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57 救世主ネコサン
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「あ、あああ‥‥‥あ」
六畳間に、不気味な呻き声が響いていた。
薄暗いその中で、何かが蠢く。
ぎっちょん、と蛍光灯のヒモが引かれて、びゅーぱちょちゃん、と灯りがともった。
きゃーっ!!
そんな悲鳴が上がってもおかしくない顔が浮かび上がる。
ねこさんだ。
げっそりとこけた頬。生白く生気のない顔に、なんだか切なさが爆発しそうだった。
「も、もう無理‥‥‥なのねー」
震える手で、こたつの上の小さな塊りを握る。昨日唯一手に入れた食糧だ。
ぺりり、と外装を剥ぎ、ぽーんとお口に放り込んだ。
「くうー、おいしいのねー‥‥‥」
ねこさんはさめざめと泣きながら、一口サイズの『ちろりんチョコ』を味わった。
もちゃもちゃもちゃ‥‥‥‥‥‥。
ゆっくりと、舌の上で転がす。
「あ、ああー、終わっちゃったのねー‥‥‥」
まろやかな後味を残して、至福の粒が消え失せた。
「ま、また眠ってごまかすのね‥‥‥」
ぴんぽーん!
ねこさんの空きっ腹に、チャイムのけたたましい音が突き刺さった。
「だ、誰なのね‥‥‥」
ふらつきながら玄関に向かおうとする。
『ご主人、座っとけ、とけ』
だが、ネコサンが、すいー、と静かに移動して行った。
がちゃり、とドアを開く。
「お待たせしました! うーにゃーいーつです!」
『ご苦労様、ご苦労様』
ネコサンが商品を受け取り、支払いをしている。
(ネコサン、それはないのねー)
何だかやるせないねこさんは、半べそをかいていた。
ネコサンがブツを持って帰ってくる。
はあ、とため息をついて、ねこさんはお布団に潜り込もうとした。
『ほれ、ご主人、食べろ、食べろ』
そこに響いた相棒の優しい声。
そっと目の前に差し出されたかつ丼。
「う、う、うわーん!」
ねこさんはその二つの温かさに、おいおいと泣いた。
六畳間に、不気味な呻き声が響いていた。
薄暗いその中で、何かが蠢く。
ぎっちょん、と蛍光灯のヒモが引かれて、びゅーぱちょちゃん、と灯りがともった。
きゃーっ!!
そんな悲鳴が上がってもおかしくない顔が浮かび上がる。
ねこさんだ。
げっそりとこけた頬。生白く生気のない顔に、なんだか切なさが爆発しそうだった。
「も、もう無理‥‥‥なのねー」
震える手で、こたつの上の小さな塊りを握る。昨日唯一手に入れた食糧だ。
ぺりり、と外装を剥ぎ、ぽーんとお口に放り込んだ。
「くうー、おいしいのねー‥‥‥」
ねこさんはさめざめと泣きながら、一口サイズの『ちろりんチョコ』を味わった。
もちゃもちゃもちゃ‥‥‥‥‥‥。
ゆっくりと、舌の上で転がす。
「あ、ああー、終わっちゃったのねー‥‥‥」
まろやかな後味を残して、至福の粒が消え失せた。
「ま、また眠ってごまかすのね‥‥‥」
ぴんぽーん!
ねこさんの空きっ腹に、チャイムのけたたましい音が突き刺さった。
「だ、誰なのね‥‥‥」
ふらつきながら玄関に向かおうとする。
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だが、ネコサンが、すいー、と静かに移動して行った。
がちゃり、とドアを開く。
「お待たせしました! うーにゃーいーつです!」
『ご苦労様、ご苦労様』
ネコサンが商品を受け取り、支払いをしている。
(ネコサン、それはないのねー)
何だかやるせないねこさんは、半べそをかいていた。
ネコサンがブツを持って帰ってくる。
はあ、とため息をついて、ねこさんはお布団に潜り込もうとした。
『ほれ、ご主人、食べろ、食べろ』
そこに響いた相棒の優しい声。
そっと目の前に差し出されたかつ丼。
「う、う、うわーん!」
ねこさんはその二つの温かさに、おいおいと泣いた。
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