白い結婚のはずが、気づけば溺愛されていましたわ! 地味令嬢、辺境でスローライフを望んだのに国まで救ってしまう件

しおしお

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第30話 本当の夫婦として歩む未来地図

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第30話 本当の夫婦として歩む未来地図

暖炉の火がぱちぱちと小さく弾け、
赤い光が静かに部屋を照らしていた。

ミレイユとロヴェルは並んで座り、
大きく広げられた領地の地図を前にしていた。

以前なら“契約上の同居人”として、
心の距離はひどく遠かった。

だが今は──
肩が触れ合っても、
互いに距離を取ろうとしない。

むしろ自然に寄り添うようになっていた。

◆未来を共に描くということ

ミレイユは、赤い石で印をつけながら話す。

「ここに新しい小麦倉庫を建てて……
それから、この街道の補修を進めれば、
冬の輸送がもっと楽になりますわ」

ロヴェルは頷きながら、
その横顔を静かに見つめていた。

「君の考える案は、いつも実現性が高いな。
……私には思いつかない視点ばかりだ」

「いえ……読書と、少しの趣味の延長ですわ。
数字が好きなだけで……」

恥ずかしそうに言うミレイユに、
ロヴェルは穏やかに微笑む。

「その“好き”が、
どれだけ領地を救ってくれたか……
家臣たちから毎日のように聞かされている」

「そ、そんな……!」

ミレイユは顔を真っ赤にした。

(だ、だめ……
その言い方……嬉しすぎて胸が苦しくなる……)

◆“二人で未来を”

ロヴェルはゆっくり立ち上がり、
テーブルの上に広げた地図の端に手を置いた。

「ミレイユ」

その声に、ミレイユも顔を上げる。

「今まで、私は領地の未来を……
自分一人で背負うものだと思っていた」

「ロヴェル様……」

「だが、これからは違う。
私たちは夫婦だ。
未来を描くのも、歩むのも──
二人でだ」

そう言って、そっとミレイユの手を取った。

その手は温かくて、力強かった。

胸がじんわりと燃えるように熱くなり、
ミレイユの視界が少し滲む。

「……はい。
私も……二人で歩んでいきたいです」

ロヴェルは少し照れたように目を細める。

「君となら、どんな未来も怖くない」

その言葉が、
ミレイユの胸に深く刺さる。

(この人と生きていいんだ……
この人と未来を作っていいんだ……
ああ……しあわせ……)

◆寄り添う二人と、燃える暖炉

ふたりは寄り添いながら、
地図の上に新しい印を付けてゆく。

新しい学校、
新しい温室、
新しい産業──

“一人”では背負いきれなかった未来が、
“二人”なら途端に明るくなった。

やがて──

ロヴェルはふとミレイユを抱き寄せ、
額にそっとキスを落とした。

「ミレイユ。
……これから、よろしく頼む」

「はい。
どうか、末永く……よろしくお願いいたしますわ」

暖炉の炎が揺らめき、
まるでふたりの未来を祝福するように輝いた。

こうして──
白い結婚は完全に過去のものとなり、
本物の夫婦としての第一歩が刻まれた。


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