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ベーレン王子との再会①
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ブーデリアの巨大馬種ラグ馬車での旅が三日目……ようやくグラフィ港に着いた。
グラフィ港とは、ブーデリアの隣国サムカンプの港だ。
ここから4日かけて船でザグリスに行くことになっているのだ。
これまでの3日間は、さすが国を代表する旅で、カルディア兄さんの影武者の時もラグ馬車に乗ったことはなかったから、馬車での旅の間、正直大興奮だった。
ラグは体は大きいけど性質はおとなしく、繁殖が難しくてブーデリア全土でも2千頭いるかどうかの希少種だ。
そんな希少な馬車に乗れて、揺れもいつもより少ない感じで快適な旅で。
途中の宿も凄く豪華で、花の浮いたお風呂や豪華な食事を満喫していた私は、すっかり忘れていた。
そもそも、どうして私ザグリスに行くんだっけ???
父上の話だと国賓っぽい感じだったから、多分王様の50回目の誕生日お祝い、とか。
王子とか姫君の結婚、とか、そういう式典の参加のためで。
たぶん今度もそういう部類の式典だとおもうんだけど。
言われてみればお祝いの品とか預かってないな……って考えて。
考えてみれば何しに行くのか全然聞いてなかったなぁぁぁ……って、改めて考えて。
美味しい食べ物のこと想像してたらうっかり聞き忘れてたから。
そりゃー兄さんや父上に注意受けるはずだなって苦笑して。
でも今更聞きに戻ることもできないし。
しかも思いついたのはグラフィー港で船に乗り換えるために荷物の運び込みで待たされている時で。
護衛につけてくれたジェイドも、女官のリリアも、とても忙しそうだったから、船に乗っている間にゆっくり聞いたらいいやって考えて、その時すぐには聞かなかった。
………だけど。
3日間の船旅の間、話なんて全然できなかった。
……聞ける状態じゃなかった。
「アルメリア様、大丈夫ですか???」
リリアが心配そうに背中をさする。
口元を抑えながら、私はふるふると首を横に振った。
船が出向して5分ほどした時だろうか。
私は船に乗るのが初めてでラグ馬車同様に大興奮していたんだけど、なんか胸のあたりが苦しいな……って感じはじめた。
それからすぐに、グラグラと頭が揺れだして止まらなくなり。
部屋に担ぎ込まれた私はせり上がる吐き気に嘔吐を繰り返し。
そして私は、寝台の上からまったく動けない状態になっていた。
少しぼんやりとしていたから、夢かもしれない。
気持ちが悪くて、全然動けなくて、船の上でも美味しいごはんが食べれるって聞いてたのに、水を含んだだけでもすぐに吐いてしまっていたから、私は身もこころもぐったりと寝台に身を横たえていた。
どのぐらい時間が過ぎたのか、ぜんぜんわからなかった。
たまに眠っていたと思うけど、すぐ目が覚めて、目が覚めている間はずっと吐き気がしてて。
その時もぐずぐずと泣きながら口元を押さえていたと思う。
「アルメリア王女?
私が分かるか??」
耳元で囁かれ、うっすらと瞳を開くと碧色の大きな瞳が間近にあった。
「……べー……レン、おーじ?」
ようやくそれだけ答えるけど、他にはもう何も言えなかった。
体がぐらぐら揺れているみたいでとても気持ちが悪かった。
「……大変だったな??
今……船から降ろすから、少し辛抱してくれ」
と、思いがけず優しい声がかかる。
もう苦しくないんだと安堵して、コクリと頷くと、ふわりと体が浮いた気がした。
それだけでも気持ちが悪くなって、私は丸く小さく身を固める。
早く楽になりたい……その時の私は、ただそれだけを考えていた。
グラフィ港とは、ブーデリアの隣国サムカンプの港だ。
ここから4日かけて船でザグリスに行くことになっているのだ。
これまでの3日間は、さすが国を代表する旅で、カルディア兄さんの影武者の時もラグ馬車に乗ったことはなかったから、馬車での旅の間、正直大興奮だった。
ラグは体は大きいけど性質はおとなしく、繁殖が難しくてブーデリア全土でも2千頭いるかどうかの希少種だ。
そんな希少な馬車に乗れて、揺れもいつもより少ない感じで快適な旅で。
途中の宿も凄く豪華で、花の浮いたお風呂や豪華な食事を満喫していた私は、すっかり忘れていた。
そもそも、どうして私ザグリスに行くんだっけ???
父上の話だと国賓っぽい感じだったから、多分王様の50回目の誕生日お祝い、とか。
王子とか姫君の結婚、とか、そういう式典の参加のためで。
たぶん今度もそういう部類の式典だとおもうんだけど。
言われてみればお祝いの品とか預かってないな……って考えて。
考えてみれば何しに行くのか全然聞いてなかったなぁぁぁ……って、改めて考えて。
美味しい食べ物のこと想像してたらうっかり聞き忘れてたから。
そりゃー兄さんや父上に注意受けるはずだなって苦笑して。
でも今更聞きに戻ることもできないし。
しかも思いついたのはグラフィー港で船に乗り換えるために荷物の運び込みで待たされている時で。
護衛につけてくれたジェイドも、女官のリリアも、とても忙しそうだったから、船に乗っている間にゆっくり聞いたらいいやって考えて、その時すぐには聞かなかった。
………だけど。
3日間の船旅の間、話なんて全然できなかった。
……聞ける状態じゃなかった。
「アルメリア様、大丈夫ですか???」
リリアが心配そうに背中をさする。
口元を抑えながら、私はふるふると首を横に振った。
船が出向して5分ほどした時だろうか。
私は船に乗るのが初めてでラグ馬車同様に大興奮していたんだけど、なんか胸のあたりが苦しいな……って感じはじめた。
それからすぐに、グラグラと頭が揺れだして止まらなくなり。
部屋に担ぎ込まれた私はせり上がる吐き気に嘔吐を繰り返し。
そして私は、寝台の上からまったく動けない状態になっていた。
少しぼんやりとしていたから、夢かもしれない。
気持ちが悪くて、全然動けなくて、船の上でも美味しいごはんが食べれるって聞いてたのに、水を含んだだけでもすぐに吐いてしまっていたから、私は身もこころもぐったりと寝台に身を横たえていた。
どのぐらい時間が過ぎたのか、ぜんぜんわからなかった。
たまに眠っていたと思うけど、すぐ目が覚めて、目が覚めている間はずっと吐き気がしてて。
その時もぐずぐずと泣きながら口元を押さえていたと思う。
「アルメリア王女?
私が分かるか??」
耳元で囁かれ、うっすらと瞳を開くと碧色の大きな瞳が間近にあった。
「……べー……レン、おーじ?」
ようやくそれだけ答えるけど、他にはもう何も言えなかった。
体がぐらぐら揺れているみたいでとても気持ちが悪かった。
「……大変だったな??
今……船から降ろすから、少し辛抱してくれ」
と、思いがけず優しい声がかかる。
もう苦しくないんだと安堵して、コクリと頷くと、ふわりと体が浮いた気がした。
それだけでも気持ちが悪くなって、私は丸く小さく身を固める。
早く楽になりたい……その時の私は、ただそれだけを考えていた。
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