KING's BLOOD

KiNG

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王家の血

第1話

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     遥か昔、この世界の創造主たる神々は世界をより良くすべく俺達人類を誕生させ、その中の最も優れた人間を指導者とした。それこそが、人類初となる初代王メネリクの誕生である。
     それから永きに渡り、世界は瞬く間に発展を遂げていった。

     しかしそれは、神々にとってはあまり良い話ではなかった。人類の進化が神々の脅威となる事を恐れ、それまで一つだった文明を引き裂き、『ヒューマン』『エルフ』『ビースト』『ウォーロック』四つの文明を作り出した。
   それぞれに、全く異なる言葉や信仰する神の存在を与えた。故に、300年に渡り文明同士の戦争が続いた。

     その頃、ヒューマンの中で後に英雄と呼ばれる王家の末裔である"ジーク・ブラント"は『神々こそ、我々の打つべき敵である』と唱え、それに賛同した仲間達と共に神々に挑んだ。
     そして、この世界から神々は消え、神々に挑んだジーク一味も姿を消した。世界の文明は再び一つとなり、新たな王家が誕生した。

二百年後

    俺の名前はレイヴス。王国軍第七中隊隊長だ。今日は建国記念祭が国を挙げて開かれる為、俺達はスコール大佐率いる第三大隊と共に王城の警備にあたっていた。

「レイ、君ももう少佐か。平民だった君が、ここまでよく頑張ったな。」

「貴女だって平民の出でしょう。傭兵学校で一年しか違わないのに大佐だなんて。やっぱり先輩には敵いませんよ。」 
 
   彼女は、俺が傭兵学校に入ってから五年間お世話になった一つ上の先輩だ。学園にいた頃から文武両道で、成績は常にトップクラスだった。

「私は孤児だよ。学校で話した親や兄妹の話はほとんど嘘だ。」
「孤児である事が周りとの間に壁を作ってしまうかと思って嘘を付いていたんだ。」

    彼女はそれ以外話そうとはしなかった。なんと返せば良いのか悩んでいると、彼女の部隊員の一人が駆け寄ってきた。

「報告、魔獣の群が城下町へ向け進行中です。ご指示をお願いします。」

「指示だと。それくらい現場でなんとかならんのか。」

「それが、様子がおかしいのです。」

   そう言った兵士の顔は、この世の終わりを見たような、恐怖に駆られた顔をしていた。

    俺と大佐は状況を確認すべく、現場へ急行した。

「なんだこの数は。」

  そう言った後、大佐は現場の指揮官を呼んだ。
    およそ十万を超える魔獣の群れ。その種類に統一性はなく、様々な魔獣達が、まるで森の中から逃げ出すように城下町の方へ向かっていた。

「スコール大佐、それにレイヴス少佐まで、こちらにお出向き頂きありがとうございます。」

    ウィルザー少尉、剣術の腕は人並みだが、カリスマ性の高い男だ、それは戦術面で生かされており、自分の小隊一つで大隊一つ並みの反乱軍を撃退し、隊員に死傷者を出さなかった程だ。

「気にするな少尉、それより隊は動かせるのか。」

「はい、臨戦態勢に入っております。」

「そうか、私達も隊の半数を率いて来た。数は相手に劣るがなんとかなるだろう。」

    俺と大佐の部隊が少尉の第六小隊と合流し、防衛戦の準備が整った。異様な魔獣達の姿に、現場の緊張感は言葉では表せない程だった。

「各員、魔獣と言えど変異種のようだ。気を引き締めて掛かれ。」
「魔獣供を駆逐せよ。」

    集まった全隊員の心に響くような大声で大佐が叫んだ。それと同時に王国軍と魔獣達の攻防戦が始まった。

    騎兵が先陣を切り、その後を歩兵達が追っていく。俺とウィルザー少尉は騎兵隊に混ざり魔獣達を何体も倒していった。その後方では弓兵達が援護を行いつつ俺達が仕留め損ねた魔獣を狙い撃ちしていた。
    その頃、スコール大佐は戦況の把握しやすい最終防衛ラインで指揮をとっていた。

    一時間後、魔獣達は元いた数の半数以上を失い、残りは森の方へ逃げていった。俺達は早馬をだし、戦闘の収束を大佐に伝えた。
    数分後、伝令を渡した隊員が戻ってきた。そして、こう伝えた。『指令室が奇襲された』と。

「ウィルザー少尉はここに残ってくれ、大佐の所へは俺がいく。」

「レイヴス少佐、どうかお気をつけて。」

「ありがとう。」

   俺はスコール大佐の居る指令室へ急いだ。

   指令室へ戻るとそこはもう何も残っていなかった。有るのは建物らしき物の焼け跡と死体だけだった。俺はそんな中でスコール大佐を探した。
   すると、崩れ落ちた瓦礫の中から声が聞こえた。大佐の声だった。必死で瓦礫を掻き分け、彼女を瓦礫の中から引きずり出した。

「レイ、魔獣の変異はやはり、自然的なものではなかった。」

   彼女は、瀕死の状態でそう言った。

「大佐、今衛生兵を、」

「レイ、私はもう助からんだろう。だから、お前に伝えなければならない事がある。」

「何言ってるんです大佐、」

「良いから聞くんだレイ」
「この世界を、救え、お前にしかできない事だ。」

「世界を救うって、それに、俺にはそんな力ありませんよ。」

「いや、お前にしかできん。真の王の血、初代王メネリクの血を継ぐお前にしか、出来ない事だ。」

  そう言って彼女は息をひきとった。何が起きたのか、彼女の言葉の意味が、俺には理解できなかった。

「メネリクの末裔、、王の血、、罰を、与える、、我等、復讐、、果たす、為に、」

    いつの間にか、俺の目の前にそいつは居た。全身を炎に包まれ、中を浮き、俺を見下すような目で俺に話しかけてきた。

「何者だ、お前。」

  俺はそう問いただした。しかし、奴はその問いに答える事なくこう続けた。

「お前に流れるその血、忌まわしき王家の血、私には分かる、」

「ふざけた事を言うな、俺は王家の人間じゃない。」

「これも、時のせいか。お前が忘れていると言うのなら、思い出させてやろう。お前達、王家の罪とやらを。」

    そう言って近づいて来る奴に、俺は反撃しようとした。しかし、手足が動かせない。どれだけ力を入れようと、自分の手の指一本さえも動かせなかった。
    そして、奴は俺の頭の上に手を乗せ、何かを始めた。まるで、頭の中をいじられているような感覚だった。
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