さくらんぼ

もふ

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〜episode13〜

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その後、待ち合わせ時間にゆきとかずはやって来た。
「さぁ、行こっか!」
ゆきは張り切っている。
流石に歩く時四人並んで歩くわけにはいかないから、二人ずつ二列になる事にした。
もちろん、葵とゆきがペアで私とかずがその後ろに並ぶようなかんじだ。
正直…葵とゆきが仲良くしてる所なんて見たくない。
私は前から目線をそらして歩いていた。
前を見て歩かなかったので、途中こけそうになった。
そこをかずがしっかりと支えてくれる。
「危なっかしいね」
「あ、ありがと…!」
最近かずに助けられてばかりな気がする。
もっと私がちゃんとしなくちゃ…。

遊園地に着いた。
まず最初に乗るのはジェットコースター。
確か…葵が苦手だったっけ。
「葵、大丈夫なの?笑」
「…っ、なんの事かな?」
「いや、汗すごいけど」
「大丈夫、もう克服したはず!笑」
そこで…
「え!?相馬苦手なの?大丈夫?」
ゆきが会話に入ってきた。
「うん、昔ほどはないから大丈夫だよ」
「そっかぁ…。せっかくだし楽しもう?」
これは、私が会話に入っちゃダメなやつ。
私はこの場で身をひかなくちゃならない。
葵の苦手なものも好きなものも。
私の方がよく知ってるのに。
これからは私が知ってることも、まだ知らないことも、全部ゆきの方が知っていくんだ…。
悔しいな…。
自然と私は顔を下に向け、俯く状態になってしまった。
「ヒナ?どうかしたの?」
「あ、え…かず…」
「下向いてたから何かあったのかと」
「ううん、なんでもないよ。強いて言うならジェットコースター楽しみだなぁって!」
「そっか。うん、僕も楽しみだな!」
そんな話をしているとすぐに待ち時間は終わり、次は私たちの乗る番。
「ひゃっほー!!」
ものすごく、、はしゃいだ。笑

その後もいろいろなアトラクションに乗り、お昼ご飯を食べた後もたくさん遊んだ。
そして…私の大嫌いなものの前まで来た。
そう、お化け屋敷だ。
お化け屋敷は待っている人が少なく、案外すんなりと入れた。
係員の人が
「それでは二人ずつ入ります」
と言ったので、私とかず、葵とゆきで入ることになった。
先に、葵とゆきが入って行った。
その10分後くらいに私とかずも入る。
「か、かず…。お化けは大丈夫系ですか?」
私は怯えながらも気を紛らわせようと話を持ちかける。
「うーん、まぁ得意ってわけでもないけど、怖くはないかな」
「い、いいなぁ」

バッ

そこでお化けの登場。
あぁ、もう
「無理ぃぃぃ!!」
私は全力でダッシュしながらかずを置いて走ってしまった。

無我夢中で走ったせいで自分が今どこにいるのかも分からない場所まで来た。
つまり、迷子。
来た道も…よく覚えてないし道が多すぎて分からない。
周りからは物音すら聞こえないような静かな場所なようだ。
ただ暗くて、お化けが本当に出るんじゃないかっていうヒヤヒヤした感じが私の心臓の音を早める。
「一人に…なっちゃった…」
怖い。

前にも、こんな事があった。
小学校二年生の時だっけ。
遠足で水族館に行った時。
班行動をすることになって、私は一人はしゃいで動き回っていた。
気がついた時には班の人はいなかった。
それどころか、同じ学校の人も一人もいない。
周りには大人の人ばかりで、急に自分の知らない世界に来たようで、怖くて。
その場でうずくまって泣いてた。
そんな時、足音が聞こえて。
その足音はどんどん近づいてきて。
タッタッタッ…
そしてその音は私の目の前で止まり、こう叫んだんだ。



「ヒナ!!大丈夫か!?」
「葵…。こ、怖かったよ…」
「まったく、お化け屋敷で迷子とか…。さすがヒナだn…」

葵が言葉を言い終える前に。
ギュッ
私は涙目の状態で葵に抱きついた。
「ふっ…。もう大丈夫だから。」
葵は私の頭をポンポンした。
完全に今の状況が幼稚なのは分かっている。
それでも、葵があの時みたいに来てくれたことと安心感でもう何も考えられない。
今くらいは…私が葵に甘えてもいいよね…?
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