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22話 許された距離
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朝に目が覚めてもう一度彼と交わった。
一度沸き起こった感情は波のように次々とギルバートを飲み込んでいった。
「ほしい」と言われるままに彼の中に入った。彼の性器を口にする事さえ、どうともなかった。
喘ぐ唇を唇で塞いで、彼の体を隅々まで愛し尽くした。もうウィリアムの体にギルバートの唇が触れていない部分などないぐらいに彼の体を丁寧に愛撫した。
愛しかった。ただ、彼が。
愛の言葉を紡ぐ時、ウィリアムはどうしようもなく嬉しそうに笑う。愛されたがりの子どものようなその顔は、たぶん彼の本来の気質そのものなのだ。
薬の影響はまだ残っていた。魔物としての力は戻っておらず、ギルバートを抱きしめる腕は弱々しい。それでも必死に縋りつく彼が愛おしかった。
寒々しい簡素な部屋の中は2人の愛の巣に変貌していた。昼夜構わずお互いに手を伸ばし合い繋がり合った。
ウィリアムは性交に積極的だった。
「俺は人じゃないから、そっちの欲は結構強いんだ、普通のディアヴァルは腹を満たすだけだけど、思えばグレイもそうだった、それに、この髪・・・」
「髪?」
「ああ。お前の髪、ここが銀色なんだな」
ウィリアムがギルバートの前髪の一部を指でそっとなぞって言う。
ギルバートの髪は生まれつき一部分が白銀だった。子供の頃は近所の子供達にそれを馬鹿にされた事もあったが大人になるにつれ自分でも殊更気にならなくなっていた。
「グレイも髪の一部分だけ色が違ったんだ、もっとくすんだ灰色だったけど」
「お前がその名前を口にするのは面白くないな」
「過ぎた事だ。お前が生まれる何百年も前の話だ。俺はずっと一人だった、だから、誰かと触れ合う嬉しさを、俺は忘れていたよ」
微笑んでウィリアムはギルバートの頬をなぞった。「キスしたい」と彼に請われるままに幾度も唇を重ね合った。
ギルバートがずっと抑圧していた心の奥の渇望を彼はいとも簡単に引きずり出す。肌を重ねる度に彼が自分に、自分が彼に馴染んでいく。
不思議だったのは、ウィリアムの秘所が女のように濡れることだった。ギルバートの乏しい知識でも、そこが雄を受け入れる場所ではない事ぐらい知っている。
「よくわからないけど、たぶん俺がそうしたいからだと思う、俺は人間とは違うから」
教会の教えでは同性愛は禁忌だ。罪深いものだとされているが禁忌であるという事は戒めを破るものが必ずいる。
だが、その行為は罪だ。ミラーの罪と自分の罪を天秤にかけるつもりはない。
だが「罪」とは何か、という質問の答えなど誰も持っていないのをギルバートは知ってしまった。
罪も、救いも・・・、この世には存在しない。あるのはただお互いの心と、肉体。それだけだ。
4日後にもう一度墓を暴いた。彼が人を喰う、という事実に感覚が麻痺していくのを感じた。一度目よりも葛藤は少なかった。喰いきれない残りを、ギルバートは布に包んで、離れた林に埋葬した。偽りの神父に祈られても天国には行けまい。だからギルバートは祈らなかった。
徐々に彼の体力が戻ると毒気も比例し、裸で睦み合うのは難しくなっていった。ウィリアムは自らの毒を完璧にコントロールできない。
「前は少しくらいなら人の側に寄れたけど、あのクソッタレの薬を打たれたせいか、制御が余計にできなくなっている」と彼は忌々しげに言った。スペンサーは薬の後遺症の事は考えていなかったのだろう。
安全のための法衣を来たままの行為はやはりどこか物足りず、かといって覚えた快楽と幸せを手放すこともできない。
彼と肌を重ねる時間が減るとその隙間を埋めるように話をするようになった。お互いの過去も打ち明けあった。
「普通のディアヴァルと、お前たちとはどう違うんだ?」
「そもそもの生まれが違う。俺は人の血を飲んだ後、グレイの血を分け与えられた」
ウィリアムの言葉にギルバートは驚いた。ディアヴァルの毒でディアヴァルになる以外の方法があるらしい。
ウィリアムは言葉を続けた。
「人を棄てる儀式さ。グレイは特別な魔物だった。彼の血を与えられると冥界への扉が開く。そこを通って、それから、、、試練にさらされる。あれは無限に感じる誘惑だった。自我を捨てろ、もっと大きなものと溶け合えと、そう唆される。それに耐えて、耐え抜くと。特別なディアヴァルになる」
冥界・・・死後に行くとされている場所だ。神に召し上げて貰えなかった魂の行きつく先。永遠の苦しみの為の場所。
そこは肉体を持って行ける場所ではない、とされている。肉を持って渡るには悪魔と契約するしかない。だがそれは悪魔に魂を明け渡した状態だ。ならばグレイという存在はディアヴァルと言うよりはもっと「悪魔」に近いのかもしれない。ウィリアムもまた、その系譜と言う事になる。
だが衝撃であるのは、その特別な存在が意図的に創り出せるという事だった。教会にとっては天地が覆るような話だ。
冥界、地獄、呼び名はどうでもいいが、その場所も、絶対者たる神が創ったものだとされている。神に許された悪。矛盾するようだが絶対者であるという事は、悪も統治している事になるだろう。だからこそ冥界は汚れた魂の場所のはず。だがウィリアムの話が真実ならばその場所に行き、そして人の意識と形を保ったままこの世界に戻る事ができるという事だ。
「じゃあ、他にもいるのか、お前とグレイ以外にも」と尋ねた。
「俺といた時、他にそういう存在はいないとグレイは言っていた、彼は自分を最も古いものだ、と言っていたし、それは本当だと思う。けど俺は魔物になってからグレイと会っていないんだ、一度も。だから後の事はわからない」
「一度も会っていないのか?」
「冥界から帰ってくるには200年かかる。だから俺はこの世界に戻ってからも少しの間ぼんやりと過ごした。夢と現実のはざまにいるような感じで人の形を上手く保てなかったし思考もあまりはっきりしていなかった。腹が空いて喉が渇いていたのは覚えてる。俺は必死にグレイを探した、滑稽だよ、今思うと。主人を探す飼い犬のようだった。だがグレイはいなくなっていた。彷徨う間に随分と人を喰った。ある日、我に返った、皮肉にもグレイに捨てられたと自覚して、俺は理性が戻ったんだ」
ギルバートは圧倒されながら淡々と告げるウィリアムの話を聞いていた。
200年もの間、人の精神を保ち冥界での拷問に耐えるなんて普通では出来ないだろう。それはモノクルスの訓練に耐えたギルバートすら想像を絶する事だと思う。
ウィリアムはそれに耐えた。ただ・・・一人になりたくない、というその思いの為に。
彼が人だった時に辿った人生があまりに過酷で寂しいものだったのだとギルバートは知った。親も兄弟も誰もいない。この世界に独りぼっち。神に祈っても救われない。そういう人生の中で彼を支えたものは、その時のグレイだったのだ。
彼の驚くべきその一途さは、強固だ。愛すると決めた者に対しての献身があった。そして今、それを受けているのは自分だった。
彼の「愛」は純粋にそれだけの意味だった。打算も何もない、むき出しの愛だった。
そういうウィリアムだからこそ、冥界で長い時間耐える事ができたのだろうが、皮肉にもその強さが彼を孤独な永劫の時の中に閉じ込めてしまったのだ。
「ずっと傍にいていい、と言われたんだ・・・それを俺は信じた・・・けど」
ギルバートはウィリアムを抱きしめた。
「ちょ・・・毒が・・・だめだ」
「これぐらい平気だ。俺はモノクルスだ」
「元、だろ?」
ウィリアムの言葉にギルバートは肩を竦めた。
「逃げよう、ウィル。遠くへ、できるだけ」
彼の瞳をしっかりと見つめて言った。
「・・・俺は・・・でも」
ずっと一緒にはいられないかもしれない。それはわかっている。今2人は非常に危ない、薄氷の上にいるのも同然だ。ブルーとギルバートが消えたとなれば、当然捜索があるだろう。墓を2度暴いた。露見するのは時間の問題だ。
教会の追手は執拗だ。それをギルバートはよく知っていた。
ウィリアムは歩くのに支障のない程度にやっと回復した。もう少しすれば魔物の力を取り戻すに違いない。
そこまで追手を躱すことができれば、彼が逃げられる算段は各段に高くなる。もしもの時は自分は潔く教会の処分を受けても良い。
ギルバートは彼に口づけを落とした。
その夜、2人はその場所を後にした。闇夜に紛れ、道なき道を進み、海を渡る事がもしできれば・・・
不可能ではないかもしれない。
一度沸き起こった感情は波のように次々とギルバートを飲み込んでいった。
「ほしい」と言われるままに彼の中に入った。彼の性器を口にする事さえ、どうともなかった。
喘ぐ唇を唇で塞いで、彼の体を隅々まで愛し尽くした。もうウィリアムの体にギルバートの唇が触れていない部分などないぐらいに彼の体を丁寧に愛撫した。
愛しかった。ただ、彼が。
愛の言葉を紡ぐ時、ウィリアムはどうしようもなく嬉しそうに笑う。愛されたがりの子どものようなその顔は、たぶん彼の本来の気質そのものなのだ。
薬の影響はまだ残っていた。魔物としての力は戻っておらず、ギルバートを抱きしめる腕は弱々しい。それでも必死に縋りつく彼が愛おしかった。
寒々しい簡素な部屋の中は2人の愛の巣に変貌していた。昼夜構わずお互いに手を伸ばし合い繋がり合った。
ウィリアムは性交に積極的だった。
「俺は人じゃないから、そっちの欲は結構強いんだ、普通のディアヴァルは腹を満たすだけだけど、思えばグレイもそうだった、それに、この髪・・・」
「髪?」
「ああ。お前の髪、ここが銀色なんだな」
ウィリアムがギルバートの前髪の一部を指でそっとなぞって言う。
ギルバートの髪は生まれつき一部分が白銀だった。子供の頃は近所の子供達にそれを馬鹿にされた事もあったが大人になるにつれ自分でも殊更気にならなくなっていた。
「グレイも髪の一部分だけ色が違ったんだ、もっとくすんだ灰色だったけど」
「お前がその名前を口にするのは面白くないな」
「過ぎた事だ。お前が生まれる何百年も前の話だ。俺はずっと一人だった、だから、誰かと触れ合う嬉しさを、俺は忘れていたよ」
微笑んでウィリアムはギルバートの頬をなぞった。「キスしたい」と彼に請われるままに幾度も唇を重ね合った。
ギルバートがずっと抑圧していた心の奥の渇望を彼はいとも簡単に引きずり出す。肌を重ねる度に彼が自分に、自分が彼に馴染んでいく。
不思議だったのは、ウィリアムの秘所が女のように濡れることだった。ギルバートの乏しい知識でも、そこが雄を受け入れる場所ではない事ぐらい知っている。
「よくわからないけど、たぶん俺がそうしたいからだと思う、俺は人間とは違うから」
教会の教えでは同性愛は禁忌だ。罪深いものだとされているが禁忌であるという事は戒めを破るものが必ずいる。
だが、その行為は罪だ。ミラーの罪と自分の罪を天秤にかけるつもりはない。
だが「罪」とは何か、という質問の答えなど誰も持っていないのをギルバートは知ってしまった。
罪も、救いも・・・、この世には存在しない。あるのはただお互いの心と、肉体。それだけだ。
4日後にもう一度墓を暴いた。彼が人を喰う、という事実に感覚が麻痺していくのを感じた。一度目よりも葛藤は少なかった。喰いきれない残りを、ギルバートは布に包んで、離れた林に埋葬した。偽りの神父に祈られても天国には行けまい。だからギルバートは祈らなかった。
徐々に彼の体力が戻ると毒気も比例し、裸で睦み合うのは難しくなっていった。ウィリアムは自らの毒を完璧にコントロールできない。
「前は少しくらいなら人の側に寄れたけど、あのクソッタレの薬を打たれたせいか、制御が余計にできなくなっている」と彼は忌々しげに言った。スペンサーは薬の後遺症の事は考えていなかったのだろう。
安全のための法衣を来たままの行為はやはりどこか物足りず、かといって覚えた快楽と幸せを手放すこともできない。
彼と肌を重ねる時間が減るとその隙間を埋めるように話をするようになった。お互いの過去も打ち明けあった。
「普通のディアヴァルと、お前たちとはどう違うんだ?」
「そもそもの生まれが違う。俺は人の血を飲んだ後、グレイの血を分け与えられた」
ウィリアムの言葉にギルバートは驚いた。ディアヴァルの毒でディアヴァルになる以外の方法があるらしい。
ウィリアムは言葉を続けた。
「人を棄てる儀式さ。グレイは特別な魔物だった。彼の血を与えられると冥界への扉が開く。そこを通って、それから、、、試練にさらされる。あれは無限に感じる誘惑だった。自我を捨てろ、もっと大きなものと溶け合えと、そう唆される。それに耐えて、耐え抜くと。特別なディアヴァルになる」
冥界・・・死後に行くとされている場所だ。神に召し上げて貰えなかった魂の行きつく先。永遠の苦しみの為の場所。
そこは肉体を持って行ける場所ではない、とされている。肉を持って渡るには悪魔と契約するしかない。だがそれは悪魔に魂を明け渡した状態だ。ならばグレイという存在はディアヴァルと言うよりはもっと「悪魔」に近いのかもしれない。ウィリアムもまた、その系譜と言う事になる。
だが衝撃であるのは、その特別な存在が意図的に創り出せるという事だった。教会にとっては天地が覆るような話だ。
冥界、地獄、呼び名はどうでもいいが、その場所も、絶対者たる神が創ったものだとされている。神に許された悪。矛盾するようだが絶対者であるという事は、悪も統治している事になるだろう。だからこそ冥界は汚れた魂の場所のはず。だがウィリアムの話が真実ならばその場所に行き、そして人の意識と形を保ったままこの世界に戻る事ができるという事だ。
「じゃあ、他にもいるのか、お前とグレイ以外にも」と尋ねた。
「俺といた時、他にそういう存在はいないとグレイは言っていた、彼は自分を最も古いものだ、と言っていたし、それは本当だと思う。けど俺は魔物になってからグレイと会っていないんだ、一度も。だから後の事はわからない」
「一度も会っていないのか?」
「冥界から帰ってくるには200年かかる。だから俺はこの世界に戻ってからも少しの間ぼんやりと過ごした。夢と現実のはざまにいるような感じで人の形を上手く保てなかったし思考もあまりはっきりしていなかった。腹が空いて喉が渇いていたのは覚えてる。俺は必死にグレイを探した、滑稽だよ、今思うと。主人を探す飼い犬のようだった。だがグレイはいなくなっていた。彷徨う間に随分と人を喰った。ある日、我に返った、皮肉にもグレイに捨てられたと自覚して、俺は理性が戻ったんだ」
ギルバートは圧倒されながら淡々と告げるウィリアムの話を聞いていた。
200年もの間、人の精神を保ち冥界での拷問に耐えるなんて普通では出来ないだろう。それはモノクルスの訓練に耐えたギルバートすら想像を絶する事だと思う。
ウィリアムはそれに耐えた。ただ・・・一人になりたくない、というその思いの為に。
彼が人だった時に辿った人生があまりに過酷で寂しいものだったのだとギルバートは知った。親も兄弟も誰もいない。この世界に独りぼっち。神に祈っても救われない。そういう人生の中で彼を支えたものは、その時のグレイだったのだ。
彼の驚くべきその一途さは、強固だ。愛すると決めた者に対しての献身があった。そして今、それを受けているのは自分だった。
彼の「愛」は純粋にそれだけの意味だった。打算も何もない、むき出しの愛だった。
そういうウィリアムだからこそ、冥界で長い時間耐える事ができたのだろうが、皮肉にもその強さが彼を孤独な永劫の時の中に閉じ込めてしまったのだ。
「ずっと傍にいていい、と言われたんだ・・・それを俺は信じた・・・けど」
ギルバートはウィリアムを抱きしめた。
「ちょ・・・毒が・・・だめだ」
「これぐらい平気だ。俺はモノクルスだ」
「元、だろ?」
ウィリアムの言葉にギルバートは肩を竦めた。
「逃げよう、ウィル。遠くへ、できるだけ」
彼の瞳をしっかりと見つめて言った。
「・・・俺は・・・でも」
ずっと一緒にはいられないかもしれない。それはわかっている。今2人は非常に危ない、薄氷の上にいるのも同然だ。ブルーとギルバートが消えたとなれば、当然捜索があるだろう。墓を2度暴いた。露見するのは時間の問題だ。
教会の追手は執拗だ。それをギルバートはよく知っていた。
ウィリアムは歩くのに支障のない程度にやっと回復した。もう少しすれば魔物の力を取り戻すに違いない。
そこまで追手を躱すことができれば、彼が逃げられる算段は各段に高くなる。もしもの時は自分は潔く教会の処分を受けても良い。
ギルバートは彼に口づけを落とした。
その夜、2人はその場所を後にした。闇夜に紛れ、道なき道を進み、海を渡る事がもしできれば・・・
不可能ではないかもしれない。
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