無資格魔法使いが最強すぎる件 ―資格ってなんですか? 強いのでそんな資格いりません―

しおしお

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プロローグ

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この国は――資格で回っている。

料理をするにも、荷馬車を引くにも、
まして魔法を扱うなど言語道断。
あらゆる行為に資格が設定され、
それを持たない者は何一つ許されない。

特に魔法は危険度が桁違いだ。
火ひとつ灯すにも申請が必要、
風を起こすには審査があり、
治癒魔法となれば医療資格と並ぶほどの厳しさだ。

魔法免許は、国が認める“高度技能”。
取得するまで数年かかり、
試験は年に一度、合格率はわずか数%。
その難関を突破できず、夢を諦める者も多い。

そして――ルール違反には容赦がない。

「あの魔法使いの爺さん、飲酒魔法行使で免停くらったらしいぞ……」

酒場でそんな話が飛び交うのも日常である。

飲酒運転ならぬ、飲酒魔法行使。
火炎魔法を撃った瞬間にふらついて民家を焦がし、
即日“魔法免許停止(六ヶ月)”の処分。
国は笑わず、規則はあくまで厳格。

資格社会に生きる者たちは、
泣く泣く罰金を払い、講習に通い、
再講習の最後に“安全魔法技術テスト”を受け、
やっと元の生活に戻れるのだ。

そんな国で――。

無資格のまま、とんでもない魔法を行使してしまった少女がいる。

彼女の名は、ルーチェ・フェリシア。

後に“救国の英雄”とも “最大の反逆者”とも呼ばれる少女だが、
このときの彼女はまだ知らなかった。

自分が放った一撃が、
国を救い、
そして自分を破滅と追放へと導くことを。

資格がすべてのこの国で――
資格を持たぬ彼女が、どれほど異端だったかを。


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