傍若無人の悪役令嬢 ―幸せになりたいなら黙って私に従いなさい―

しおしお

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第17話 激突!令嬢 vs 第二王子 初大口論!

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 セドリックが領地へ来てから三日目。
 早くも二人の関係は“衝突前提”になっていた。

 そして――その日。
 ついに最初の本格口論が、執務室で勃発する。


---

◆◆セドリック、朝から絡む◆◆

「お前の改革資料だ。
 ……字が小さい。読みにくい。政治書類の基本すらなっていない」

「なら読まなくて結構ですわよ?
 理解できる頭を持ってから批判なさって?」

「……は?」

「“は?”ではありませんわ。
 理解できない書類を作った私が悪いと思っている時点で、
 あなたは腰抜けと同じですわ」

「腰抜け!?俺を誰だと思って――」

「あら、言いたいことも言えない大人ですこと?」

「ッッ!!」


---

◆◆大人の都合 vs 正面突破◆◆

セドリック
「政治には“大人の都合”というものが必要だ!
 全てを正面から叩き割るだけでは国は回らん!」

ヴァイオレット
「ではその“都合”とやらで、
 あなたたちはこの国をどれほど遅らせてきたのかしら?」

「遅らせた?何を根拠に――」

「上下水道、道路、治安……何一つ改善していない。
 わたくしが三ヶ月で成し遂げたことですわよ?」

「……っ!」

「それを“大人の都合”と呼ぶのなら――
 やはりあなたたちは、ただの腰抜けですわね?」

「二度と腰抜けと言うな!!」

「では、腰の強さを証明して見せてくださいまし?」

「……この女……ッ!!」


---

◆◆周囲の反応◆◆

アルフレッド
(おかしい……なぜだ……
 怒鳴り合っているのに、妙に噛み合っている……)

エマ
(似た者同士。両方“真っ直ぐすぎる”……
 国家規模で殴り合うタイプですわ……)

ミーナ
「ケンカしながら話が進んでる……すごい……」


---

◆◆セドリック、理屈で畳みかける◆◆

「いいかヴァイオレット。
 政治とは、そもそも合意形成だ。
 周囲を説得し、利益を調整し、時間をかけて――」

「時間をかける余裕があるのは、
 “困っていない側”だけですわよ?」

「ッ……!」

「領民は今日食べるものに困っているかもしれない。
 明日を生きる場所がないかもしれない。
 なぜそんな人々に“会議の都合”を押しつけるのかしら?」

「……っぐ……!」

「あなたの言う“大人の政治”は――
 ただの怠慢の言い換えではありませんこと?」

「黙れ!!」


---

◆◆核心へ――セドリックの苛立ち◆◆

「……よく言う。
 お前はただの暴走令嬢だろう。
 王都での評判を知っているか?」

「ええ、“怖い”“傍若無人”“手続き無視”……
 すべて事実ですわ?」

「なぜ胸を張る!」

「事実を受け入れられないほうが未熟ですわよ?」

「この……煽りの天才め……!」

 セドリックのこめかみがピクピクし始める。


---

◆◆ついに本音の一言◆◆

ヴァイオレット
「結局、殿下は言いたいことすら言えない。
 そんな方が政治を語るなんて、お笑いですわね?」

セドリック
「言いたいことくらい言える!
 むしろ言いすぎて“扱いづらい”と言われて――」

 そこまで言って、ハッと口を閉じる。

ヴァイオレット
「“扱いづらい”?」

セドリック
「……なんでもない!」

ヴァイオレット
「ふふ。なるほど。
 では“扱いやすい”第一王子が選ばれたと?」

セドリック
「黙れ……!」

ヴァイオレット
「図星ですのね。
 でも――あなたのほうがよほど優秀そうですわよ?」

 セドリックの動きが、ピタリと止まる。


---

◆◆“認められた”と感じた瞬間◆◆

「……お前、今……俺を……」

「ええ、褒めただけですわ?
 あなたの論理は、馬鹿ではありませんもの」

「馬鹿……では……ない……?」

「むしろ、王家の中で一番、話が——通じる方ではなくて?」

 セドリックの耳まで真っ赤になる。

「ち、ちが……違う!褒められて嬉しいわけじゃない!」

「嬉しそうですけど?」

「うるさい!!」


---

◆◆“敵か味方か”から“興味の対象”へ◆◆

 言い争いながらも、互いに相手の力量を測っていた。

 ヴァイオレット
 (……この男、案外筋は通る。
  私と衝突しても折れないとは……悪くありませんわ)

 セドリック
 (……なんだこの女。
  暴走するクセに、核心だけは正確に突いてくる……
  “無視できない存在”とはこういうものか……?)

 そして――

 二人は同時に息を吸い込み、こう叫んだ。

「「まだ言いたいことがあるのですけど!?」」

「「……ッッ!!」」

 目が合い、火花が散る。

 周囲は悟った。

――この二人、絶対に将来結婚する。


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