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4運命の歯車が再び回り始める
しおりを挟むルーヴェル王国の辺境にあるファーガス公爵家の別邸。その地に身を寄せることになったスカーレット・ヨークは、かつて「王太子アルバートの婚約者」として多くの期待を背負いながらも、突如として無実の罪を着せられ、婚約破棄・王都追放という不遇に遭った。
しかし、そんな彼女を救ったのが、この国の公爵であり圧倒的な実力を持つゼイン・ファーガスである。スカーレットの悲惨な境遇を知り、また彼女の誇りと知性を認めたゼインは、まるで当然のごとく彼女を庇護し、今では“客人”として別邸に迎えている。
当初は「しばらくの間、安全な場所に身を隠せればいい」と思っていたスカーレットだったが、ゼインの誠実な人柄や、少しぶっきらぼうながらも的確に気遣う態度に触れるうちに、いつしか心の奥底から彼を慕うようになっていた。ゼインもまた、彼女の芯の強さや知性に惹かれているようだったが、最初のうちはあえて多くを語らなかった。
しかし、スカーレットが王太子アルバートとその取り巻き――「平民の聖女」を自称するアメリア――から受けた仕打ちが、ヨーク伯爵家全体へ及んでいることが明らかになると、状況は変わっていく。伯爵夫妻が王太子の横暴によって追い詰められ、命までも危ういという報せがゼインのもとに届き、彼らを救うために具体的な行動を起こす必要が出てきたからだ。
その動きの中で、ゼインはスカーレットに“婚約”という形での保護を提案する。そして、もし彼女が自分を心から受け入れてくれるならば――いつか“本物の婚約”として共に歩んでほしいと、仄かに想いを伝えるのだった。スカーレットは戸惑いつつも、ゼインへの深い信頼感を寄せるようになり、伯爵夫妻を救うために自分の知り得る情報を整理し、彼の動きをサポートしていた。
やがて、ゼインが派遣した私兵たちが極秘裏に王都へ潜入し、伯爵夫妻との接触を図る。時は満ち、伯爵夫妻を亡命の形で救出する作戦が進行し始める――。
そして、ここからがスカーレットたちの最終的な運命を決定づける、波乱と激情の幕開けとなるのである。
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王都の混迷、アメリアの暗躍
グランフォード王国の王都グランフォード。そこではすでに、かつて「聖女」と称えられたアメリアの暗躍が常軌を逸し始めていた。
王太子アルバートは、アメリアを全面的に庇護し、政治の実権を彼女へと譲り渡しているも同然の状態だ。国王が病床に伏せっている中、アルバートこそが“王位継承者”として国を統べる立場にあったが、実質的にはアメリアの命令を聞き、貴族たちを抑えつけている。
その一方、アメリアが生み出したとされる“奇妙な病”が王都を蝕んでいた。どういうわけか、多くの市民が突然高熱を発し、思考が鈍ってしまうのだが、アメリアが現れると症状が和らぐらしい。こうして人々は「アメリア様こそが本物の聖女」「アメリア様を崇めなければ呪いが広がる」と信じ込むようになっていった。
ところが、その病の実態は、アメリアが裏で扱う薬物の副作用によるものだという噂が密かに流れ始めている。王都の一部では、すでに「これは聖女などではなく、ただの詐欺師だ」という声が囁かれ、アメリアの手口を明かす文書が出回り始めているのだ。
アメリアは、その動きに焦りを感じていた。自分の支配下に置けていた人間たちが、薬の効果が薄れるにつれて正気を取り戻し始めている。そのままでは、これまでの悪事がすべて暴かれかねない。
だが、彼女には切り札があった。それが「ヨーク伯爵家を標的にし続ける」という卑劣な作戦である。すでに王太子アルバートは、スカーレットを陥れたときと同じように、「伯爵夫妻は聖女を妬み、国を裏切ろうとしている」と繰り返し吹き込まれていた。伯爵家が危険な思想を持った反逆者として処罰されれば、アメリアへの疑いも“邪悪なる伯爵家による陰謀”として揉み消せるかもしれない――そんな見通しを彼女は立てていたのだ。
アルバートもまた、アメリアへの疑念を抱けない状態に陥っていた。彼は優しい性格が災いしてか、“聖女”という看板に惑わされたまま、薬物の力による洗脳にも深く飲み込まれている。唯一の王位継承者としての権力を、アメリアの保身のために使うのも厭わない。
ヨーク伯爵夫妻が数々の裏工作によって追い詰められているという報が、スカーレットのもとへ断続的に届けられたのは必然だった。ゼインが手を打たなければ、伯爵夫妻は命を失うかもしれない――そう思わせるに十分な不穏な空気が、王都を覆っていたのである。
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伯爵夫妻救出作戦、極秘の進行
そんな中、ゼインはついに“伯爵夫妻救出”の具体的プランを始動させる。
彼はルーヴェル王国の王宮とも連携をとり、表向きは「グランフォード王国国境付近の治安維持に関する協議」を名目に、部下の騎士や私兵を数十名ほど動かす準備を進めていた。そして、その一部を選抜してグランフォード王国へ極秘裏に潜入させる。
彼らはヨーク伯爵邸の構造や周辺の地理を下調べし、伯爵夫妻と接触。地下室や古いトンネルなど、外部に知られていない脱出経路があるかもしれないと踏んで、綿密な計画を立てていく。そして、伯爵夫妻が「王都を脱し、国境近くまで移動する日程」を決め、一気に境界線まで護衛するという段取りが整えられた。
スカーレットも、知る限りの情報――伯爵家の構造や使用人の配置、伯爵夫妻が信頼している人物の特徴など――を提供し、作戦を成功させるために尽力した。ただし、彼女自身は救出当日に同行することは許されなかった。ゼイン曰く、「お前が動けば目立ちすぎる。王都に潜伏している手下が少しでも嗅ぎつけたら、全てが台無しになる」とのことだ。
最初こそスカーレットは「自分も行く」と言い張りたかったが、ゼインの言うことはもっともであるし、自分が捉えられてしまえば伯爵夫妻を救うどころか人質にされかねない。それを悟り、涙を飲んで邸で待機することを決意した。
この段階ですでに、スカーレットとゼインとの間には“形だけの婚約”を越えた信頼関係が芽生えていた。正式な発表こそされていないものの、使用人たちも半ば公然の事実として、スカーレットを「未来の公爵夫人」と扱っている。しかし、スカーレットはまだ過去のトラウマを引きずっており、彼女自身が「私はもう二度と婚約なんて……」と恐れている部分もあった。
それでも、ゼインは彼女に焦りを見せることはない。「伯爵夫妻が無事にこちらへ来てから改めて話そう。そのときに、お前の気持ちを聞かせてくれればいい」とだけ告げ、穏やかな眼差しを向けていた。まるで「すべてを終わらせてから、安心して答えてほしい」と言わんばかりの大人の配慮――それがスカーレットの胸をしめつけ、逆に彼女の中でゼインの存在がいっそう大きくなるのだった。
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王都脱出、迫りくる追っ手
夜陰が深まる頃、ヨーク伯爵邸の地下室では、伯爵夫妻が真剣な面持ちで身支度を整えていた。王太子アルバートの近衛兵が屋敷を包囲し、さらにはアメリアの息のかかった怪しげな者たちが“放火”や“毒殺”など卑劣な手段を繰り返し試みようとしている中、伯爵夫妻は命からがら数日を過ごしてきた。
やがて、ゼインの私兵がそっと屋敷の裏庭に現れ、かねてから打ち合わせていた合図を送る。伯爵夫妻は信頼できる数名の古参使用人にも知らせず、ほとんどの荷物を捨て去り、数枚の重要書類や証拠だけを小さな鞄に詰め、闇夜に紛れて脱出を図った。
物音ひとつでも聞かれれば一巻の終わりという緊張感が漂う。過去に一度も使ったことのない“地下トンネル”を進み、裏手の細い抜け道へと向かうとき、伯爵夫人は足元が震えるのを必死にこらえていた。
「お、お父様……私たち、本当にここを通って出られるのでしょうか……」
「きっと大丈夫だ。ファーガス公爵の私兵が整備したと言っていた。落ち着いて進めば、外へ出られるはず……」
伯爵はそう言い聞かせながら妻の手を握る。疲れと恐怖、そして「娘を守るために、ここで倒れるわけにはいかない」という想いが、夫妻を前へと進ませる原動力だった。
しかし、出口付近で待ち受けていた数名の私兵が、「もう少し……あと数メートルで地上へ抜けます」という囁き声を立てたところで、何者かの足音が辺りに響く。どうやら近衛兵の巡回ルートが変更になっていたようだ。
地下から抜け出した瞬間、闇の中から「そこにいるのは誰だ!」という鋭い声が上がる。伯爵夫妻は息をのむが、ゼインの私兵がすかさず腕力と奇襲によって兵を無力化し、何とか大きな音を立てずに制圧した。
「急げ! 増援が来るぞ!」
「伯爵夫妻は荷馬車へ! すぐに街道へ向かう!」
汗まみれのやり取りが続き、かろうじてヨーク伯爵夫妻は闇夜に隠れながら屋敷裏を脱出することに成功する。馬車は荒れた路地を抜け、なるべく人目の少ない道を選んで国境へ向かう。
しかし、当然ながらアルバートが放った追っ手も王都の各ルートで待ち伏せしている可能性が高い。しかも、夜明けが近づけば道中で見つかるリスクも増える。まさしく時間との勝負だ。伯爵夫人は馬車の奥でひたすら震えながら、「スカーレット……あなたに会いたい」と心中で唱え続けた。伯爵もまた拳を握りしめ、「ファーガス公爵が、きっと我々を助けてくれる」と祈るように念じている。
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国境線での邂逅、ゼインの騎士団
やがて夜が明け、東の空が薄く白み始める頃。馬車は森を抜け、開けた場所へと出る。ここから少し進めば、ルーヴェル王国との国境が近いはず――そう私兵が地図を確認するが、同時に背後からは馬の蹄がごうごうと迫る音が聞こえる。
「来たか……敵だ」
案の定、王太子側の兵士たちが大勢で追いかけてきたのだろう。彼らは伯爵夫妻が逃亡したと知り、アルバートの命によって国境封鎖を試みている。
「くそっ、このままでは包囲される……急いで国境を越えないと!」
御者台の私兵が鞭を振りかざし、馬を疾走させる。しかし、相手の馬も騎乗兵が多く、一瞬で距離を詰められそうになる。伯爵夫人は思わず声にならない悲鳴を上げ、「このままでは私たち、捕まってしまう……」と不安を募らせる。
――だが、その一瞬後。森の先に広がる道の向こうに、一団の騎士たちが待ち受けている光景が見えた。
「ルーヴェル王国の軍旗……? もしかして……!」
伯爵が目を凝らすと、そこには馬にまたがったゼイン・ファーガス公爵の姿がはっきりと見える。漆黒のマントを翻し、その銀髪を朝日に照らされながら、ゼインは騎士団を率いて厳かな面持ちで佇んでいた。総勢は20名ほどか――少数精鋭だが、その統率力と威圧感は王太子の追撃部隊など比ではない。
「ヨーク伯爵夫妻を迎えに来た。お前たちの手出しは許さない」
ゼインの鋭い声が、朝焼けの空気を震わせる。
追撃の兵士たちは、一瞬怯んだ。まさか公爵が直接国境付近まで出向き、待ち受けているとは思っていなかったのだろう。王太子アルバートの命令とはいえ、隣国の公爵に正面から挑めば、外交問題どころか戦争の火種になる可能性がある。
「貴様らは引き返せ! 伯爵夫妻は我が国への亡命を希望している。正当な手続きを踏むつもりだ。ここで捕縛しようなど、余計な真似はしないほうがいいぞ」
ゼインの声量は抑えられているが、凄まじい威圧感がある。兵士たちはためらい、互いに顔を見合わせるしかなかった。なにせ相手はファーガス公爵。軍事にも政治にも長け、王族すら一目置く存在として有名なのだ。
結局、追撃部隊の隊長らしき男が、「これ以上は危険だ……引き上げる!」と撤退を指示するしかなかった。アルバートの命令に逆らうわけにはいかないが、ここで公爵軍と正面衝突して負ければ、責任を問われるのは自分たちだ。
兵士たちが慌てて退却していくのを横目に、ゼインは伯爵夫妻の馬車へ近づく。そして、深く安堵の息をつきながら手を差し伸べた。
「……間に合ったか。伯爵、伯爵夫人。よくぞご無事で」
伯爵は震える声で感謝を告げる。伯爵夫人も涙を流し、「スカーレットに会えますね……!」と口走る。ゼインは静かに頷いた。
「これで安全圏だ。もう王太子殿下とやらの追手は届かない。さあ、行こう――スカーレットが待っている」
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再会、そして暴かれる真実
こうしてヨーク伯爵夫妻は、ルーヴェル王国の公爵軍によって保護され、正式に“亡命”の形で国境を越えることに成功する。ファーガス公爵の影響力によって、両国間で直ちに大規模な紛争が起きることは避けられた。もちろんアルバートは「伯爵夫妻を引き渡せ」と抗議するかもしれないが、既にアメリアをめぐる疑惑が深まり、国内の統治すらままならない状態だ。
一方、伯爵夫妻の到着を知ったスカーレットは、別邸の玄関ホールで逸る気持ちを抑え切れずに待ち続けていた。心臓は早鐘のように打ち、手汗が滲む。
やがて扉が開き、ゼイン率いる騎士団が入ってくる。その後方には、疲労でやつれた様子ではあるが、紛れもなく両親の姿が――。
「お父様! お母様……!」
スカーレットは走り寄り、伯爵夫人と抱き合う。夫人は娘を強く抱きしめ、震えながら言葉を紡いだ。
「スカーレット……ありがとう、あなたが私たちを案じてくれたから、こうして逃れてこられたわ……! 本当に……本当に……!」
伯爵も安堵の表情を浮かべているが、その目は赤く潤んでいた。かつては名家として王都でも知られたヨーク伯爵家が、何の因果か隣国へ亡命するなど想像もしなかっただろう。だが、アルバートとアメリアの魔手から逃れられた今、命あってこそという思いが強い。
伯爵がゼインへ向き直り、深々と頭を下げる。
「公爵様……あなたさまには何とお礼を申し上げればよいか。娘だけでなく、我々まで救ってくださるとは……」
ゼインはそっけない口調で言葉を返す。
「礼ならば、スカーレットに言ってくれ。俺はただ彼女を守りたいと思っただけだ。お前たちが命を落とせば、彼女の悲しみは計り知れないからな」
その言葉を聞いて、スカーレットの胸はぎゅっと強張るような、同時に温かい思いが駆け巡る。ゼインの態度はどこか淡々としているように見えるが、実際にはここまで大規模な行動を起こし、さらにリスクを負った。もしかすると、王都との対立が激化すれば戦争に発展する危険すらあったのだ。それをやってのけたのは、どこまでも誠実で、彼女を信じる気持ちがあるからに違いない。
そして――伯爵夫妻が持参した書類の中には、アメリアが起こした数々の不正を裏付ける証拠が含まれていた。実は伯爵家は、スカーレットが婚約破棄され追放されたあと、独自に調査を進め、アメリアに利用されている侍女や近衛兵の証言を密かに集めていたのである。
さらに、いわゆる“奇妙な病”と呼ばれる症状が、アメリアが扱う“精神を操る薬”によるものだと示唆する記録もあった。これらをルーヴェル王国の専門家が分析すれば、アメリアの悪事は世界的に公表される可能性が高い。
ゼインは伯爵夫妻から受け取った書類を眺め、鋭い目つきで呟く。
「これだけの証拠が揃えば、やつらの破滅は時間の問題だろう。……王太子アルバートがどれほど彼女に心酔していようとも、国がもたないはずだ」
スカーレットはその言葉にわずかに心を痛める。アルバートは幼馴染であり、かつては優しいところもあった。しかし、今となっては自分を害した敵に等しい。「破滅しても構わない」と完全には言い切れないものの、少なくとも二度と自分たちの前に立ちはだかってほしくはない――そんな複雑な感情が、彼女の胸をじくじくと燻らせる。
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偽りの聖女の末路、王太子の破滅
一方、王都グランフォードでは、ヨーク伯爵夫妻の失踪(実質的な亡命)によって、王太子アルバートの焦りが一層募っていた。王都の人々の中にも、アメリアが“聖女”ではなく“詐欺師”ではないかと疑いを持つ者が増えている。さらに、遠方からは「伯爵夫妻がルーヴェル王国へ逃げたらしい」という噂が流れ始め、いよいよ王都は混沌としていった。
アメリアは相変わらずアルバートを手玉に取り、国政を思うままに操ろうとする。しかし、薬の効果が薄れていく人々が次々と真実に気づき、アメリアに対する信頼を失っていた。中には王宮の侍女や近衛兵までもが自主的に告発し始め、「我々はアメリア嬢に薬を飲まされ、ヨーク伯爵家を悪役に仕立て上げる偽証をした」と証言する事態が起こる。
こうなると、アルバートとアメリアが築き上げた虚構は立ち行かなくなる。王太子の権力を笠に着ても、国全体が彼らに疑問の目を向けるようになり、国王が回復しないうちに王宮は空中分解寸前だ。
極めつけは、伯爵夫妻からルーヴェル王国にもたらされた証拠が、「ある筋」を通じて王都の貴族社会に流出したことである。そこにはアメリアが人々を洗脳・操縦する薬の作成と投与方法、さらに王太子を含めた権力者の懐へ入り込む手口が克明に記されていた。
やがて街角では「アメリアは本物の聖女などではなく、王太子をも騙す罪深き妖女だ」という噂が急速に広まる。そして、アメリアに反感を抱く人々が暴動を起こしそうな気配すら漂っていた。
追い詰められたアメリアは、王宮内でアルバートをなじるように声を荒らげる。
「アルバート様、どうしてこんな事態になっているの!? ヨーク伯爵家を潰せなかったのはあなたの責任でしょ! このままじゃ、私たち……」
彼女の言葉には、もはや甘い色気もなく、焦燥の剥き出しだった。アルバートはその姿に戸惑う。薬の影響で盲目的にアメリアを愛してきたつもりだが、周囲の批判と疑惑がここまで大きくなると、さすがに恐怖を抑えられなくなる。
「お、俺は……お前が本当に聖女だと信じていただけだ……。どうして嘘をついていた……?」
「嘘じゃないわよ! 私は必要なだけのことをやってきたの!」
アメリアの形相は醜く崩れ、もはや“聖女の微笑み”などどこにも残っていない。王宮の廊下にまで響く怒声が、内側からの崩壊を象徴していた。
そうして混乱が頂点に達したとき、遂にアメリアは王宮の兵士たちによって拘束される。逃亡を図ろうとしたところを取り押さえられ、調べが進むほどに多数の犯罪行為が発覚していく。アルバートの命令だけではなく、周囲の貴族たちも「彼女を裁判にかけろ」と糾弾し始めたからだ。
アルバート自身もまた、王太子としての地位を失う手続きが進んでいく。国王は長い眠りから少しだけ回復し始め、それを契機に重臣たちが「アルバート殿下は王位継承者に相応しくない」と声を上げた。その結果、アルバートは正式に王位継承権を剥奪され、政治の舞台から排除される運命を辿る。
かくして、自称“聖女”アメリアと、それに加担した王太子アルバートは、まさに自滅とも言える破滅を迎えた。スカーレットを追放し、伯爵夫妻を陥れた報いが、巡り巡って自分たちに降りかかったのだ。
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スカーレットの名誉回復と、ゼインの真摯な想い
一方、その頃、ルーヴェル王国ではヨーク伯爵夫妻の安定した生活が徐々に整い始めていた。ゼインの計らいにより、伯爵家は亡命者としての特別扱いを受けながら、国の上層部とも交流を持ち、いずれはルーヴェル王国で“第二の邸”を構えることも視野に入れている。伯爵夫人は「一度も考えたことのない土地だけれど、娘がここで幸せに暮らせるならば……」と穏やかな笑みを浮かべるようになった。
スカーレットもまた、王太子アルバートとアメリアの破滅が伝えられるにつれ、自分の名誉が回復しているのを実感していた。少なくとも、グランフォード王国内では「スカーレット・ヨークは無実だった」という認識が急速に広まっている。もはや“悪役令嬢”の呼び名は完全に過去のものになったと言ってよい。
それでも、スカーレットの胸中には複雑な思いが残る。すべてが“ざまあ”で片づけられるほど、彼女の心は冷たくない。アルバートが破滅に至った経緯を思えば、幼馴染であった彼の甘さや愚かしさにわずかな哀れみも感じる。それでも、自分が再び彼に振り回されずに済むこと、両親や大切な人たちを傷つけられないことに安堵を覚えるのは事実だった。
そんなある日の夕暮れ。ゼインはスカーレットを離れの庭に呼び寄せる。そこは公爵邸の中でも静かで、かつ美しい花が咲き乱れる場所。かつて彼女が書斎に籠もりきりだったとき、唯一散歩コースとして気に入っていた庭だ。
赤く染まる空の下、ゼインはスカーレットをまっすぐに見つめ、静かに口を開く。
「……スカーレット。お前の名誉は取り戻された。お前の両親も無事ここで暮らしていけそうだ。ならば、これから先、お前はどうしたい? グランフォード王国に戻るならば、それも選択肢だ。もう追放者ではないのだから」
スカーレットは一瞬言葉を探すが、すぐに首を振る。
「いいえ。私はもう、あの王都に戻りたいとは思えません。両親も、こちらで落ち着いて暮らそうと決めていますし……。それに、私が戻っても、ただ過去を思い出して傷つくだけでしょう」
ゼインは頷き、少し言いにくそうな表情を浮かべる。
「そうか……。ならば、次の問題だ。これまで俺は“形だけの婚約”という形でお前を保護してきた。だが、今となってはその必要は薄れつつある。お前は自由だ。……それでも、俺はお前と一緒にいたい。正式に俺の妻として迎えたいと願っている」
静かな語り口だが、その瞳には揺るぎない決意が宿っている。彼こそがこの辺境に君臨するファーガス公爵でありながら、一人の男性として最愛の女性に真摯に想いを告げようとしていることが、スカーレットにも痛いほど伝わる。
「あなたは……“形だけ”ではなく、本当に私を……?」
「無論だ。俺はお前を心から愛している。……王太子アルバートのことが心の傷として残っているなら、すぐに答えなくてもいい。だが、できれば――」
最後まで聞かぬうちに、スカーレットはゼインの言葉を遮るように顔を上げる。目には涙が滲み、しかし口元には微笑みが宿っている。
「わ、私も……あなたのことを、本当に慕っています。あの王太子とのことは……まだ悪い夢のようで、時々思い出すと胸が痛みます。でも、ここであなたと過ごしてきた時間が、その傷を少しずつ癒してくれました。だから、私は――」
ゼインがそっとスカーレットの手を取り、まるで宝石のように扱う。
「……ありがとう。ならば、改めて言わせてくれ。スカーレット、俺の妻になってくれ」
スカーレットは瞳を閉じ、頷くように小さくうなずく。その瞬間、頬を伝う涙が一筋、夕陽に輝いた。
「はい……。私でよければ、何卒よろしくお願いします……」
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婚礼の宴、そして訪れる新たな未来
こうして、ヨーク伯爵家の名誉回復からほどなくして、スカーレットとゼインの婚礼が正式に執り行われる運びとなった。ルーヴェル王国の貴族たちの多くも、ファーガス公爵の結婚を待ち望んでおり、盛大な祝宴を計画している。
一時は「元王太子妃候補」「亡命伯爵家の娘」という微妙な立場のスカーレットを受け入れるかどうか、国の重鎮たちにも議論があったらしい。しかし、ゼインがそれをことごとく跳ね除け、「俺が愛した女性を公爵夫人として迎える。それに異議のある者は、ファーガス家との関係を絶つ覚悟をしろ」と断言したため、反対意見はほとんど鎮まったという。
伯爵夫妻も「娘が幸せならば何より」と心から祝福し、スカーレットはついに新たな一歩を踏み出すことになる。
婚礼の日。別邸の庭には色とりどりの花が飾られ、豪奢な敷地は一段と華やかな雰囲気に包まれている。遠方から集まった客人、王宮から駆けつけた大臣クラスの要人、さらには騎士団の面々――皆が公爵と新婦を祝福するために列席している。
スカーレットは純白のドレスに身を包み、かつて王太子のもとで慣らされた礼儀作法よりもさらに気品ある姿で、バージンロードならぬ邸内の回廊をゆっくりと歩いていく。やがて広間の中心で待つゼインと向かい合い、司祭の問いかけに互いの名をはっきりと告げる。
「ゼイン・ファーガス、あなたを妻として迎え、一生涯を共にすることをここに誓います。病めるときも、健やかなるときも、決して手を離しはしない」
「スカーレット・ヨーク……これからはファーガスの名を帯びる者として、あなたと共に生き、どんな困難も二人で乗り越えることを誓います」
言葉は短くも重い。それはスカーレットにとって、やり直しのきかない“再婚約”――いや、正式な結婚なのだ。かつてアルバートと築き損ねた未来を、ここで取り戻すような感覚がある。同時に、ゼインとならば確かな幸福を掴めるという確信もある。
司祭の祝福を受け、周囲からの拍手が沸き起こる。伯爵夫人が泣きそうになりながら笑顔で手を振り、伯爵は胸を張りながら感無量の面持ちだ。騎士団の仲間たちも、ゼインがようやく“分かりやすい幸せ”を得たことを嬉しそうに見守っている。
そして誓いの口づけが交わされた瞬間、スカーレットの瞳からは涙があふれた。あの王太子の舞踏会や社交界では見られなかったほどの、純粋な安堵と喜びの涙――。
ゼインもまた、微かに微笑を湛えながら「ありがとう……」と囁く。むしろ感謝するのは自分のほうだ、とスカーレットは思う。彼女がこうして人生をやり直すことができたのは、ゼインの温かさと行動力があったからに他ならないのだから。
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真実の愛を手にして
その後の披露宴は、ささやかながらも盛大なものになった。多くの貴族が祝杯を上げ、新婦となったスカーレットの気品と美貌を称え、同時に公爵ゼインの人柄に改めて敬意を払う。ヨーク伯爵夫妻も列席し、新たにファーガス家の一員となった娘を誇らしげに眺めていた。
式が終わって夜が更けた頃、スカーレットはドレス姿のまま静かな回廊を歩き、ゼインとともに中庭へ向かう。そこには、淡い月明かりの下で揺れる草花と、小さな噴水の音。冷たい夜気が、長かった一日を締めくくるように二人を包み込む。
スカーレットはそっと手を重ね、感慨深そうに微笑む。
「……夢みたいです。王都を追放され、絶望していた私が、今はこうして公爵夫人になったなんて」
ゼインはゆっくりと彼女の隣に腰を下ろし、星空を見上げる。
「俺もだ。昔から“結婚など面倒だ、領地の管理で手一杯だ”と言い続けてきたからな。こんな幸せな夜が訪れるとは思わなかった」
その言葉に、スカーレットは微かに笑い、それから真剣な表情で問いかける。
「ねえ、ゼイン様。もし、あのときあなたが私を助けてくれなかったら、どうなっていたんでしょうね。私、荒野で死んでいたかもしれない……」
「そんな“もし”を考える必要はない。現実には、俺がお前を助け、今こうして共にいる。それがすべてだ」
キッパリとした答え。その力強さが、スカーレットをさらに安心させる。アルバートに感じなかった圧倒的な保護欲――いや、それ以上の愛情をゼインから感じ取るたび、彼女は「ああ、私は本当に救われたんだ」と実感する。
そして、もう一つだけ気がかりなことがあるとすれば、スカーレットがこれからルーヴェル王国でどんな役目を果たすのか、という点だ。ファーガス家の公爵夫人として、社会的にも重い責任がのしかかるだろう。
ゼインは、その不安を見透かすように言葉を紡ぐ。
「心配はいらない。お前が望むなら、公爵領の行事でも学問でも、好きにやればいい。お前が得意とする分野で活躍してくれれば、それだけで俺は心強い。……お前が新たな道を探すのなら、俺が全力で支える」
スカーレットは「はい」と小さく頷き、ゼインの腕に寄り添う。もう、王太子妃になることだけを目指していた過去の自分には戻れないし、戻りたいとも思わない。ここで一から人生を築き上げる覚悟はできている。
そして月光のもと、二人は再び静かに唇を重ねる。
スカーレットは思う。――どれほど辛い逆境に陥っても、自分を信じて行動すれば、たとえすべてを失っても、新たな道が開けるのだと。ヨーク伯爵家の汚名が晴れ、亡命先でこうして“真実の愛”を手にしたのは、それを証明するかのような運命のめぐり合わせだ。
元王太子と偽りの聖女は自滅し、誰もが彼らを見放した。一方、追放された伯爵令嬢――かつて“悪役令嬢”と嘲られたスカーレットは、公爵ゼインの伴侶として大きな幸せを掴む。まさに、天が下した皮肉な采配にも見えるが、それ以上に二人の努力と信頼がもたらした結末でもある。
今、この夜空に瞬く星々が見守る中、スカーレットとゼインは互いの体温を感じ合いながら、新しい人生への期待に胸を膨らませている。
彼女はもう、後ろを振り返る必要はない。たとえ明日何があろうとも、彼とならばどんな困難も乗り越えられる――そう信じられるほどの絆が、この短い時間の間に育まれてきたのだ。
スカーレットはそっと瞳を閉じ、深く息を吸い込む。もうあの王太子や偽りの聖女の呪縛に苦しむことはない。伯爵家の尊厳を背負いつつも、新たなファーガス公爵夫人としての道を、一歩一歩進んでいくのだ。
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光満ちる未来へ
かくして、スカーレット・ヨークの長い苦悩の日々は幕を下ろし、ルーヴェル王国のファーガス公爵夫人という新たな地位を得て、穏やかで幸せな人生を歩み始める。
王太子アルバートやアメリアの悪事は、結局、彼ら自身の愚行によって白日の下にさらされることになり、何もかもを失って破滅していった。国の未来を担う存在だったはずのアルバートが落ちぶれたのは、悲劇というよりは自業自得だろう。
対して、スカーレットと伯爵家は、長く険しい道を経て故国を離れながらも、真実の愛と家族の無事を得るという何にも代えがたい宝物を手にした。もし追放されていなければゼインとは出会えなかった、そう思えば人生とはわからないものだ。
今後、スカーレットは学問や文化を好む自分の特性を活かし、ファーガス公爵領の庶民教育や図書館の整備などに力を入れていくかもしれない。伯爵家としての誇りと教養を、隣国で新たに花開かせるのも悪くない。ゼインも、彼女がそうした活動を行うならば全力で支えるだろう。
人生に保証はない。だが、二人の歩み寄りは紛れもなく本物だ。スカーレットは信じる。“ゼインの隣で生きていく限り、きっと自分はもう二度と孤独に怯えることはない”。過去の辛さを糧に変え、これからは自らの意思で未来を切り開いていくのだ。
――こうして、かつての“悪役令嬢”スカーレットは、真の幸福を手に入れた。
婚約破棄に始まる波乱の物語は、無実の証明と両親の救出、そして公爵との結婚という最高の結末を迎え、新たな人生へと踏み出す。今、彼女の瞳に映る世界は、嘘や陰謀ではなく、愛と信頼が織り成す温もりに満ちあふれている。
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