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第1話
悪女令嬢とうつけ王子──交わる野心と裏切りの婚約劇
アクノマジョリーカ・エリルフィン公爵令嬢は、父から突然突きつけられた婚約書状を見つめていた。
「ベルリッタ王国第一王子、ドンファム殿下との婚約が決まった」
父、エリルフィン公爵は淡々と言う。
「……あの“うつけ王子”とですの?」
ベルリッタ王国の王太子ドンファム。
世間からは「酒と女に溺れた無能」とされ、嫁の来手はゼロ。
一方、アクノマジョリーカは激しい気性ゆえに
「嫁ぎ先がない悪女」とされていた。
エリルフィン公爵は、そんな娘を冷酷に見下ろす。
「お前に他の縁談などあるものか。
ベルリッタのうつけ王子で十分だ」
「まあ、父上の“本音”はそれだけではございませんでしょう?」
公爵の眉がわずかに動く。
アクノマジョリーカは冷笑した。
「ベルリッタ王国に私を送り込み、
“親密な同盟関係”を築いたあと──
ベルリッタ軍をこの国の奥深くまで誘導し、
一気に王都を制圧させるつもりですわね」
図星だった。
公爵は口角を歪める。
「……さすがだ。
エスタール王国は腐っている。この国は、いずれ滅ぶ。
ならば、滅ぶ前にベルリッタを利用し、主導権を握るべきだ。
ベルリッタ軍が王都まで深く侵攻すれば、
国王も貴族も、一夜にして入れ替えられる」
彼の目には、完全に“反逆者”の光が宿っていた。
「そのために、お前を利用する。
ベルリッタと近しくなれ。
うつけ王子と婚約した“公爵令嬢の橋”がなければ、
大軍は国境すら越えられん」
アクノマジョリーカはゆっくりと立ち上がる。
「つまり──
“侵略の扉”を開ける鍵として、わたくしを使うつもり、ですわね」
「そうだ。お前は駒だ。
ベルリッタとの同盟の象徴となり、国境を開かせろ。
ベルリッタ軍が国内深く侵入した瞬間──
エスタール王国は一夜で落ちる」
アクノマジョリーカは笑った。
「素晴らしい計画ですわ、父上。
ですが──」
その瞳は、氷より冷たく輝いた。
「利用されるだけの駒ではつまらない。
“この国を落とすのは、わたくし自身”に決まっておりますわ」
公爵の目が大きく開く。
「ベルリッタ王国を動かすのが、わたくし。
父上ではなく、わたくしよ。
ドンファム殿下が本物のうつけなら扱うだけ。
もし隠された実力者なら──利用する価値がある」
アクノマジョリーカは、書状を指で弾き軽く笑った。
「やられる前にやれ、ですわ。
あなたの計画よりもっと速く、もっと確実に──
わたくしがエスタール王国を落としてみせます」
その背中は、悪女らしい気高さと冷酷な優美を帯びていた。
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悪女令嬢とうつけ王子──交わる野心と裏切りの婚約劇
アクノマジョリーカ・エリルフィン公爵令嬢は、父から突然突きつけられた婚約書状を見つめていた。
「ベルリッタ王国第一王子、ドンファム殿下との婚約が決まった」
父、エリルフィン公爵は淡々と言う。
「……あの“うつけ王子”とですの?」
ベルリッタ王国の王太子ドンファム。
世間からは「酒と女に溺れた無能」とされ、嫁の来手はゼロ。
一方、アクノマジョリーカは激しい気性ゆえに
「嫁ぎ先がない悪女」とされていた。
エリルフィン公爵は、そんな娘を冷酷に見下ろす。
「お前に他の縁談などあるものか。
ベルリッタのうつけ王子で十分だ」
「まあ、父上の“本音”はそれだけではございませんでしょう?」
公爵の眉がわずかに動く。
アクノマジョリーカは冷笑した。
「ベルリッタ王国に私を送り込み、
“親密な同盟関係”を築いたあと──
ベルリッタ軍をこの国の奥深くまで誘導し、
一気に王都を制圧させるつもりですわね」
図星だった。
公爵は口角を歪める。
「……さすがだ。
エスタール王国は腐っている。この国は、いずれ滅ぶ。
ならば、滅ぶ前にベルリッタを利用し、主導権を握るべきだ。
ベルリッタ軍が王都まで深く侵攻すれば、
国王も貴族も、一夜にして入れ替えられる」
彼の目には、完全に“反逆者”の光が宿っていた。
「そのために、お前を利用する。
ベルリッタと近しくなれ。
うつけ王子と婚約した“公爵令嬢の橋”がなければ、
大軍は国境すら越えられん」
アクノマジョリーカはゆっくりと立ち上がる。
「つまり──
“侵略の扉”を開ける鍵として、わたくしを使うつもり、ですわね」
「そうだ。お前は駒だ。
ベルリッタとの同盟の象徴となり、国境を開かせろ。
ベルリッタ軍が国内深く侵入した瞬間──
エスタール王国は一夜で落ちる」
アクノマジョリーカは笑った。
「素晴らしい計画ですわ、父上。
ですが──」
その瞳は、氷より冷たく輝いた。
「利用されるだけの駒ではつまらない。
“この国を落とすのは、わたくし自身”に決まっておりますわ」
公爵の目が大きく開く。
「ベルリッタ王国を動かすのが、わたくし。
父上ではなく、わたくしよ。
ドンファム殿下が本物のうつけなら扱うだけ。
もし隠された実力者なら──利用する価値がある」
アクノマジョリーカは、書状を指で弾き軽く笑った。
「やられる前にやれ、ですわ。
あなたの計画よりもっと速く、もっと確実に──
わたくしがエスタール王国を落としてみせます」
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