白い結婚のはずが、気づけば溺愛されていましたわ! 地味令嬢、辺境でスローライフを望んだのに国まで救ってしまう件

しおしお

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第13話 — 王都からの嫌がらせと、“地味令嬢”の本気 —

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第13話 — 王都からの嫌がらせと、“地味令嬢”の本気 —

冬の朝。
雪が静かに降り積もり、
辺境城の外は一面の銀世界だった。

ミレイユは暖炉の前で、
今日のタスク帳を開きながらのんびりと紅茶を飲んでいた。

(今日は保存食の試作をして……
午後は在庫の棚卸し……
夜は読書タイム……
ああ、なんて素敵な一日……)

しかし。

その完璧なスケジュールは、
扉を勢いよく叩く音で粉々に砕け散る。

ドン!ドン!

「奥様!! 大変です!!」

飛び込んできたのは執務官カルステン。
顔どころか耳まで真っ青だ。

「ど、どうしましたの……?
朝からそんな……お化けでも出ました?」

「い、いえ……! もっと恐ろしいものが……!!
王都からの……“王命書状”が届きました!!」

ミレイユ
(お化けより恐ろしい……?
あ、それは確かに“王都”ですね……)

渋々立ち上がり、カルステンから書状を受け取る。

封蝋には大きく王家の紋章。
間違いなく“公式”のものだ。

ミレイユは深呼吸して封を切る。

「……ええと、なになに……?」

読み始めて、彼女の眉がぴくりと動いた。


---

◆王都の“因縁”だらけの文書

そこに書かれていた内容は──

『辺境公爵領は近頃、勝手な改革を進めていると聞く。
領地規模に見合わぬ財政改善は不自然であり調査の必要がある。
余計な動きをせず、王都へ逐一報告せよ。』

ミレイユ
「……………………」

カルステン
「お、奥様……っ!!
これは完全に“因縁”です!!
王都は明らかに辺境領の成功を妬んで……!!」

別の家臣も震えながら言う。

「王太子殿下の……新婚約者様が、裏で口を出しているという噂です……
“辺境の地味令嬢が調子に乗っている”と……」

ミレイユ
(ああ……もう名前を見るのも嫌なあの王太子と、
おそらく婚約者になった“あの子”ね……
はいはい、また私ですか……)

明らかに嫌がらせ。

しかし──

ミレイユは静かに微笑んだ。

「ご心配なく。
これは簡単に黙らせられますわ」

カルステン
「か、簡単!?
この文書を“簡単”と言い切る奥様、初めて見ました!!」

ミレイユ(心の声)
(だって……数字と法律で殴れば黙りますもの……
王宮より、帳簿のほうがずっと素直だわ……)


---

◆ミレイユ、本気の“書状作成モード”

執務室に移動し、
ミレイユは広げた資料を片っ端からチェック。

・倉庫の在庫表
・売却した物資の記録
・収支表
・辺境領の法的権限に関する文献

全部、ミレイユの頭の中に入っている。

「ええと……王都の不当性を数字で出して……
こちらが正当であることを法律で補強して……」

ペンを握りしめ、
さらさらさら、と文字を書き始めた。

驚くほどの速度と正確さ。

カルステン
「な、なんという……筆の速さ……!?」

家臣B
「いや、速いだけじゃない……!
書かれている内容が……高度すぎて理解が追いつかん……!」

ミレイユは淡々と書き続けた。

やがて──
10分ほどで一気に書状を完成させた。

ミレイユ
「できましたわ」

カルステン
「は、はい!? はやっ!!??」


---

◆完成した反論文は“プロ泣かせの完璧さ”

そこには──

・辺境領の改革が“法の範囲内”であること
・王都の指摘が“誤解と偏見”に基づいていること
・財政改善の根拠となるデータ
・改善策の合理性
・王都の干渉がむしろ“非効率”を生むこと

すべてが明確に、
分かりやすく、
しかし容赦なく記されていた。

カルステンは震えながら読んだ。

「こ、これは……っ……
王都の官僚でも……
到底、反論できない……!!」

家臣Bも震える。

「お、奥様……まさか……
本当に“天才”なのでは……?」

ミレイユはにっこり微笑んだ。

「あら、わたくしはただ……
“趣味で読んだ本の知識”を使っただけですわ?」

家臣一同
「こ、怖い……!!」


---

◆そして、この書状は──ロヴェルの目に

そこへ、静かな足音。

「……ミレイユ。
カルステンから聞いた。
王都から文書が来たそうだな」

ロヴェルが入室する。

ミレイユはさらりと書状を差し出した。

「ロヴェル様。
こちらに、返答を書いておきましたわ。
内容に不備があれば直しますので……」

ロヴェルは書状を手に取り……
読み進めるにつれて、
目を大きく見開いていった。

そして──

読み終えた瞬間。

「………………すごい」

ぽつりと漏れた、そのひと言。

それは、
これまでで一番“驚愕と敬意”が混じった声だった。

ロヴェル
「ミレイユ。
これは……完璧な反論だ。
王都は……もう何も言えまい……」

ミレイユ
「まぁ、よかった。
これでスローライフが続けられますわね」

(もはやスローライフじゃなくて“領地改革”なんだけど……
本人は気づいてないんだよなぁ……)

ロヴェルはしばし沈黙し、
ミレイユをまっすぐ見つめた。

その瞳には──
確かな誇りと尊敬があった。

「……君は本当に……驚くほど頼もしいな」

ミレイユ
「へっ……?」

その温度のある声に、
なぜか胸がまたドキドキし始めた。

(ま、またこの感覚……
白い結婚のはずなのに……
なぜ……こんなに……?)

こうして、
王都の嫌がらせは開始数分で粉砕され、
ミレイユはまたひとつ、
ロヴェルの心に確かな爪痕を残したのだった。

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