私は悪女らしいので、婚約者のうつけ王子を操り──私を売った父と母国に復讐します

しおしお

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第28話 アクノマジョリーカの“反転宣言”

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第28話 アクノマジョリーカの“反転宣言”

――捨て駒だった王子が、最強の刃となる日

ベルリッタ王城の作戦室。
巨大な丸卓の上には地図が広げられ、敵国エリフィン公爵領の動きが赤い駒で示されていた。

緊張で空気が張り詰める中、アクノマジョリーカはゆっくりと立ち上がった。

彼女のドレスが揺れ、視線は研ぎ澄まされた刃のように鋭い。

「――状況は明白ですわ。
エリフィン公爵は、ベルリッタを“内側から”食い破るつもり。
婚約を利用し、兵を国内に入り込ませ、すべてを乗っ取る計画ですの。」

重臣たちがざわめく。
その中心で、ドンファム王子は拳を握りしめていた。

「……俺は、ただの道具として利用されるはずだったんだな。」

アクノマジョリーカは、じっと彼を見る。

ほんの少し――ほんの一瞬だけ、眉尻がやわらいだ。

「そうですわ。
ですが、捨て駒のまま終わるとは限りませんわよ?」

「……?」

「逆に利用すればいいのです。
“うつけ王子”は敵の油断を呼びます。
あなたを侮った者から順に、私たちが全て叩き潰す。
そのための――反転宣言、ですわ。」

重臣たちが息を飲む。

アクノマジョリーカは続けた。

「ベルリッタは侵略される前に、“侵略者を逆に狩る側”へ回るべきです。
エリフィン公爵領へ兵を送り込み、彼らの計画を根本から潰す。
やられる前に――
やるのですわ!」

ドンファムは目を見開いた。

「俺を……利用する、のか?」

「ええ。
でも安心なさい。
“使えない駒”なら捨てるだけですが……
あなたは思ったより、使える駒ですもの。」

「褒めてるのか、それ。」

「最大級の賛辞ですわ。」

アクノマジョリーカは微笑み、丸卓に手を置く。

「私の読みでは、エリフィン公爵軍はすでに国境付近に兵を潜ませています。
表向きは親善だからと“建材部隊”だの“警護隊”だの言っていますが――
実態は精鋭の先遣隊ですわ。」

重臣
「なっ、そこまで……!」

アクノマジョリーカ
「ここで一つ、完全なる罠を仕掛けます。」

彼女は指先で地図の一点を弾いた。

「公爵軍が密かに集結している“補給路”を断ちます。
彼らは国内奥深くまで入り込んでいるため、戻るにも前に進むにも補給が必須。
そこを焼き払えば――」

ドンファム
「敵軍は孤立し、撤退も侵攻もできなくなる……!」

「そう。
そして混乱したところを、こちらの精鋭で包囲して殲滅しますわ。」

静寂。

次の瞬間、重臣たちは一斉に頭を下げた。

「アクノマジョリーカ様……なんという策を……」
「この反転作戦なら勝てる……!」
「王子殿下、どうかご決断を!」

注目がドンファムに集まる。

彼はゆっくりと立ち上がり、アクノマジョリーカの隣に並んだ。

「俺は……もう“うつけ”ではいられない。
ベルリッタを守るために、君の策を全面的に受け入れる!」

アクノマジョリーカは満足そうに頷いた。

「決まりですわね。
侵略してくる者には――
侵略で、返す。」

その声は、王都に響き渡る“反撃宣言”となった。


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