傍若無人の悪役令嬢 ―幸せになりたいなら黙って私に従いなさい―

しおしお

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第12話 物流爆増!領地が“儲かる化け物”と呼ばれる日

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 道路舗装工事が始まって三週間。

 領地の風景は、かつての泥だらけの貧しい街からは想像もつかない姿へと変貌しつつあった。

「……信じられない……こんなに滑らかな道が、この国に……?」

 旅の商人が馬車を降り、舗装された道を触って震えていた。

「馬車が揺れない!荷物が落ちない!しかも早い!
 ここ、本当に鉄道でも走るんじゃないのか……!?」

 舗装道路の上を走る馬車は、往来の倍以上のスピードを出しながらも安定していた。

 これは、ミーナが計算で導き出した“最適な幅と傾斜”と、
 ヴァイオレットの「とにかく質の良い材料を使いなさい」という方針が合わさった結果だった。


---

◆◆商人たちの反応:驚愕 → 大興奮◆◆

「卸した荷物の損傷がゼロだと……!?
 あの地獄みたいな道を走ってた頃とは別世界じゃねぇか!!」

「行商仲間に知らせねぇと!
 『儲かる化け物領地』が誕生したってよ!!」

 旅人や商人たちが次々と噂を広げていく。

 その結果――

「お嬢様ぁぁぁ!!商人の列がぁぁぁ!!」

 朝、役所をのぞいたアルフレッドが悲鳴を上げた。

「また何か問題かしら?
 道路工事の進捗なら、昨日の夜も確認したでしょう?」

「違います!!
 門の前に商人の行列ができておりますッ!!
 入りきりませんッ!!」

「まあ、賑やかですわね。素敵ですこと」

「素敵じゃないんです!! 行列が城壁の外まで伸びてるんですよ!?
 何百人規模で!!」

 ミーナがこっそりメモ帳を見ながら言う。

「道路の効果で物流が“2.7倍”になるって計算してたけど……
 商人の増加で“4.5倍”くらいになってるかも……」

「4.5倍ぃぃぃ!?」

 アルフレッドは白目をむいた。


---

◆◆商人たちの本音:この領地に投資したい!◆◆

 その日の午後――

「ヴァイオレット様!ぜひ我が商会と取引を!!」

「うちにも卸し権利を!!」

「倉庫建設の許可をお願いします!」

 押し寄せた商人たちが、屋敷の前で土下座――ではなく、
 興奮しすぎて地面にひれ伏していた。

「まあまあ、落ち着きなさいませ。
 順番にお話は聞きますわ。番号札を配りますので」

「あの公営住宅の番号札システムだ!?」

「やはり“合理の女帝”と呼ばれるだけある……!」

「合理の女帝」
その新しい異名にヴァイオレットは満足げに微笑んだ。

「良い呼び名ですわね。もっと言ってもよろしくてよ?」

「「「女帝ーーー!!!」」」

 城下町に謎のコールが響いた。


---

◆◆領民の変化:誇りと活気が生まれた◆◆

 商人の増加に合わせて、街の雰囲気も変わっていく。

「おい、あの店また増築してるぞ!」

「最近は市場の荷物が毎日倍だ。
 儲かるってのは、こういうことか……」

「ヴァイオレット様、怖いけど……ほんとすごいな……」

 住民たちの顔には、以前にはなかった自信が宿っていた。

(いい流れですわ。この勢いのまま……
 領地全体を“王都以上”にしてみせますわ!)

 ヴァイオレットの野望が静かに燃え上がる。


---

◆◆商人ギルドの代表が直談判に来る◆◆

 夕刻。
 緊迫した様子の男が屋敷へ飛び込んでくる。

「ヴァイオレット様!!
 商業ギルド本部より緊急会議の要請が……!!」

「緊急?どうしてですの?」

「この領地が……
 本気で“国の商業中心地”になりそうだと――」

 男は震えながら続けた。

「王都の商人たちが、嫉妬で大騒ぎしているそうで……!!」

「……面白いですわね」

 ヴァイオレットの口元がゆっくりと笑みに変わった。


---

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