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ハンカチは返したからね
あんなハンカチだけどハンカチはハンカチだ
落とし主は呆然としてたけど
もう関係ないし
これ以上絡まれると遅刻する
後ろで「待って」とか「これじゃない」とか「私の名前は……」とか最後は自己紹介始めた落とし主の声を右から左へと素通りさせ教室に走った
午前の授業は、今日は普通に終わったのに、昼食後のティータイムを楽しんでたら婚約者が面倒臭いこと言って来る
「ローレン、私を褒めなくていいの?私はローレンの言付け通りに手を出してないよ。偉くない?早く褒めて」
「えっ」
何かあったっけ?
眉を顰める俺にそっとロイが耳打ちしてくれる
「朝のことですよ」
はぁ、絡まれたのもややこしくしたのお前で俺じゃないよね
「ぇ、あ、ああ、偉かったな」
何処らへんが?
「私のローレンの前に態とハンカチを落とすとは、あの小娘の腕をへし折りたくなったが辞めておいたよ」
人として当たり前ですけど
落としただけで腕折られてたまるか
どう見てもお前へのアプローチでしたけど
後お前のじゃないし
どうせなら気付かない振りしてさっさと教室行きたかった
「そうか、頑張ったね」
言わないけど
「凄いな」
笑顔が引き攣るが頑張れ俺
「ふふっご褒美は?」
何故俺があげないといけないの
ちょっと意味分からないんだけど
笑顔で迫って来るの辞めてくれる
「えーっとぉ……俺の…ㇵハ、ハンカチ……持って行ったよね、それじゃ駄目かな?」
ハンカチ取られましたけど
「やだなぁ。あれはお互いのを交換しただけだよ。………返さないけど」
「ぁっそっか……ぅんご褒美ね………」
「楽しみだな」
ニコニコしながら要求してくるセド
なしとか言えない
困った
貧乏子爵家では奢れるものなんてしれてるし、頭撫で撫でじゃだめかな
それかハグでもしとく
黙ってる俺にセドはボソリと呟いた
「そっか……ご褒美くれないのか……あの令嬢明日学校に来れるかな。ローレンは私のなのに……約束守ったのに………」
ぅうわぁ……目の光が陰って来た
拗ねてる
不味い
これも全ていらん強心臓をみせた令嬢のせいだ
だがしかし、ハンカチ1つで退学なるのは寝覚めが悪い
落ち着けー落ち着けーとセドの頭を撫で撫でー、目の光が戻って来た
相変わらずサラサラで気持ちいいなあ、この天然キューティクルの持ち主め
羨ましい
「あーあーすごーく膝枕が支度なって来た」
「生足がいいな。ローレンの足は綺麗だから」
えっ俺ドレスではなくズボンですけど
キラキラして俺を見ない
脱げと、脱ぎません
食堂でのパンイチは公然わいせつ罪で御用です
明日から学校で変態と俺後ろ指挿されるのは遠慮したい
それ以前に学校へ来る強心臓は持ち合わせてない
「ご褒美は……帰ってからで」
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