ねこさんは、トレジャーハンター!?

豆井悠

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52 悪魔からの賄賂

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 早速かつぶし山の中腹にあるダンジョンの入り口にやってきたねこさんたち。

 あのどぎついネオン看板は撤去されていて、一見どこが入り口なのか分からなかった。

「おーい、黒ぶちー、なのねー」

 アンニュイな昼下がりに響く、アンニュイなねこさんの叫び声。

『ご主人、やる気ないのか、のか?』

 ネコサンが、すかさず指摘した。

「んー、黒ぶちを取り締まるみたいで、いやなのねー」

 気乗りしない様子で、入り口横の大きな岩に腰かける。すると。

『なんですかい、騒々しい‥‥‥って、兄貴とご主人じゃあねーですかい! どうしやした?』

 声を弾ませ駆け寄る黒ぶち。

「い、いや‥‥‥じつは‥‥‥」




『そうでやしたか‥‥‥こりゃあご主人にえれえご迷惑をおかけしやした』

 深々と頭を下げた。

『しかし、あっしもここを離れるわけにはいかねえ‥‥‥どうしやしょうか‥‥‥』

「ねこさんも黒ぶちを突き出すのは、いやなのねー」

 うーん、と首を捻る二人。

『おい、ぶち。こんな時はあれって相場が決まってるだろう?』

『あれ、ですかい?』

「あーれー?」

 それはご主人の十八番でしょう? ネコサンにそう突っ込まれ、ぴしりと固まるねこさん。

『賄賂だよ、わ、い、ろ』

『ああ!』

 ネコサンの提案に得心する黒ぶち。

『なんかねえのかい?』

『んー‥‥‥トレジャーハンターどもが気に入るような物は‥‥‥あ! あれなんかいいかも!』

 ずたたー、とダンジョンに消えていった。



『兄貴! これなんかどうでしょうか?』

 約四十センチ四方の白い物体を持ってきた。

『これは‥‥‥あれか?』

『へい!』

「なんなのねー?」

 見たこともない物体に、ねこさんの顔が『?』で埋め尽くされる。

『これは、ビールサーバーですぜ、ご主人』

「びーるさーばー?」

 ドヤ顔の黒ぶちに、そのまま疑問の視線をぶつけた。

『こいつは古代のアーティファクトでですね、ビールをーー』

『おい、説明より体験していただいた方が早いだろう』

 それもそうでやすね! そう言って再びダンジョンに消えた。



「ぷ、ぷはー!」

『お、いい飲みっぷりでやんすねえ、ご主人!』

『こうやって、ビールをさらに美味しくいただける、ってわけです』

 なめらかな泡、深いコク、そして経験したことのない喉ごし‥‥‥。

「う、うまいのねー」

『こいつでギルドの連中を、黙らせて下せえ』

『あとはご主人の舌先三寸にかかってます』

 赤らんだ顔のねこさん。二人の声が届いているのかいないのか‥‥‥。

 げふー、と大きなげっぷが響いた。






※ お酒は二十歳になってから! ねこさんとの約束なのねー!
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