまった感触を払うように頭を振った。
しかし脳裏に思い浮かべたせいで違う場所が反応してしてしまい、忍は途方に暮れた。
俺はホモじゃない。
おっぱいの好きなどこにでもいる健全な青年だ。
少なくともこれまではそうだった。
なのに。
なんで勃起してんだ、俺の息子は。
「嘘だろうぉぉぉぉ!!!!」
ため息とともに漏らされた忍のつぶやきは、薄暗い部屋の中にむなしく響いた。
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