『白い結婚から始まったはずなのに、冷徹公爵の溺愛が止まりません!』

しおしお

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第36話 「彼女こそ、私の誇り」――堂々たる紹介

第36話 「彼女こそ、私の誇り」――堂々たる紹介

祝賀会が佳境を迎えたころ。
大広間がふっと静かになり、視線が一か所に集まった。

レイヴン公爵が、壇上へと歩み出たのだ。

背筋を伸ばし、威厳を宿す姿は、
まさに“黒鷲公爵”の異名にふさわしかった。

(レイヴン様……なにを……?)

フィオナはそわそわしながら見守る。

レイヴンは周囲をゆっくりと見渡し、
低く、よく通る声で告げた。

「諸君。今日は我が妻――フィオナを祝うために、集まってくれて感謝する」

ざわめく会場。

妻、と堂々と言い切った声に、全員が耳を傾けた。


---

続いてレイヴンはフィオナに手を差し出す。

「こちらへ」

「えっ、わ、わたしが……?」

引っ張られるように壇上に上がると、
大広間が一気に明るくざわつく。

「公爵様が……奥方様の手を……!」

「なんて絵になる二人……!」

(ひぃっ、見られてる……!)

顔が熱い。
でも――レイヴンの手は温かくて、心が落ち着いた。


---

レイヴンは、フィオナの肩に手を添えた。

「皆に伝えたいことがある」

一度、静かに息を吸う。

「フィオナこそ、私が選んだ唯一の人。
そして――私の誇りだ」

瞬間、会場はどよめきに包まれた。

「誇り……!? あの冷徹公爵が、そこまで……!」

「奥方様はどれほどの方なのだ……?」

侍女リリィは、端のほうで早くも目を潤ませていた。

「尊い……! 公爵様が堂々と愛を語ってる……! し、幸せです……!」

(リリィ……気持ちは分かるけど、声が大きい……!)


---

レイヴンは言葉を続ける。

「私はこれまで、人に心を許したことがない。
だが……フィオナは、私の世界を変えた」

(え……レイヴン様……?)

「彼女の優しさは、誰よりも強い。
一緒にいるだけで、心が――救われる」

フィオナは胸が熱くなり、
視界がにじんだ。

(わたし……そんなふうに思われていたなんて……)


---

レイヴンはフィオナの手を握り、会場に向かって宣言する。

「これから先も、私は彼女を守り、支え続ける。
彼女を侮辱する者は、私が許さない」

圧倒的な力と愛情が、言葉として会場に響き渡る。

フィオナは震える声で、小さく答えた。

「……レイヴン様。わたしも……あなたを誇りに思っています」

レイヴンの腕が、わずかに震えた。

ほんの一瞬だけ、彼の表情が柔らかく崩れた。


---

会場は大きな拍手に包まれた。

「公爵夫妻、ばんざい!」

「最高ですわ……あの二人……!」

「二人の絆に乾杯!」

フィオナは恥ずかしさと幸福で胸がいっぱいになり、
レイヴンの横で小さく笑った。

(……レイヴン様と一緒なら、どんな未来でも進んでいける気がする)

こうして、
「彼女こそ私の誇り」という公爵の宣言は、
その夜の最大の話題となった。

――そして、二人の夫婦としての物語は、さらに深まっていく。

次は 37話 を書きますか?
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