傍若無人の悪役令嬢 ―幸せになりたいなら黙って私に従いなさい―

しおしお

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第19話 移住者殺到!領地がパンク寸前ですわ!

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 改革が進み、インフラが整い、治安も改善されたヴァイオレット領。
 噂は隣領にも広がり、やがて――

「おい聞いたか?
 あの公営住宅、入居すれば衣食住保証らしいぞ!」

「上下水道があるって本当か!?
 そんなの王都にだって一部しかないだろ!!」

「子どもが安全に歩ける道路があるらしい!」

「俺たちも行こうぜ!!」

 隣領の貧民街が、丸ごと動き始めた。


---

◆◆大移動、始まる◆◆

 翌日。

 領地の入口――。

「な、なんですのこれは……?」

 アルフレッドが石像のように固まった。

「……行列……ですね……?」

 エマも眉をひそめる。

 だが行列などという言葉では足りなかった。

数百人規模の移住希望者。
 荷車、ボロ服の家族、老人、幼児まで。

 街道にぎっしり詰め込まれ、
 「ここが希望の地だ!」と叫びながら押し寄せてきている。

「ヴァイオレット様ぁぁぁ!!!
 大変でございます!!!」

「何事かしら。みんな元気そうで良いことですわね?」

「元気すぎて困るんです!!!
 全員が“ここに移住したい”と!!」

「まあ。歓迎すればよろしいでしょう?」

「迎え入れる場所がありませんのぉぉぉ!!」

 アルフレッドの悲鳴が響く。


---

◆◆公営住宅前、大混乱◆◆

「家をください!!」

「うちの子が病気で!ここなら上水道があると聞いて!」

「働きます!なんでもします!!」

 必死の声が飛び交う。

 しかし、
公営住宅は番号札を持つ元スラム住民優先。

 それ以外は予備枠しかない。

「こ、これでは収拾が……!」

 治安官たちが青ざめていたそのとき。

 ヴァイオレットが手を叩き、一言。

「――番号札を配ればよろしいでしょう?」

「「「また番号札ッ!!!!」」」

 領民に浸透しつつある“番号札システム”が発動した。


---

◆◆だが、管理限界が訪れる◆◆

 数時間後。

「お嬢様……番号札の消費ペースが速すぎます!!」

「今何番まで行ったの?」

「……三千です!!」

「あら、いいペースですわね」

「いいペースじゃありません!!!」
 アルフレッドが涙目で叫んだ。

「公営住宅の空きは百そこそこ、
 臨時の難民キャンプも満杯!!
 せ、整理が……! 管理が……!」

 そのとき。

 ミーナが静かに前へ出た。

「……じゃあ、私に任せて」

「ミーナ?」


---

◆◆天才少女、参謀として覚醒◆◆

 ミーナはポケットから紙束を取り出し、
 さらさらと線を引き始めた。

「まず、来た人を“家族単位”“単身”“労働可能”“要保護”で分類。
 それぞれに番号札を色分けする。
 次に、臨時住宅として使える建物を全部リスト化して、
 優先順位順に割り当てる」

「は、速い……!!」

「さらに、街の人口密度を計算……
 うん、三ヶ月以内に公営住宅第二期工事をしないと、破綻するね」

「破綻って軽く言いましたわね!?」

「大丈夫、計算上はギリギリいける。
 ただし、殿下とお嬢様が喧嘩してる暇はない、かも」

「ミーナ、それは余計な一言よ?」

「えへへ……」

 そして彼女は、人の三倍のスピードで資料を書き上げる。

「これを使って、役人のみんなで対応して。
 “本日の入域上限人数”もこの通りに決めて」

「ミーナ……天才すぎる……!!」

 もはや皆が頭を垂れていた。


---

◆◆セドリック、驚愕する◆◆

「……子ども一人に、ここまでの管理能力が?」

「当然ですわ」
 ヴァイオレットが胸を張る。

「ミーナはこの領地の宝ですもの。
 あなたの王都にある“無駄な役所”よりよほど優秀ですわよ?」

「比較対象がなぜ役所……!」

「事実ではありませんこと?」
 ドヤ顔のヴァイオレット。

 セドリックはため息をつきながらも、ミーナの資料を見て目を細める。

「……合理的で、数字にも破綻がない。
 年齢に不相応すぎる才能だな」

「えへへ……殿下に褒められた……!」

「褒められて喜ぶなんて、可愛いですわね」
 ヴァイオレットがぽんと頭を撫でる。

「あなたも見習っては?」と悪戯な笑み。

「な、なぜ俺を巻き込む!!?」


---

◆◆しかし問題はまだ終わらない◆◆

 その日の夕刻。
 役人が駆け込んできた。

「お嬢様!!
 隣領だけでなく、さらに別の領地からも移住者が!!
 “公営住宅が神”という噂が広まり……!」

「まあ、それは困りましたわね」

「困ってます!?!?」

 ミーナがそっとヴァイオレットの袖を引いた。

「……お嬢様。
 “人口流入は領地の成長のチャンス”です」

「ええ、わかっていますわ。
 ――公営住宅第二期工事、始めますわよ」

「早すぎる!!!」

 周囲は絶叫した。

 だがヴァイオレットは楽しそうだった。

「改革は止まりませんわ。
 現実が進むのですもの、私も進まなければ」

 その瞳には燃えるような意志があった。


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