ねこさんは、トレジャーハンター!?

豆井悠

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181 にゃにゃ庵

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「いらっしゃいませ! お持ちしておりました!!」

 17時55分に暖簾をくぐると、威勢のいい声が響いた。

「ねこしゃん、今日は貸し切りにしたから、思う存分食べていってねー」

 大家さんもにこやかに微笑んでいる。

「あ、ありがとなのねー……」

『どうした、ご主人?』

(気分でも悪いの?)

 にゃにゃ庵はまだ新しい店舗だが、独特のシステムで既に超人気店になっていた。そんな場所での食事に、普段ならテンション爆上げのはずのねこさんが、なぜか冷や汗を流している。

「……い、今にわかるのね」

 すん、とねこさんの表情が消えた。

「先日は祖父が大変お世話になりました」

 そこへ、大家さんの孫、この店の大将が、挨拶にやってきた。

 老猫譲りのきめ細かいグレーの毛並みが、美しかった。

「い、いえ……こちらこそいつも大家さんにはお世話になっているのねー」

 互いに深々とお辞儀していると……。

「じゃあ今日は、すぺしゃるコースで頼んだよ!」

(やったー!)

 大家さんの声に、リースが全力で発光した。

「じいちゃん、まかしときな!」

 颯爽と厨房に戻っていく大将を見て、ねこさんの顔が、更に青くなっていった。

(本当にどうしたの? 好きなもの食べ放題なのに……)

「ち、違うのね……このお店は、基本一つのメニューしかないのね……」

『ん?』

(メニューが、一つだけ?)

「それではお席にご案内します!」

 二人が首を傾げていると、屈強な若い衆がねこさんの肩をむんずと掴んだ。

「あ!? やや、やめてー!?」

 懇願の言葉もむなしく、そのままテーブル席に連行されていき……椅子に座らされた。

「はい、オーブのお嬢さんはこちらに!」

 リースはテーブル上に置かれた小さな座布団の上に、そっと置かれる。

(あら? 好待遇じゃない!)

「ロボの旦那は、見学って事でいいんですね?」

『ああ、ここで見させてもらうよ』

「ほっほっほ、賑やかな食事会になりそうだね!」

 大家さんが言いながら席につく。

 どどんっ!

 合わせるように、太鼓の音が店内に響きわたった。

「それでは、お願いします!」

 若い衆の良く通る声を合図に、給仕係が三名、各々台車を押しながら登場した。

 その台車には、小さなお椀が大量に乗せられていて……。

 ねこさんたちの前には、それとは別にお椀と箸が提供されていた。

「本日はスペシャルコースという事で、時間無制限でやらせていただきます!」

「……」

 すでに吐きそうな表情のねこさんが、恨めしそうに目の前のお椀を見つめている。

「さあ、挑戦者とにゃにゃ庵、勝つのはどっちだ!? にゃんこ蕎麦~、はじめっ!!」

 どーん!

 と、威勢のいい太鼓の音が再び響き、戦いの幕は切って落とされた。
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