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第40話 悪女令嬢と“うつけ王子”、世界を制す
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第40話 悪女令嬢と“うつけ王子”、世界を制す
エリルフィン公爵領の中心都市フェラインの城壁が、朝靄の向こうに姿を現した。
アクノマジョリーカは馬上からその光景を一望し、薄く笑った。
「父の城が、こんなにも簡単に見える場所にあるなんて。防衛が甘すぎますわ。」
ドンファムが隣で苦笑する。
「アクノ。普通の娘は、生まれ育った家を攻め落とすとき、もう少し躊躇するものなんじゃないかな。」
「躊躇? 何それ、美味しいのかしら。」
「うわあ……すごく楽しそう……。」
アクノマジョリーカは涼しい顔で手を上げた。
「総員、前進。城門は開いていますわ。父は逃げたか、私を迎える覚悟を決めたか……どちらでしょうね。」
兵士たちが一気に進軍すると、その動きに気づいた城門手前の守備兵たちが慌ただしく退いた。武器を構える者すらほとんどいない。
その中心に、公爵本人が立っていた。
エリルフィン公爵は蒼白な顔で叫ぶ。
「アクノマジョリーカ! お前、自国に刃を向けるつもりか!?」
「ええ、その通りですわ。」
「気が狂ったか、この娘はぁ!」
アクノマジョリーカは馬を降り、ゆっくりと父へ歩み寄った。
「父上。もともと私をベルリッタへ送り込んだのは、あちらを内側から侵略するためでしたわよね。」
公爵は歯噛みする。
「お前さえ従っていれば……! 全ては我が家のためだった!」
「私を駒だとおっしゃっていた方に、家のためと言われても困りますわ。」
アクノマジョリーカの瞳が、鋭く細められる。
「だから、駒は駒らしく。父上ごと、この国を片付けに参りましたの。」
エリルフィン公爵は震えながら後ずさった。
「ま、待て。わかった、わかった! 同盟を組もう! まだ間に合う! お前は必要だ、アクノ!」
「遅いですわ。」
その一言で、公爵の膝が崩れた。
アクノマジョリーカはベルリッタ兵へ顔も向けず命じる。
「エリルフィン公爵を拘束しなさい。罪状は反逆と、ベルリッタ侵略企図。」
兵士たちが即座に動き、公爵を捕らえる。
もはや抵抗はなく、ただ崩れ落ちる父を見下ろすだけだった。
「私の人生を都合よく動かそうとした報いですわ。覚悟なさい。」
ドンファムが近づき、そっと彼女の肩に手を置いた。
「アクノ……本当に、これでいいのか?」
「ええ。これでやっと――私は私の人生を歩けます。」
彼女は凛とした横顔でベルリッタ軍へ振り返った。
「ベルリッタ王国に告ぐ。エリルフィン公爵領は本日をもって、ベルリッタ王国の保護下に入ります。」
兵士たちは歓声を上げる。
その中心で、ドンファムは照れたように笑いながら言った。
「アクノ。……俺と一緒に、ベルリッタを支えてほしい。」
アクノマジョリーカは一瞬だけ驚いたが、すぐに小さく笑った。
「殿下。私を使いこなせるとお思いで?」
「思う、じゃなくて――もう使いこなされてる気がするけど。」
「まあ……そうですわね。」
アクノマジョリーカは美しく微笑む。
「では殿下。これからも私の“コマ”として、末永く働いていただきますわ。」
「やっぱりそう言うと思った……!」
ドンファムは嘆いたが、どこか嬉しそうでもあった。
アクノマジョリーカは空を見上げる。
「これで終わりではありませんわ。ベルリッタはもっと強く、美しくできるはずですもの。」
ドンファムは頷く。
「なら、俺と一緒に作ろう。新しい国を。」
アクノマジョリーカは彼の差し出す手を取る。
「殿下が、私という最強の悪女を選んだこと――後悔なさらないように。」
「はいはい。俺は“うつけ”だからね。後悔する頭もないよ。」
笑い合う二人の姿は、すでに国を変える力を持つ者同士の絆だった。
こうして――
悪女令嬢アクノマジョリーカと、うつけ王子ドンファムは、
ベルリッタ王国と新生エリルフィン領をまとめ上げ、
後に「最強の夫婦」と呼ばれる存在となった。
侵略の果てに生まれたのは、破滅ではなく――新しい未来。
悪女令嬢は微笑む。
「やられる前にやる主義は、正義ですわ。」
物語はここに完結する。
エリルフィン公爵領の中心都市フェラインの城壁が、朝靄の向こうに姿を現した。
アクノマジョリーカは馬上からその光景を一望し、薄く笑った。
「父の城が、こんなにも簡単に見える場所にあるなんて。防衛が甘すぎますわ。」
ドンファムが隣で苦笑する。
「アクノ。普通の娘は、生まれ育った家を攻め落とすとき、もう少し躊躇するものなんじゃないかな。」
「躊躇? 何それ、美味しいのかしら。」
「うわあ……すごく楽しそう……。」
アクノマジョリーカは涼しい顔で手を上げた。
「総員、前進。城門は開いていますわ。父は逃げたか、私を迎える覚悟を決めたか……どちらでしょうね。」
兵士たちが一気に進軍すると、その動きに気づいた城門手前の守備兵たちが慌ただしく退いた。武器を構える者すらほとんどいない。
その中心に、公爵本人が立っていた。
エリルフィン公爵は蒼白な顔で叫ぶ。
「アクノマジョリーカ! お前、自国に刃を向けるつもりか!?」
「ええ、その通りですわ。」
「気が狂ったか、この娘はぁ!」
アクノマジョリーカは馬を降り、ゆっくりと父へ歩み寄った。
「父上。もともと私をベルリッタへ送り込んだのは、あちらを内側から侵略するためでしたわよね。」
公爵は歯噛みする。
「お前さえ従っていれば……! 全ては我が家のためだった!」
「私を駒だとおっしゃっていた方に、家のためと言われても困りますわ。」
アクノマジョリーカの瞳が、鋭く細められる。
「だから、駒は駒らしく。父上ごと、この国を片付けに参りましたの。」
エリルフィン公爵は震えながら後ずさった。
「ま、待て。わかった、わかった! 同盟を組もう! まだ間に合う! お前は必要だ、アクノ!」
「遅いですわ。」
その一言で、公爵の膝が崩れた。
アクノマジョリーカはベルリッタ兵へ顔も向けず命じる。
「エリルフィン公爵を拘束しなさい。罪状は反逆と、ベルリッタ侵略企図。」
兵士たちが即座に動き、公爵を捕らえる。
もはや抵抗はなく、ただ崩れ落ちる父を見下ろすだけだった。
「私の人生を都合よく動かそうとした報いですわ。覚悟なさい。」
ドンファムが近づき、そっと彼女の肩に手を置いた。
「アクノ……本当に、これでいいのか?」
「ええ。これでやっと――私は私の人生を歩けます。」
彼女は凛とした横顔でベルリッタ軍へ振り返った。
「ベルリッタ王国に告ぐ。エリルフィン公爵領は本日をもって、ベルリッタ王国の保護下に入ります。」
兵士たちは歓声を上げる。
その中心で、ドンファムは照れたように笑いながら言った。
「アクノ。……俺と一緒に、ベルリッタを支えてほしい。」
アクノマジョリーカは一瞬だけ驚いたが、すぐに小さく笑った。
「殿下。私を使いこなせるとお思いで?」
「思う、じゃなくて――もう使いこなされてる気がするけど。」
「まあ……そうですわね。」
アクノマジョリーカは美しく微笑む。
「では殿下。これからも私の“コマ”として、末永く働いていただきますわ。」
「やっぱりそう言うと思った……!」
ドンファムは嘆いたが、どこか嬉しそうでもあった。
アクノマジョリーカは空を見上げる。
「これで終わりではありませんわ。ベルリッタはもっと強く、美しくできるはずですもの。」
ドンファムは頷く。
「なら、俺と一緒に作ろう。新しい国を。」
アクノマジョリーカは彼の差し出す手を取る。
「殿下が、私という最強の悪女を選んだこと――後悔なさらないように。」
「はいはい。俺は“うつけ”だからね。後悔する頭もないよ。」
笑い合う二人の姿は、すでに国を変える力を持つ者同士の絆だった。
こうして――
悪女令嬢アクノマジョリーカと、うつけ王子ドンファムは、
ベルリッタ王国と新生エリルフィン領をまとめ上げ、
後に「最強の夫婦」と呼ばれる存在となった。
侵略の果てに生まれたのは、破滅ではなく――新しい未来。
悪女令嬢は微笑む。
「やられる前にやる主義は、正義ですわ。」
物語はここに完結する。
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