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真咲の戸惑い
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「真咲。
そろそろ時間やばいぞ」
忍は洗面所で髪を整える真咲に声をかけた。
「えっ!
もうそんな時間??」
真咲はあわててヘアブラシを置いた。
くせ毛の真咲はいつも朝の支度に時間がかかる。
「……行くぞ?」
「分かった!!」
真咲に対する制裁を警戒して、二人そろって登校していた。
忍は歩くのが遅い真咲に合わせてくれる。
それがうれしくて、真咲は忍の後をトコトコとついていく。
忍は時折真咲の姿を振り向き確認しながら、その従順に従うさまが、子犬みたいだな……と苦笑した。
「じゃあ、昼休み、な?」
「うん!」
教室の入り口の前で忍と別れて、真咲はまだ友達のいない室内に入った。
「おはよう!」
急にクラスメイトに話しかけられ、真咲は驚いて瞬きをした。
確か、僕の前の前の席の人。
田中君、だっけ?
「……おはよう……」
小さく、真咲は返事をした。
変だ。
田中君だけじゃない。
みんなの視線が、自分に向けられている。
今まで真咲が存在してないみたいに無視してたのに。
新しい制裁だろうか?
真咲はびくびくしながら自分の席に向かった。
すぐに先生がやってきて、ホームルームが始まる。
なぞは謎のまま、意外なまま何も起こらず午前中が過ぎた。
そして、昼休み。
忍が迎えに来て、一緒に食堂に行くと、ざわざわとしていた食堂がし……んと静まった。
えっ……なんでっ!!
真咲が驚いて立ち止まった。
やっぱり、何かがおかしい。
すると、そんな真咲に見知った顔の上級生が近づいてきた。
見知っているといってもいい意味ではない。
その上級生は鈴ヶ宮の親衛隊隊長の矢野だ。
ほんの二日前、真咲はこの矢野に無理やり呼び出され、鈴ヶ宮に近づかないように注意されたばかりだった。
その時ついでに……といった雰囲気で目隠しをした上に手足を拘束され、そのまま使っていない教室に数時間放置された。
その時真咲は殴られたり蹴られたりしたわけではない。
しかし、何をされるか分からない恐怖は、十分すぎるほど味わった。
忍が探しに来てくれて解放されたが、心に負った傷は浅くなかった。
矢野の姿を目にした瞬間、真咲は思わず忍の腕に縋りついた。
「遠野君」
矢野は真咲の目の前に立つと、笑みを浮かべると何食わぬ顔で真咲に話しかける。
「君に謝罪したい。
君が嵯峨那グループの一員だって、知らなかったんだ。
鈴ヶ宮様にも手を出すなと言われていたのに、聞かなかった僕の落ち度だ。
君にしたことは僕の一存だから、鈴ヶ宮様には関わりがないことなんだから、不愉快に感じているなら僕自身に制裁をしてほしい。
でも君にだって落ち度はある。
最初から身分を隠すようなことをしなければ、僕たちだって手を出さなかった。
だから分かってくれるよね?」
この人は一体、どういう神経をしているんだろうか?
そもそも、真咲から鈴ヶ宮に近づいたことなんてない。
入学式で目が合った。
それだけのことなのに、呼び出され、責められ、クラスメイトからも遠巻きにされ、理不尽としか思えない扱いを受けてきたのだ。
それが全部僕のせいだって、本気でそんな事いってるの??
真咲は思わず忍の制服のシャツをきゅっと握りしめた。
「………ですか?」
「え?」
「頭おかしいんじゃないですか?
遠野君が嵯峨那の一員だったら、なんだっていうんです?
……だから鈴ヶ宮生徒会長と親しくても仕方ないとでも言うんですか?
それで掌返したようにするなんて……。
貴方たちはそんなことでしか人を見れないんですか!
彼が嵯峨那グループの一員であろうがなかろうが、関係ないでしょう!!!
身分とか、今の時代にそんなもの通用するのは、この学校の中でのこと。
そんなことも分からないなんて……。
貴方だって生徒会長だって、世間から見たら子供……。
親や親族の権威をかさに威張ってるだけの、馬鹿な子供です!!」
真咲は急に怒り出した忍に呆然としながらも、自分を守ってくれていることが、すごくうれしかった。
食堂にいる生徒たちはみな驚いた顔で3人の様子を見守っている。
「……行こう、真咲」
先に動いたのは、忍だった。
何もなかったようにビュッフェの列に並び、好きなものを選んでいく。
真咲も彼に倣うように、昼食をとることに専念した。
そして……嵯峨那の一族なんかじゃない、と否定し損ねたことに、真咲が気付いたのは……否定出来ないほどに噂が浸透した、その日の放課後だった。
そろそろ時間やばいぞ」
忍は洗面所で髪を整える真咲に声をかけた。
「えっ!
もうそんな時間??」
真咲はあわててヘアブラシを置いた。
くせ毛の真咲はいつも朝の支度に時間がかかる。
「……行くぞ?」
「分かった!!」
真咲に対する制裁を警戒して、二人そろって登校していた。
忍は歩くのが遅い真咲に合わせてくれる。
それがうれしくて、真咲は忍の後をトコトコとついていく。
忍は時折真咲の姿を振り向き確認しながら、その従順に従うさまが、子犬みたいだな……と苦笑した。
「じゃあ、昼休み、な?」
「うん!」
教室の入り口の前で忍と別れて、真咲はまだ友達のいない室内に入った。
「おはよう!」
急にクラスメイトに話しかけられ、真咲は驚いて瞬きをした。
確か、僕の前の前の席の人。
田中君、だっけ?
「……おはよう……」
小さく、真咲は返事をした。
変だ。
田中君だけじゃない。
みんなの視線が、自分に向けられている。
今まで真咲が存在してないみたいに無視してたのに。
新しい制裁だろうか?
真咲はびくびくしながら自分の席に向かった。
すぐに先生がやってきて、ホームルームが始まる。
なぞは謎のまま、意外なまま何も起こらず午前中が過ぎた。
そして、昼休み。
忍が迎えに来て、一緒に食堂に行くと、ざわざわとしていた食堂がし……んと静まった。
えっ……なんでっ!!
真咲が驚いて立ち止まった。
やっぱり、何かがおかしい。
すると、そんな真咲に見知った顔の上級生が近づいてきた。
見知っているといってもいい意味ではない。
その上級生は鈴ヶ宮の親衛隊隊長の矢野だ。
ほんの二日前、真咲はこの矢野に無理やり呼び出され、鈴ヶ宮に近づかないように注意されたばかりだった。
その時ついでに……といった雰囲気で目隠しをした上に手足を拘束され、そのまま使っていない教室に数時間放置された。
その時真咲は殴られたり蹴られたりしたわけではない。
しかし、何をされるか分からない恐怖は、十分すぎるほど味わった。
忍が探しに来てくれて解放されたが、心に負った傷は浅くなかった。
矢野の姿を目にした瞬間、真咲は思わず忍の腕に縋りついた。
「遠野君」
矢野は真咲の目の前に立つと、笑みを浮かべると何食わぬ顔で真咲に話しかける。
「君に謝罪したい。
君が嵯峨那グループの一員だって、知らなかったんだ。
鈴ヶ宮様にも手を出すなと言われていたのに、聞かなかった僕の落ち度だ。
君にしたことは僕の一存だから、鈴ヶ宮様には関わりがないことなんだから、不愉快に感じているなら僕自身に制裁をしてほしい。
でも君にだって落ち度はある。
最初から身分を隠すようなことをしなければ、僕たちだって手を出さなかった。
だから分かってくれるよね?」
この人は一体、どういう神経をしているんだろうか?
そもそも、真咲から鈴ヶ宮に近づいたことなんてない。
入学式で目が合った。
それだけのことなのに、呼び出され、責められ、クラスメイトからも遠巻きにされ、理不尽としか思えない扱いを受けてきたのだ。
それが全部僕のせいだって、本気でそんな事いってるの??
真咲は思わず忍の制服のシャツをきゅっと握りしめた。
「………ですか?」
「え?」
「頭おかしいんじゃないですか?
遠野君が嵯峨那の一員だったら、なんだっていうんです?
……だから鈴ヶ宮生徒会長と親しくても仕方ないとでも言うんですか?
それで掌返したようにするなんて……。
貴方たちはそんなことでしか人を見れないんですか!
彼が嵯峨那グループの一員であろうがなかろうが、関係ないでしょう!!!
身分とか、今の時代にそんなもの通用するのは、この学校の中でのこと。
そんなことも分からないなんて……。
貴方だって生徒会長だって、世間から見たら子供……。
親や親族の権威をかさに威張ってるだけの、馬鹿な子供です!!」
真咲は急に怒り出した忍に呆然としながらも、自分を守ってくれていることが、すごくうれしかった。
食堂にいる生徒たちはみな驚いた顔で3人の様子を見守っている。
「……行こう、真咲」
先に動いたのは、忍だった。
何もなかったようにビュッフェの列に並び、好きなものを選んでいく。
真咲も彼に倣うように、昼食をとることに専念した。
そして……嵯峨那の一族なんかじゃない、と否定し損ねたことに、真咲が気付いたのは……否定出来ないほどに噂が浸透した、その日の放課後だった。
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