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第18話 “気づかないのは本人だけ”状態ですわ!
第18話 “気づかないのは本人だけ”状態ですわ!
庭の喫茶スペースが完成してから数日。
毎日のように、レイヴンが休憩時間に足を運んでくるのが当たり前になっていた。
今日も、いつものように──
「フィオナ、ここにいたのか」
「はい。今日のハーブティーはペパーミントですわ。お疲れだと思って」
「……助かる」
それだけで、レイヴンの声がわずかに柔らかくなる。
フィオナは嬉しさを隠せず、
焼きたてのレモンケーキを添えてカップを渡した。
レイヴンは静かに座り、
ふとした瞬間にフィオナの指先へ視線を落とす。
(……今日もよく働いた手をしている)
本人に言うと恥ずかしがらせてしまう気がして、
口には出せない。
だが、視線だけは自然と吸い寄せられてしまうのだった。
◇
レイヴンが執務へ戻ったあと──
リリィが勢いよくフィオナの肩をつかんだ。
「フィオナ様ああぁぁぁぁッ!!」
「り、リリィ!? な、なにごとですの!?」
「見ました!? 今日も公爵様、五分に一回はフィオナ様を見てました!!」
「……え?」
リリィは震える指で方向を指した。
「公爵様は、完全に“庭に通う男”です!!
あれはもう……好きな子を見に来る少年のそれです!」
「そ、そんな……!」
フィオナは真っ赤になって、ぱたぱたと手を振る。
「白い結婚ですのよ? 干渉しない条件で……」
「はい、その白い結婚がですね、今、淡い桃色に染まり始めてます!!」
「桃色って何!?」
「恋色です!!」
「こ、恋色!?」
フィオナの手が止まった。
胸の奥が、なぜか急に熱くなる。
(恋……公爵様が……?
そんな……そんなこと……)
しかし、リリィの興奮は止まらない。
「第一! 毎日庭に来る時点でおかしいんです!
休憩を庭で取る必要なんてないのに!!
フィオナ様が居るから来てるんです!!」
「そ、そうかしら……?」
「そうです!!」
リリィは手を握りしめ、涙目で訴える。
「フィオナ様……!
公爵様はもう……氷どころか常温です……!」
「常温……?」
「常温というか……むしろ……」
リリィはぽつりと呟いた。
「……ぬるま湯になってます……」
「ぬ、ぬるま湯!?」
「はい! 沸騰寸前です!!
もはや視線で“溺愛の香り”がします!!」
「そ、そんな……そんなわけ……!」
フィオナは顔を覆ってしまう。
心臓が妙に早く打っている。
(公爵様が……私を……?
そんなはず、ない……)
しかし──
思い返せば、最近のレイヴンは不思議と優しい。
庭へ来るのもそうだし。
わざわざお茶を待ってくれているし。
視線も……以前より柔らかい。
(……でも、どうして?)
問いかけても、答えは出ない。
そのとき、庭の奥にいた庭師がぽつりとつぶやいた。
「いやあ……公爵様、恋してるなぁ……」
「…………」
屋敷のメイドたちまでもヒソヒソ。
「あれは絶対、奥様のこと……」
「いやもう、愛妻家の気配……」
「白い結婚って聞いてたけど……白じゃないよね絶対」
「むしろ限りなくピンク寄りに……」
「はあ……尊い……」
フィオナ
「な、なんでみんなそんなに早く気づくの……?」
リリィ
「フィオナ様以外、全員知ってます!!」
フィオナ
「!?」
庭師
「奥様が気づいてないのが一番びっくりですよ」
フィオナ
(なんで私だけ置いてけぼりなの……!?)
混乱しつつも、
胸の奥にじわっと広がる温かさを否定することができなかった。
(……もし、公爵様が本当に私を……)
ほんの少し──
そこに芽生える期待が、胸の奥で静かにふくらむ。
庭の喫茶スペースが完成してから数日。
毎日のように、レイヴンが休憩時間に足を運んでくるのが当たり前になっていた。
今日も、いつものように──
「フィオナ、ここにいたのか」
「はい。今日のハーブティーはペパーミントですわ。お疲れだと思って」
「……助かる」
それだけで、レイヴンの声がわずかに柔らかくなる。
フィオナは嬉しさを隠せず、
焼きたてのレモンケーキを添えてカップを渡した。
レイヴンは静かに座り、
ふとした瞬間にフィオナの指先へ視線を落とす。
(……今日もよく働いた手をしている)
本人に言うと恥ずかしがらせてしまう気がして、
口には出せない。
だが、視線だけは自然と吸い寄せられてしまうのだった。
◇
レイヴンが執務へ戻ったあと──
リリィが勢いよくフィオナの肩をつかんだ。
「フィオナ様ああぁぁぁぁッ!!」
「り、リリィ!? な、なにごとですの!?」
「見ました!? 今日も公爵様、五分に一回はフィオナ様を見てました!!」
「……え?」
リリィは震える指で方向を指した。
「公爵様は、完全に“庭に通う男”です!!
あれはもう……好きな子を見に来る少年のそれです!」
「そ、そんな……!」
フィオナは真っ赤になって、ぱたぱたと手を振る。
「白い結婚ですのよ? 干渉しない条件で……」
「はい、その白い結婚がですね、今、淡い桃色に染まり始めてます!!」
「桃色って何!?」
「恋色です!!」
「こ、恋色!?」
フィオナの手が止まった。
胸の奥が、なぜか急に熱くなる。
(恋……公爵様が……?
そんな……そんなこと……)
しかし、リリィの興奮は止まらない。
「第一! 毎日庭に来る時点でおかしいんです!
休憩を庭で取る必要なんてないのに!!
フィオナ様が居るから来てるんです!!」
「そ、そうかしら……?」
「そうです!!」
リリィは手を握りしめ、涙目で訴える。
「フィオナ様……!
公爵様はもう……氷どころか常温です……!」
「常温……?」
「常温というか……むしろ……」
リリィはぽつりと呟いた。
「……ぬるま湯になってます……」
「ぬ、ぬるま湯!?」
「はい! 沸騰寸前です!!
もはや視線で“溺愛の香り”がします!!」
「そ、そんな……そんなわけ……!」
フィオナは顔を覆ってしまう。
心臓が妙に早く打っている。
(公爵様が……私を……?
そんなはず、ない……)
しかし──
思い返せば、最近のレイヴンは不思議と優しい。
庭へ来るのもそうだし。
わざわざお茶を待ってくれているし。
視線も……以前より柔らかい。
(……でも、どうして?)
問いかけても、答えは出ない。
そのとき、庭の奥にいた庭師がぽつりとつぶやいた。
「いやあ……公爵様、恋してるなぁ……」
「…………」
屋敷のメイドたちまでもヒソヒソ。
「あれは絶対、奥様のこと……」
「いやもう、愛妻家の気配……」
「白い結婚って聞いてたけど……白じゃないよね絶対」
「むしろ限りなくピンク寄りに……」
「はあ……尊い……」
フィオナ
「な、なんでみんなそんなに早く気づくの……?」
リリィ
「フィオナ様以外、全員知ってます!!」
フィオナ
「!?」
庭師
「奥様が気づいてないのが一番びっくりですよ」
フィオナ
(なんで私だけ置いてけぼりなの……!?)
混乱しつつも、
胸の奥にじわっと広がる温かさを否定することができなかった。
(……もし、公爵様が本当に私を……)
ほんの少し──
そこに芽生える期待が、胸の奥で静かにふくらむ。
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