伯爵令嬢の婚約者は執事で王弟で変態です

SEKISUI

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忘れものにはご注意を1

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 ビオルヘンは疲れていた
 今日は兄に会ったから
 だからアメリアに慰めて欲しかった
 残念ながらアメリアは風呂に入ってさっさと寝てしまった
 でもいいのだ………
 今日はとても良いことがある
 愛しい人が残してくれた、湯!
 今ビオルヘンは風呂の中でその幸せを噛み締めていた
 暖かい湯船に頭まで沈め静かに疑似体験を楽しむことにしたのだ
 勿論妄想を最大限に生かして、アメリアの入った風呂を堪能するのだ
 アメリアの出汁はビオルヘンの妄想を駆り立てるのに最適でどんどん膨らみビオルヘンを幸せにする
 まずアメリアの出汁をアメリア自身に替えビオルヘンを抱き締められるところから始まった
 体を湯船でゆっくり動かせば体を優しく撫でられている感じが出て心に春が訪れる
 激しく動かせば撫で回せれて熱く熱くビオルヘンの心を鷲掴む
 全てビオルヘンの頭の中で変換され何故かビオルヘンがアメリアに攻め立てられている
 絡みつくアメリアの出汁
 ただお湯が波うってるだけだ
 只のお湯
 されどアメリアの出汁 
 変態恐るべし
 妄想力が酷い
 

 寒気を覚え目が覚めたアメリア
 そして大変な失態を犯したことを思い出す
 もう少しで完全に夢の中に入る寸前
 危なかった……
 栓を抜き忘れていた
 もう手遅れかもしれない………
 だがこのまま次の日を迎えるよりはましなはず
 「お嬢様!どうしたのです?」
 急にベッドから立ち上がったアメリアに近くでカーテンを閉めていたルビィナが驚き声を上げる
 「ルビィナ大変よ!私抜くのを忘れていたの!」
 急いで風呂場へ向かうアメリア
 困惑しながらもアメリアの後にルビィナは付いて行く

 遅かった……
 腰にタオルを巻いた変態が湯船に沈んでいた
 永久に沈めてしまいたい考えが脳裏をよぎったが
 いけないことだ
 死体が出ては伯爵家の不名誉に繋がる
 落とし蓋をして事故死に見せかけたかったが変態がこの程度で死ぬはずがない
 寧ろ喜ばせる

 取り敢えず水面に出た棒状の物をどうにかしよう
 ビオルヘンが水中で息が出来ているのはこの筒のおかげだ
 水遁の術
 敵から逃げたり隠れたりする隠形術の一つで水の中で活用する
 変態も人科の生き物だ
 肺呼吸は出来ない

 この水遁の術には古来より伝わる作法がある
 熱湯を流すのが流儀だがそれよりももっと良いものがある
 アメリアは急ぎルビィナにそれを用意するよう指示を出す
 それの用意が出来るまで取り敢えず風呂の湯を筒に流し込んでみた
 「ンァアアアアアアアアァァァアアグフグフグフフフフフフ………うふっハァハァクフフツ」
 お湯は変態の口に直ぐに吸収され筒から変な呻き声が流れた
 やばい………気持ち悪い……… 
 怯んだアメリアは後ずさる
 アメリア自ら栄養を与えてしまったのだ
 アメリアエキスのお湯は変態を喜ばせただけに終わる
 「お嬢様お待たせしました」
 ルビィナが頼んでいた物を持って帰って来た
 さっそくアメリアは筒の先端に深淵の緑色したドロリとした液体を流す
 「ゴフッ…………………………………」
 アメリアが頼んだ物は薬草を煎じて三日三晩何度も継ぎ足し濃縮したありがた~い万能薬だ
 良く効く、とても良く効くが、苦い。効力に比例して悶絶級の苦さだ
 普通の人は薄めて甘味を加えて飲むものだ
 ビオルヘンが口にしたのは原液
 良薬は口に苦しというからきっと変態も治るはず
 「……コク…コク…コク…コク………」
 カップ1杯を静かに飲み干した変態
 つまらない
 期待した反応と違う
 寝るかな
 風呂場を出ようとした時筒から声が聞こえた
 「ご褒美が欲しい」
 「えっ」
 薬をきちっと残さず飲んだからご褒美をくれと強請られる
 「口直しにアメリアの体液を流して」
 残念ながら薬は効かなかったようだ
 変態はご顕在です

 そうか……万能薬といっても何にでも効く理由ではないのだなと冷静に考えるアメリア
 ルビィナを見れば
 「煮ますか?凍らせますか?」
 視線を湯船に移せば変態は頬をご褒美を待っている 
 
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