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第19話 殿下の誠実──「ただ君のそばにいたいだけなんだ」
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第19話 殿下の誠実──「ただ君のそばにいたいだけなんだ」
王宮の喧騒とは裏腹に、
夜の回廊は静かで、ひんやりとしていた。
その静けさの中、
アルファルファはただひとり、
イメルダの部屋の前で立ち尽くしていた。
扉をノックする直前。
彼は胸に手を当て、小さく深呼吸する。
(……今日のイメルダ……どこか元気がなかった……
話してくれるだろうか……いや、無理に聞くのは違う……)
相変わらず優柔不断ぎみだが、
以前のように“言葉にできず沈黙する”ことだけはもうしない。
それだけは、イメルダと過ごす日々が
彼を変えたのだ。
◆
「殿下……?」
扉を開けたイメルダは、
寝間着姿のまま、わずかに首を傾げていた。
柔らかい髪が肩に流れ、
目元にはまだ昼間の疲れが残っている。
アルファルファは慌てて言う。
「あ、あの……少しだけ……話せるだろうか……?
いや……無理なら、もちろん後でも……」
その様子に、
イメルダは少しだけ笑みを浮かべた。
「大丈夫ですわ。どうぞ……」
殿下は安堵し、部屋に入った。
◆
二人で小さな丸テーブルを挟んで座る。
イメルダは微笑みながら
「お茶を淹れますわ」と立ち上がったが、
「い、いや……!今日は……いい……!
その……疲れているだろうし……」
と言われ、手が止まった。
(殿下……今日は……すごく落ち着いておいでですわね……?
いつもと違って……どこか……決意があるような)
イメルダが席に戻ると、
殿下は少し真剣な顔になって口を開いた。
「イメルダ……。
今日……何かあったのではないか……?」
「……っ」
核心を突かれ、イメルダの指が小さく震える。
「わ、わたくしは……別に……。殿下にご心配を……」
「心配する。
君が……困っているのに、何も気づけないのは……嫌だ」
静かに、しかし確かな思いで言い切る。
以前なら
何も言えずに視線を彷徨わせていた王子が。
今は、違う。
(……殿下……こんなふうに……はっきりと言えるようになって……)
胸がじんわり、熱くなる。
◆
イメルダは、唇を結び、そっと視線を落とした。
「……わたくし……少しだけ……不安でしたの。
殿下をお支えしたいと思っているのに……
王妃教育が忙しくて、おそばにいられないことが……」
殿下の目が見開かれる。
「……そんなことで……?
イメルダ……君は、十分すぎるほど努力している。
それに……一番そばにいてほしいと望んでいるのは……」
アルファルファは言いかけて、
恥ずかしそうに目を逸らした。
「……ぼ、ぼく……だから……」
イメルダの心臓が跳ねあがった。
(な、なんて……破壊力……!
どうしてそんな……真正面から……)
思わず俯く。
それを見た殿下は慌てず、
そっと手を伸ばし、イメルダの指先に触れた。
「君は、ぼくの支えだ。
そばにいてくれるだけでいい。
無理に笑わなくても、無理に完璧でいなくても……
ぼくは、君がいるだけで十分だ」
優しさという布で包み込むような声。
そして、
イメルダの指先をそっと包む。
「だから……不安を、ひとりで抱えないでくれ……?」
イメルダの胸が熱くなり、
目元がじんわりと潤む。
「……殿下……そんなことを言われたら……」
その先を言えない。
言ったらきっと、泣いてしまう。
殿下はそっと立ち上がり、
イメルダの肩へ自然と腕を回した。
「イメルダ……
ただ……君のそばにいたいだけなんだ」
自然と額に軽いキスを落とす。
まるで、呼吸するみたいに自然に。
イメルダの心は、
胸の奥でそっと震えた。
(……だめ……もう……殿下のことばかり……
考えてしまいますわ……)
ただ、それだけを胸に抱きしめる。
◆
そして、部屋を出た直後。
殿下はひとり、回廊で深呼吸した。
(あ、あれ……?
い、言えた……!?
ぼく……ちゃんと言えた……!?
わ、わ……わぁぁ……!)
思わず壁にもたれ、顔を真っ赤にする。
それを陰から見てしまった近衛騎士は
そっと目を逸らした。
(第一王子殿下……本当に……恋をされているのですね……)
イメルダと殿下の距離は、
確実にまたひとつ近づいたのだった。
王宮の喧騒とは裏腹に、
夜の回廊は静かで、ひんやりとしていた。
その静けさの中、
アルファルファはただひとり、
イメルダの部屋の前で立ち尽くしていた。
扉をノックする直前。
彼は胸に手を当て、小さく深呼吸する。
(……今日のイメルダ……どこか元気がなかった……
話してくれるだろうか……いや、無理に聞くのは違う……)
相変わらず優柔不断ぎみだが、
以前のように“言葉にできず沈黙する”ことだけはもうしない。
それだけは、イメルダと過ごす日々が
彼を変えたのだ。
◆
「殿下……?」
扉を開けたイメルダは、
寝間着姿のまま、わずかに首を傾げていた。
柔らかい髪が肩に流れ、
目元にはまだ昼間の疲れが残っている。
アルファルファは慌てて言う。
「あ、あの……少しだけ……話せるだろうか……?
いや……無理なら、もちろん後でも……」
その様子に、
イメルダは少しだけ笑みを浮かべた。
「大丈夫ですわ。どうぞ……」
殿下は安堵し、部屋に入った。
◆
二人で小さな丸テーブルを挟んで座る。
イメルダは微笑みながら
「お茶を淹れますわ」と立ち上がったが、
「い、いや……!今日は……いい……!
その……疲れているだろうし……」
と言われ、手が止まった。
(殿下……今日は……すごく落ち着いておいでですわね……?
いつもと違って……どこか……決意があるような)
イメルダが席に戻ると、
殿下は少し真剣な顔になって口を開いた。
「イメルダ……。
今日……何かあったのではないか……?」
「……っ」
核心を突かれ、イメルダの指が小さく震える。
「わ、わたくしは……別に……。殿下にご心配を……」
「心配する。
君が……困っているのに、何も気づけないのは……嫌だ」
静かに、しかし確かな思いで言い切る。
以前なら
何も言えずに視線を彷徨わせていた王子が。
今は、違う。
(……殿下……こんなふうに……はっきりと言えるようになって……)
胸がじんわり、熱くなる。
◆
イメルダは、唇を結び、そっと視線を落とした。
「……わたくし……少しだけ……不安でしたの。
殿下をお支えしたいと思っているのに……
王妃教育が忙しくて、おそばにいられないことが……」
殿下の目が見開かれる。
「……そんなことで……?
イメルダ……君は、十分すぎるほど努力している。
それに……一番そばにいてほしいと望んでいるのは……」
アルファルファは言いかけて、
恥ずかしそうに目を逸らした。
「……ぼ、ぼく……だから……」
イメルダの心臓が跳ねあがった。
(な、なんて……破壊力……!
どうしてそんな……真正面から……)
思わず俯く。
それを見た殿下は慌てず、
そっと手を伸ばし、イメルダの指先に触れた。
「君は、ぼくの支えだ。
そばにいてくれるだけでいい。
無理に笑わなくても、無理に完璧でいなくても……
ぼくは、君がいるだけで十分だ」
優しさという布で包み込むような声。
そして、
イメルダの指先をそっと包む。
「だから……不安を、ひとりで抱えないでくれ……?」
イメルダの胸が熱くなり、
目元がじんわりと潤む。
「……殿下……そんなことを言われたら……」
その先を言えない。
言ったらきっと、泣いてしまう。
殿下はそっと立ち上がり、
イメルダの肩へ自然と腕を回した。
「イメルダ……
ただ……君のそばにいたいだけなんだ」
自然と額に軽いキスを落とす。
まるで、呼吸するみたいに自然に。
イメルダの心は、
胸の奥でそっと震えた。
(……だめ……もう……殿下のことばかり……
考えてしまいますわ……)
ただ、それだけを胸に抱きしめる。
◆
そして、部屋を出た直後。
殿下はひとり、回廊で深呼吸した。
(あ、あれ……?
い、言えた……!?
ぼく……ちゃんと言えた……!?
わ、わ……わぁぁ……!)
思わず壁にもたれ、顔を真っ赤にする。
それを陰から見てしまった近衛騎士は
そっと目を逸らした。
(第一王子殿下……本当に……恋をされているのですね……)
イメルダと殿下の距離は、
確実にまたひとつ近づいたのだった。
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