月給422,800クレジットの仮面花嫁、契約終了したら溺愛されました

しおしお

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第1章:422,800クレジットの白い結婚

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1-1:没落伯爵家と救いの契約

――私の名前はジャアナアリー・ミラシオン。かつては輝かしい名門伯爵家の誇り高き令嬢として、人々の羨望を集めていた。だが今、その光は完全に失われた。父は賭博と豪奢な交際に溺れ、屋敷は負債の山。資産は底を尽き、使用人たちは半数が放逐され、姉妹たちは別の屋敷に身を寄せている。その末席にいる私ができることはただ一つ――残ったこの家を守り抜くことだけだった。

 そんな絶望の淵で差し出されたのが、公爵アレクシス・ヴァン=カーディアとの契約結婚の誘いだった。月額報酬422,800クレジット。1年の期間限定。恋愛の禁止。生活への完全非干渉。ただし対価として、伯爵家のすべての負債は帳消しに――。

 正直に言えば、私は迷わなかった。幼いころから、屋敷に吹く冬の風の冷たさを身をもって知っていた。庭園の噴水が凍りつき、夜ごとに暖炉の薪が底をつく恐怖。美しいドレスの裏に隠された貧しさ。姉や妹たちの失意に満ちた瞳。すべては私の責任だと思っていた。ならば、自分だけが仮面をかぶればいい。恋も情も、すべて封印しよう。そう私に言い聞かせた。

 決断の日、私は朝靄に包まれた公爵邸の正門前に立っていた。背筋を伸ばし、深呼吸を一度。喉が渇いてしまったかのように、ほんの少し息がつまる。だが胸の奥には、決して折れない意志が息づいていた。門番に名前を告げると、使用人が「ミラシオン伯爵令嬢様」と丁寧に頭を下げ、邸内へと案内してくれる。

 広大なホールの中央に鎮座する豪奢な会議テーブル。赤絨毯の向こう、黒曜石のように鋭い眼差しを向ける金髪の青年――公爵アレクシス。噂通り、彼は冷徹な美貌の持ち主だった。白銀のデスクの上には、すでに複数の契約書と、見開きの金貨の写しが整然と並んでいる。

「ミラシオン伯爵家の令嬢、ジャアナアリー殿。契約条件――ご確認ください。報酬は月額四二二八〇〇クレジット。期間は本日より一〇〇八日間。感情的な関与は一切認めません。生活圏も別居。業務連絡を除き、会話や交流は禁止です」

 アレクシスの声は低く、機械のように淡々としていた。その音色に、私の心臓は一瞬だけ強く脈打った。しかし次の瞬間には、自分の感情を叱咤し、冷静に書類を手に取る。

「――はい。この条件で承諾します。伯爵家の負債すべてを消去していただけること、深く感謝申し上げます」

 声は震えていなかった。むしろ、澄み切った静謐さが漂っていた。私はペンを取り、一行一行、慎重にサインを入れていく。指先に伝わる紙の感触。インクの鮮やかな藍色。すべてが現実へと私を引き戻す。

 契約書に最後の文字を刻んだ瞬間、アレクシスは一度だけ目を細めた。だがそれは、まるで業務報告書の締めくくりを終えたかのような冷淡な仕草にすぎない。

「これにて正式に、君は私の“契約妻”だ。……何か質問はあるか?」

 その問いに、私は首を横に振った。本心では、聞きたいことが山ほどあった。だが聞けば、それは私の弱みをさらすことになる。ここは割り切るしかないのだ。

「ありません。すべて理解しております。以後、業務連絡は書簡でお願い申し上げます」

 私は深く一礼し、契約の席を立った。その背後で、アレクシスは銀のペーパーウェイトを静かに指先で転がしている。私はその指先から、冷たい掌の気配を感じた。しかし同時に、どこか温かなぬくもりがかすかに残っているようにも思えた。

 邸を出るとき、使用人たちの視線がいっせいに私に注がれた。「あの令嬢が、高額報酬をもらう花嫁か」――囁きが背中に刺さる。だが私は振り返らず、荒れ果てたミラシオン伯爵家へと帰路を急いだ。

 夜、鏡の前で淡いドレス姿を映し出す自分を見つめる。契約という名の枷を身にまといながらも、不思議と心は凛としている。金銭だけが私の救いではない。家族を守るため、女としての尊厳を懸けた決断なのだ。

 そう――私は、ジャアナアリー・ミラシオン。月額422,800クレジットの契約婚の中で、必ずや自分の誇りを取り戻してみせる。仮面の花嫁としてのこの一年間は、私の未来への第一歩にすぎないのだから。

1-2:干渉なき日々と微かな違和感

契約婚が始まってから、私たちの生活はまるで会社の“同居オフィス”のようだった。
寝室は隣り合わせながらも鉄壁の防音ドアで隔てられ、起床時間も使用人たちを介した書簡でだけ知らされる。食堂も別フロアに分かれ、テーブルにはそれぞれの名前が刻まれた銀食器が並ぶ。私のディナーは午後七時、彼の夕食は七時三十分――まるでタイムシートのように厳格だった。

私から彼への直接の問いかけは、原則として認められない。何か用があれば執務室の守衛に書状を預け、翌日までに返事を書面で受け取る。感情を交えた一言すら許されないこのルールに、最初は心が冷え切る思いだった。だが、それもすぐに慣れていった。交換されるのは、あくまで「業務連絡」のみ。

ジャアナアリー殿、明日の朝食メニューに関して追記あり。  
「栗粥」を「粟粥」に変更せよ。  
以上。  
―アレクシス・ヴァン=カーディア

こうした通知を受け取る度に、私は「粥の種類を変えるだけか」と一度は眉をひそめるものの、その変更理由がいつも私の体調に合わせたものだと知ると、胸の奥が少しだけほころんだ。

ある朝、目の覚めがすこぶる悪かった。持病の頭痛が断続的に襲い、いつものフルーツサラダを受けつけられないほど体がだるかった。使用人に連絡を書簡で残し、ベッドに横たわると、午後になって「頭痛薬を用意した。別宅の薬草師手製のものだ」と。書状には簡潔にそうだけが記され、枕元には小瓶がそっと置かれていた。薬を飲むと、確かに痛みが和らぎ、まるで彼自身が見守ってくれているかのような安心感が心を満たした。

それだけではない。両親と妹たちが厳しい生活を強いられないよう、公爵家の名義で家族支援金が定期的に振り込まれていた。家政簿を取り寄せた折、見知らぬ大金が「寄付」として計上されているのを発見し、慌てて調べた私に使い走りの執事は「公爵様のご厚意です」とだけ告げた。直接感謝を伝えられないもどかしさと同時に、私の選択は間違っていなかったのだと実感した。

さらに不思議だったのは、彼が社交界で見せる冷酷さと、この屋敷で垣間見せる“気遣い”がまるで別人のようなことだ。貴族の噂話では、アレクシス公爵は情け容赦なく冷徹で、弱者には慈悲を示さない人物と伝わっている。しかし私の前で見せるのは、細やかな配慮と控えめな優しさ。まるで「契約」という形だけを遵守し、裏では私を守ろうとする仮面をかぶっているかのようだった。

ある週末、私は書簡で「市場視察に同行したい」と申請を書いた。返答は「同行不可。だが視察結果の報告書は提出せよ」という一行だった。けれど当日の夕方、報告内容をまとめた私の執務机に、彼が直接修正を加えたレポートが返却されていた。朱筆で囲まれた部分には、「◯◯商会の品質評価が甘い。再検品を指示せよ」と具体的な指示が添えられている。こうした繰り返しの中で、「あの一行」の背後に膨大な時間と注意が費やされていることを感じ、私の胸は次第に熱くなっていった。

干渉のない生活のはずが、静かに寄り添われている奇妙な日々。私は知らぬ間に、その“微かな違和感”に心を支配され始めていた。いつのまにか、彼の言葉がなくとも、彼の気配だけで心が安らぐことに気づく──それが、私にとって甘く苦い、新たな契約の始まりだった。

1-3:噂と偏見の中で

社交界に出席するたびに、私は視線の刃に晒された。きらびやかな舞踏会の大広間──シャンデリアが輝き、最上級のシャンパンが振る舞われる華やかな場所で、私だけは別格の扱いを受けていた。

「まあ、あのミラシオン家の末娘が……月額四二二,八〇〇クレジットで“買われた”なんて、まさに傀儡そのものね」
「お金があればなんでも手に入るってこと? まったく品がないわ」
「いったいどんな契約書にサインしたのかしら。想像しただけで寒気がするわ」

背後で囁く令嬢たちの声は、私の耳に容赦なく突き刺さる。ジルザ公爵家の長女ルクレティアは優雅にグラスを傾けながら、銀細工の扇子を優雅に開き、私の横顔を嘲るように見つめた。その瞳は、嘲笑と軽蔑に満ちている。私は一瞬だけ視線を合わせたが、すぐに視線を逸らした。──これが社交界の現実なのだ。契約婚という“商品”としての私が、どれほど軽蔑されているかを知らされた。

しかし、不思議なことに、その偏見のただ中で、ただ一人だけ、静かに私を見つめている人がいた。公爵アレクシス。彼は舞踏会にほとんど参加せず、世間から「社交嫌い」と呼ばれているが、稀に様子を見にくる。私が嘲笑されるとき、彼は遠巻きに立ち尽くし、動じる様子もなく、ただ黙ってそれを見ているだけだった。その姿は、まるで台本通りの演出家が舞台を観察しているかのようで、私の心のざわつきを助長した。

ある夜、私はひそかに公爵の後をつけてみた。豪奢なバルコニーに出ると、満月が銀色に輝き、夜風が涼やかに頬を撫でる。そこでアレクシスは、私の評判を聞いたのか、憂いを帯びた目で遠くの夜景を眺めていた。私は息を呑み、彼に声をかけようとしたが、言葉が喉に詰まった。結局、僅かに視線を交わすだけで、私はその場を離れた。彼が何を考えているのか、あの冷徹な公爵の心の内は計り知れない。

使用人の中にも、私を見下す者は少なくなかった。館の料理長ロナルドは、食事の際にしばしば小声で愚痴を呟いた。
「まったく、この家は口減らしのためにあんな令嬢を呼び込んだのかと……」
「せいぜい見世物だと思っておけ、なァ」

背後で聞くたび、胸が締め付けられた。しかし、私は平静を装い続けた。私の任務はただ一つ──商品としての役割を果たしつつ、家を救うこと。私には感情の余裕などない。「商品なんだ」と割り切ることで、自分を侮蔑の矢から守ろうとした。

「ジャアナアリー様、お飲み物をお持ちしました」

給仕のアンナが微笑みながら紅茶を差し出してくれる。その優しさが、どれほど救いになっていたか、私は言葉にできない。アンナだけは、私の正体――“仮面の花嫁”――を嘲笑せず、ただ丁寧に接してくれた。彼女の瞳には、私への同情でも憐れみでもなく、真っ直ぐな温かさが宿っていた。

夜、書斎の暖炉の前で、一人静かに日記を開く。燃え上がる炎のゆらめきに、私は自分の顔を映し出す。鏡の中の私は、豪華なドレスを纏い、髪には銀の髪飾りを光らせている。しかしその目は、蜃気楼のように揺れている。

「私はただの商品なんだ」

そう呟きながら、ペンを走らせる。契約書にサインをしたときの冷静さはどこへやら、胸に突き刺さる偏見と噂の重みが、まるで十字架のように感じられた。しかし同時に、その十字架を背負いながら歩く覚悟も、私にはあった。

「家族を守るための犠牲なら、私には惜しくない」

私は唇を噛みしめ、次のページに誓いを書く。たとえどんなに嘲笑されようとも、私はこの契約婚の中で、必ず自分自身の価値を証明してみせる。社交界の偏見を跳ね返し、“真の花嫁”として輝きを取り戻すこと――それが私、ジャアナアリーの、新たな闘いの始まりだった。


1-4:契約終了と告げられた新たな提案

月明かりが庭園の噴水を銀色に染める頃、私は重い布張りのトランクを静かに広げた。
中にはお気に入りのドレスや手紙、思い出の写真――だが、ここにあるものはすべて「契約妻」としての私を演じる小道具だ。

――今夜、あの書類は紙屑になる。

胸の奥で繰り返す声を振り切るように、私は素早く荷物をまとめる。
これまでの日々を思い返せば、孤独も、偏見も、すべて必要な犠牲だった。家の再建と名誉の回復のため、私は一切を受け入れると誓った。

「ジャアナアリー様、お手伝いしましょうか?」

翌日からの新生活に思いを馳せ、手伝いに来たアンナに微笑みかける。
だが、その微笑みはどこかぎこちなく、私は小さく首を振った。

「いいえ、ありがとう。大丈夫ですわ」

アンナは頷くと、そっと去っていった。薄暗い廊下を歩きながら、私は契約終了の鐘が鳴るのを待つ。

――24時、契約満了。

心臓が早鐘のように打ち始める。鍵がかかった夫婦用の書斎に最後の荷物を運び込んだとき、部屋の壁掛け時計が深夜0時を告げた。

「…………終わりだね」

自分でも驚くほど静かな声で呟く。机の上には、一年前に私がサインをした契約書の束が置かれている。金色の文字で「契約婚 422,800クレジット/月」と刻まれたその一枚一枚が、私の一年間を象徴していた。

私はそっと契約書を手に取り、火鉢の炎に近づける。紙が赤く焦げ、煙を上げる。炎は瞬く間に書類を飲み込み、灰だけを残した。

――これで、契約は本当に終わった。

背後からそっと扉が開き、低く響く声がした。

「ジャアナアリー」

振り返ると、アレクシス公爵が立っている。無表情のまま、しかしその瞳にはわずかな熱を帯びている。私は一瞬、とっさに息を飲んだ。

「……契約書は確認しましたね?」

彼の問いに、私は深く頷く。

「はい。契約は終了しました」

「ならば」

彼は歩み寄り、私の手から燃えかかった灰をそっと払う。指先が触れた瞬間、私の胸は強く鼓動を打つ。

「これからは――正式に、私の妻になってもらいたい」

その言葉は、まるで雷のように私の心に落ちた。

「……え?」

驚きで声が震える。私の頭の中は真っ白になり、翌朝の準備、離縁の手続き、家族への報告……あらゆる手順が吹き飛んだ。

「契約は終わり、だが」

彼は続ける。

「君に支払った金銭は、もう意味をなさない。報酬としてではなく、人生の伴侶として君を求める」

私は再び頷けず、ただ呆然と彼の言葉を受け止める。彼の淡々とした口調に、確かな誠意と深い想いが揺れ動いているのを感じた。

「……公爵様は、私を?」

震える声に、彼はわずかに微笑んだ。

「契約婚という形しか与えられなかったことを、後悔している」
「君の存在は、金以上の価値があると知った」
「これからは、言葉でも行動でも――すべてで示したい」

私の目に涙が溢れる。流すまいと思っていたのに、契約という仮面の裏に隠されていた真実を突きつけられ、感情が一気に溢れたのだ。

「公爵様……」

言葉を詰まらせながらも、私は振り絞って答える。

「……私も、公爵様と、正式に夫婦になりたいです」

その瞬間、アレクシスは初めてと言っていいほど、柔らかな笑みを浮かべた。

「ありがとう、ジャアナアリー」

彼は私をそっと抱き寄せる。冷たいはずの公爵の胸が、暖かく鼓動していた。私は震えるまま、その胸に顔を埋めた。

契約という名の鎖は解かれ、私はようやく自由になった――そして、新たな人生がここから本当の意味で始まるのだと確信した。

──月額422,800クレジット以上の価値を知った私たちの、真実の愛が、今まさに動き出す。

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