『白い結婚から始まったはずなのに、冷徹公爵の溺愛が止まりません!』

しおしお

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第34話 照れる妻と、限界寸前の公爵

第34話 照れる妻と、限界寸前の公爵

新婚生活二日目の朝。
フィオナは鏡の前で、まだ慣れない“夫婦らしさ”に戸惑っていた。

(……どうしましょう。
レイヴン様が優しすぎて、まともに顔が見られません)

昨日の“手への口づけ”を思い出しただけで、心臓が暴走する。

そこへ――扉をノックする音。

「フィオナ。迎えに来た」

(また……来た!)

「はいっ、すぐ行きますっ!」

慌てて扉を開けると、レイヴンが穏やかに微笑んでいた。

「そんなに慌てなくてもいい。ゆっくりで構わないぞ」

「は、はい……」

レイヴンは一歩近づく。

「……顔が赤いな。風邪か?」

「ち、違います!」

あまりの距離の近さに、またしてもフィオナの思考はショートしかける。

レイヴンは少しだけ目を細めた。

(……かわいい)

そう言わんばかりの表情。

そして、ふ、と耳に口を寄せて囁いた。

「私のせいなら……嬉しいんだが?」

「~~~~っ!!」

その場で崩れ落ちそうなほどの破壊力。


---

食堂へ向かう途中も、レイヴンは終始穏やかで、どこか上機嫌だった。

「せっかく夫婦になったのだから、今日からは腕を組んで歩いてみないか?」

「あ、あ、あの……!?」

「嫌か?」

「き、嫌ではありませんけれど……!」

震える手を、レイヴンがそっと取る。

腕を絡めると、フィオナの方が顔を伏せてしまった。

「そんなに照れると……私の方が困る」

困る、と口では言いつつ。

レイヴンの耳まで赤い。

(……旦那様も照れていらっしゃる……?)

気づいた瞬間、フィオナの胸がふわっと温かくなった。


---

食堂に入ると、侍女リリィが待ち構えていた。

彼女は二人を見るなり、両手で顔を覆った。

「無理……! 尊すぎて仕事になりません!!」

「リリィ、落ち着いてください!」

「落ち着けません! 朝から“腕組み登場”ですよ!?」

フィオナは恥ずかしさで目を潤ませ、
レイヴンはレイヴンで、耳を真っ赤にしつつも妻を守るように抱き寄せる。

「フィオナを泣かせたら許さないぞ、リリィ」

「違います! 私のせいじゃありません! 旦那様が甘すぎるんです!」

「…………そうか?」

本人はまったく自覚がないらしい。

(旦那様……あなたが一番、私を動揺させるんです……)

そんな心の声を飲み込みながら、
フィオナは真っ赤なまま朝食の席についた。


---

こうして、レイヴンの感情がじわじわと決壊しつつある新婚生活二日目は、
“甘さが限界突破する予兆”に満ちていた。

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