あまーいマスクの佐藤先生に塩対応!~ちょっと! イケメンが本気出したら私なんか太刀打ちできないって!~

深海 なるる

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1章

番外編 ト、トシヤさんがそんなだと私はもっと照れてしまうよ……

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 な・つ・や・す・み・だー!
 夏休みだ! 小学校は長い休暇に入った。とは言え、教師の仕事はお休みにはならないけどね。子供たちは登校しなくても先生は研修とかで忙しいのよ……。
 でも昨夜一学期の打ち上げも済んだから今日の解放感といったらもう! 夏を楽しむぞー! って大声で叫びたい気分だ。
 そして、今日は……ふふふ、早速トシヤさんとデートだ!
 デートは郊外へ、これ鉄則!
 もしかして、は、初デートかも?
 私達はトシヤさんの運転で隣の県のアウトレットモールに足をのばした。
 このモールには百五十ものブランドが出店しているって聞いて一度来てみたかったんだ。私の家から車で四十分位かかったかな? 案外早く着いて驚いた。
 勤務先の近くに住んでいるから普段は手を繋ぐことが出来ないけど、今日は誰の目も気にせずに手を繋げる。

 トシヤさんが私の手を取ってくれたから、私も握り返した。
 て、照れる……。手を繋ぐと歩いている時の距離はこんなに近いんだ。
 隣を見上げると……トシヤさんも顔を真っ赤にしている。
 ト、トシヤさんがそんなだと私はもっと照れてしまうよ……。

 二人で時間をかけて沢山のお店をまわった。
 一緒にいるだけで楽しい!
 それから、お互いに洋服を選んだり、おそろいのコーヒーカップを買ったりした。

「ママ―!」
 小さな女の子が私を追い抜いてお母さんの元へ駆けていく。
 わあ、かわいいなー!
 夏休みだから家族連れも多い。みんなとても幸せそうだ。
「トシヤさん、私、早く子供が欲しいです……」
「え?」
 え? 固まっているトシヤさんを見て気が付いた。
 い、いや、ち、違うの! そうじゃなくて! つい思っていることが口からこぼれてしまっただけで!
「こ、こんな真昼間のショッピング中に言われても……」
 その慌てよう! ヤメテ! 私がさ、誘っているみたいじゃないかっ!
「そうじゃないんです! ただ一般論的な! 子供カワイイなーって思ってついっ!」
 私は勢いよく否定する。ホントにそういう意図じゃないって! そ、そんな恥ずかしい事言わないって!
「ははっ、分かってるよ、葵ちゃん。僕も早く子供欲しいもん。大体子供が好きだから小学校の教師になったんだからね……焦っちゃってかわいいなー」
 なんてトシヤさんは笑うけど……誤解はとけた?
「でも……」
 トシヤさんは握っている手に力を込めてグッと体を引き寄せた。そして耳元でささやく。
「産むんなら僕の子供を産んでもらわないとね」

……私はもう腰砕けだ。
 もういい、私の負けだ。
 ああ、イケメンが本気出したら太刀打ちできない。

 アウトレットでけっこう歩いて疲れてしまったので私たちは早めに帰って家飲みすることにした。
 途中スーパーに寄って、お惣菜やおつまみ、ビールを買って帰る。
 付き合い始めてまだひと月と少し、私の家で夕食を食べて帰ることはあったけどお酒を飲むのは初めてだ。おまけに今日トシヤさんは電車じゃなくて車で来ている。
 の、飲んだら運転出来ないから……つ、つまり、今夜トシヤさんは我が家に、と、泊るってことでしょうか?

 リビングテーブルにお惣菜やおつまみを並べて家飲みの準備をする。あとはグラスと取り皿とお箸を運んで……。
「お先……」
 トレイに食器を乗せていたらトシヤさんがお風呂から上がってきた。
 ち、ちょっと、もう鼻血が出そうです。髪はしっかり拭いて下さい!
「かんぱーい」
 まずはビールで乾杯!
 私達はリビングテーブルに並んで座った。だって、トシヤさんがテレビを付けていたから。
 これがイケメンのテクニックだって知らなかったのよ。
 まるでマジシャンズセレクトだ。知らぬ間に相手の思うがまま。
 気が付いたら肩を抱かれていた……。

 トシヤさんはビールでほんのり赤くなっていつも以上に色っぽい。
「ト、トシヤさん、ちょっと待ってください。私、男の人とお付き合いするのは随分久しぶりなのでこういう時どんな顔をしたらいいのかわかりません」
 えーん、私はどうしたらいいの?
「葵ちゃんに他の男の気配がない事はこの部屋を見た時からわかっていたよ」
 たしかに、私の部屋に男物は何一つない。トシヤさん、そんなことを確認していたのか! イケメン、恐るべし。
「今のその顔、真っ赤になって、とてもかわいいよ」
 そう言うとチュッっと頬にキスされた。恥ずかしい!
「ねえ、葵ちゃん、今夜は僕を追い返さないでね」
 耳元で囁くから私はコクンとうなずいた。

 私も、帰ってほしく……ないよ……。
 そばにいて欲しい、ずっと。

 ってトシヤさんお酒に弱いんだった! いつも以上にビールがまわったトシヤさんは私がお風呂から上がるとすでに夢の中だった。
「あーらら。ま、いっか。明日は日曜日だし」
 明日も一緒にいられる。
 私は押し入れから枕とタオルケットを持ってくる。今夜は二人でリビングに泊まろう。フカフカのラグの上で家キャンプだ。
「トシヤさん、おやすみなさい」
 眠っているのをいいことに唇を奪ってやった。
 私はその夜トシヤさんにくっついて眠った。夜中に何度か目が覚めたけど隣に好きな人が眠っているのって本当に幸せだ。
 
 これからもずっと一緒にいたいから、こんな風にゆっくり進むのも私達らしくていいのかな?
 ね、トシヤさん! 
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