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第2章:家電で貴族を驚かせてみた件
7話:スクーターでアイス販売開始!貴族街を駆ける公爵令嬢(ヘルメット付き)
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スクーターでアイス販売開始!貴族街を駆ける公爵令嬢(ヘルメット付き)
今日も朝から、私は異世界への出勤準備に追われていた。だが、いつもの貴族ドレスに着替えた後、今日は少し――いや、かなり特別な装備がある。
その名も、《冷凍庫付きアイス販売スクーター》!
原付スクーターの後部座席に固定されたポータブル冷凍庫。USBでスクーターのバッテリーから給電され、冷気は安定。庫内には、地球で仕入れたハーゲンダッツを始めとするプレミアムアイスの数々。
さらに冷凍庫の横には、誇らしげに“アイスクリーム”と書かれたミニ旗がはためき、私が走るとチリンチリンとハンドベルが鳴る仕様になっている。もう完璧だ。
「さぁ、出発よ!」
私はいつものようにゲートを開くと、台車ではなく――今日はスクーターと共に異世界に突入した。
◆ ◆ ◆
異世界・アートランド王国、ルノー家の中庭にスクーターが姿を現した時、使用人たちは騒然とした。
「お、お嬢様!? なにその……ご乗馬のような乗り物は!?」 「これまた派手な……あの旗、"あいす"って書いてありますわ!」
私は貴族らしいドレスに身を包みながらも、頭にはフルフェイスのヘルメット。もちろん中は安全第一のバイク仕様。最初は笑われるかと思ったけど、意外とみんな、尊敬のまなざしを向けてくる。何事にも動じない姿が貴族らしく映ってる……らしい。
「このスクーターと冷凍庫を使って、今日は街にアイスを売りに行くわ」
「お、お嬢様が……直々に?」
驚く使用人たちを後に、私は街へと飛び出していく。
◆ ◆ ◆
城下町は今日も平和。だが、ひときわ目を引く音が響き渡る。
チリン、チリン――♪
「なんだあの音は?」 「アイス……?冷たい……スイーツ?」 「まさか、またルノー家のご令嬢か!?」
あっという間に注目の的となり、道の脇には貴族や商人、その家族たちが並びはじめる。
「これが……冷たいスイーツ?」 「すごい……手に持ってるだけで冷たいなんて……!」 「甘い!舌の上で溶けていくぅぅ!」
想像通り、大盛況である。冷たいものがほぼ存在しないこの世界で、まさに革命的なスイーツ。暑い季節であれば、なおさらのこと。
私は丁寧に一つひとつアイスを手渡しながら、価格を提示する。
「こちら、"贅沢の極み"バニラですわ。一つ金貨1枚になります」
――まったくもって、ぼったくり価格である。
だが、誰も文句は言わない。むしろ「これほどの体験なら安い!」と財布を開いてくる。
まさにブルーオーシャン。というかホワイトクリーム。
◆ ◆ ◆
城門に到着すると、さっそく門番に呼び止められた。
「待て!そこにいる者、顔を見せよ!そのヘルメットを取れ!」
「ええと……これ、ヘルムじゃないのですが……」
私はしぶしぶヘルメットを外すと、門番たちの目が見開かれた。
「ル、ルノー公爵令嬢っ!? た、大変失礼を……っ!」
あまりの勢いに、門がバタンと開く。
以来、この姿のままスクーターで城門に来ても、顔パスとなった。
貴族のドレス姿でフルフェイスヘルメットというインパクトが、意外と認知されやすいらしい。
◆ ◆ ◆
その日、プリンセス・ラポートのもとへ、冷え冷えのアイスを届けた私は、姫の歓喜の表情をしっかり目に焼き付けることができた。
「また来てくださいね、アルピーヌ様」
「ええ、もちろんですわ、プリンセス」
この世界初のアイス販売は、こうして成功を収めた。
新たな需要、新たな文化の創出。次は何を売ろうかしら?
ドレス姿で風を切るアイス屋さんは、今日もどこかの貴族邸に向かって走っていく――。
今日も朝から、私は異世界への出勤準備に追われていた。だが、いつもの貴族ドレスに着替えた後、今日は少し――いや、かなり特別な装備がある。
その名も、《冷凍庫付きアイス販売スクーター》!
原付スクーターの後部座席に固定されたポータブル冷凍庫。USBでスクーターのバッテリーから給電され、冷気は安定。庫内には、地球で仕入れたハーゲンダッツを始めとするプレミアムアイスの数々。
さらに冷凍庫の横には、誇らしげに“アイスクリーム”と書かれたミニ旗がはためき、私が走るとチリンチリンとハンドベルが鳴る仕様になっている。もう完璧だ。
「さぁ、出発よ!」
私はいつものようにゲートを開くと、台車ではなく――今日はスクーターと共に異世界に突入した。
◆ ◆ ◆
異世界・アートランド王国、ルノー家の中庭にスクーターが姿を現した時、使用人たちは騒然とした。
「お、お嬢様!? なにその……ご乗馬のような乗り物は!?」 「これまた派手な……あの旗、"あいす"って書いてありますわ!」
私は貴族らしいドレスに身を包みながらも、頭にはフルフェイスのヘルメット。もちろん中は安全第一のバイク仕様。最初は笑われるかと思ったけど、意外とみんな、尊敬のまなざしを向けてくる。何事にも動じない姿が貴族らしく映ってる……らしい。
「このスクーターと冷凍庫を使って、今日は街にアイスを売りに行くわ」
「お、お嬢様が……直々に?」
驚く使用人たちを後に、私は街へと飛び出していく。
◆ ◆ ◆
城下町は今日も平和。だが、ひときわ目を引く音が響き渡る。
チリン、チリン――♪
「なんだあの音は?」 「アイス……?冷たい……スイーツ?」 「まさか、またルノー家のご令嬢か!?」
あっという間に注目の的となり、道の脇には貴族や商人、その家族たちが並びはじめる。
「これが……冷たいスイーツ?」 「すごい……手に持ってるだけで冷たいなんて……!」 「甘い!舌の上で溶けていくぅぅ!」
想像通り、大盛況である。冷たいものがほぼ存在しないこの世界で、まさに革命的なスイーツ。暑い季節であれば、なおさらのこと。
私は丁寧に一つひとつアイスを手渡しながら、価格を提示する。
「こちら、"贅沢の極み"バニラですわ。一つ金貨1枚になります」
――まったくもって、ぼったくり価格である。
だが、誰も文句は言わない。むしろ「これほどの体験なら安い!」と財布を開いてくる。
まさにブルーオーシャン。というかホワイトクリーム。
◆ ◆ ◆
城門に到着すると、さっそく門番に呼び止められた。
「待て!そこにいる者、顔を見せよ!そのヘルメットを取れ!」
「ええと……これ、ヘルムじゃないのですが……」
私はしぶしぶヘルメットを外すと、門番たちの目が見開かれた。
「ル、ルノー公爵令嬢っ!? た、大変失礼を……っ!」
あまりの勢いに、門がバタンと開く。
以来、この姿のままスクーターで城門に来ても、顔パスとなった。
貴族のドレス姿でフルフェイスヘルメットというインパクトが、意外と認知されやすいらしい。
◆ ◆ ◆
その日、プリンセス・ラポートのもとへ、冷え冷えのアイスを届けた私は、姫の歓喜の表情をしっかり目に焼き付けることができた。
「また来てくださいね、アルピーヌ様」
「ええ、もちろんですわ、プリンセス」
この世界初のアイス販売は、こうして成功を収めた。
新たな需要、新たな文化の創出。次は何を売ろうかしら?
ドレス姿で風を切るアイス屋さんは、今日もどこかの貴族邸に向かって走っていく――。
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