悪役令嬢は溺愛を拒めない!~破滅回避のはずが、なぜか甘やかされています~

しおしお

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第1章:絶望からの始まりと、転生者の決意

セクション1:目覚めと衝撃の事実

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セクション1:目覚めと衝撃の事実

薄暗い天井が、視界いっぱいに広がっていた。柔らかくも重たい布団に身体を預け、私はゆっくりと瞼を持ち上げる。意識が戻るにつれ、ぼんやりとしていた視界が鮮明になっていく。

…あれ?

ここはどこだ?私の部屋じゃない。見慣れない調度品、豪華なカーテン。まるでベルベットのような深紅のカーテンは、陽の光をほとんど遮断し、部屋全体を薄暗くしている。金色の刺繍が施されたそれは、重厚感があり、とても質が良い。私がこれまで見てきたものとは、まるで違う。

私は、身体を起こそうとした。しかし、頭が重く、まるで全身に鉛を纏っているような感覚だ。怠惰な重みに全身が支配され、まぶたも少しばかり重い。一体、どれだけの時間眠っていたのだろうか。

なんとか上半身を起こすと、視界に入ってきたのは、きらびやかな装飾が施された大きな鏡だった。鏡面は美しく磨き上げられ、そこに映し出されたのは、紛れもなく、私の姿。

…いや、私の顔ではない。

長く艶やかな金髪。太陽の光を浴びれば、黄金色に輝くだろう。その髪は、丁寧にカールされ、肩のあたりでふわりと広がっている。ベルベットのような、吸い込まれそうな深いルビー色の瞳。ふっくらとした頬に、上品な鼻筋、そしてふっくらと愛らしい唇。肌は白く、陶器のように滑らかだ。まるで絵画から飛び出してきたような、完璧な容姿。

…これは、現実?

信じられない思いで、私は自分の頬をつねった。

「っ…!」

軽い悲鳴が漏れる。痛い。痛覚はあるようだ。ということは、夢ではない。

混乱が頂点に達した瞬間、稲妻が脳内を駆け巡ったような感覚に襲われた。まるで情報が洪水の様に押し寄せ、私の頭の中で渦を巻いている。見慣れない風景、言葉の数々、そして、途方もない量の記憶。

前世の記憶。地味なOLだったこと。日々の業務に追われ、恋愛経験も少なく、休日は家でゲームをしたり、読書をしたりするインドア派だったこと。そして、ある日、不注意で事故に遭い、死んだこと。

そして、今この身体の記憶。イザベラ・エルミナ・ド・ヴェルサイユ。ヴェルサイユ侯爵家の令嬢。容姿端麗、才色兼備と謳われる美貌の持ち主。社交界では、その美しさで人々を魅了し、多くの男性から求愛されている。

…そして、それは同時に、悪役令嬢。

…嘘でしょ!?

私は、自分が乙女ゲーム『恋するロマンス・ガーデン』の悪役令嬢、イザベラとして転生したという、衝撃の事実に、ただただ呆然と立ち尽くした。

前世で私がプレイしていた乙女ゲーム『恋するロマンス・ガーデン』は、王宮を舞台に、ヒロインが様々なイケメンたちと恋を繰り広げる、王道ラブコメディゲームだ。そのゲームの存在は知っていたが、まさか自分がその世界に転生するとは、夢にも思わなかった。

悪役令嬢のイザベラは、そのゲームの中で、ヒロインをいじめる嫌われ者として描かれている。ヒロインの恋路を邪魔したり、悪質な嫌がらせをしたり、しまいには、婚約破棄され、投獄、果ては処刑されるという、悲惨な末路を辿るキャラクター。

…私が、そのイザベラに転生してしまったというのか?

顔面蒼白になり、全身から冷や汗が噴き出してくる。

…嫌だ。絶対に嫌だ。

私は、震える手で、鏡に映る自分の顔をじっと見つめる。

…このままでは、破滅するしかない。

今、私が立っている場所は、豪華絢爛なベッドルーム。貴族の寝室には、豪華な装飾が施された家具が並び、上質なシルクのカーテンが窓を飾っている。まるで、映画のセットのような場所だ。

しかし、その美しさも、今の私には恐怖でしかない。

…この状況を打破するために、私は前世の記憶と、イザベラの記憶を懸命に整理した。この世界のルール、登場人物、そして、物語の展開。

…悪役令嬢の破滅フラグを回避し、生き残る。それが、今の私の使命だ。

深呼吸をして、私は決意を新たにした。

「…よし、やるしかない。」

私は、悪役令嬢イザベラ・ド・ヴェルサイユとして、破滅への道を歩まないために、動き出すことを決意した。

前世の私は、決して積極的に行動するタイプではなかった。どちらかというと、問題が起こらないように、波風を立てないように、慎重に生きてきた。

しかし、今は違う。

破滅を回避するためには、臆病になっている場合ではない。自ら行動し、運命を切り開かなければならない。

私は、前世の記憶を頼りに、イザベラが持つ問題点を洗い出し、それらを改善する方法を必死に考え始めた。

…まずは、あの傲慢な態度を改めなければ。高慢な物言いや、他人を見下すような態度は、絶対にやめる。そして、ヒロインであるリリアナに近づき、彼女と仲良くなること。

…そうすれば、破滅を回避できるかもしれない。

私は、鏡に映るイザベラ・エルミナ・ド・ヴェルサイユに、心の中で誓った。

「絶対に、生き残って見せる。」

私は、覚悟を決めた。

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