『婚約破棄された公爵令嬢ですが、王国を救ったので新しい王太子に求婚されました

しおしお

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第二十三話 怒りの民衆

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第二十三話 怒りの民衆

王都中央広場。

国王の発表が終わったあとも、人々のざわめきは収まらなかった。

むしろ――

どんどん大きくなっていく。

「冤罪だったのか!」

「王太子は何をしていた!」

「公爵令嬢に謝罪しろ!」

商人たちが口々に言う。

「だから銀行が潰れたんだ!」

「王家が信用失ったせいだ!」

別の男が言う。

「ノクティス公爵家を敵に回すとか馬鹿だろ!」

怒りの声が広場に広がっていく。

その中で。

一人の商人が言った。

「ルシエラ様は俺たちを助けてくれた」

周囲が頷く。

「そうだ」

「ノクティス家の融資がなければ商売できなかった」

「王太子はそれを潰した」

空気が変わる。

怒りの矛先がはっきりした。

「王太子だ」

「全部あいつのせいだ」

「責任取れ!」

広場の怒りはどんどん大きくなっていく。

その頃。

王城のバルコニー。

発表を終えた国王は広場を見ていた。

人々の怒りの声。

王は静かに言った。

「……予想以上だ」

王妃マルグリットが頷く。

「王都の不満が溜まっていたのですね」

ローデリックが言う。

「信用を失うとこうなる」

ルシエラは広場を見ていた。

人々が自分の名前を叫んでいる。

「ルシエラ様!」

「名誉を取り戻した!」

ルシエラは少し困った顔をした。

リーゼが小声で言う。

「人気すごいです」

グラハムが頷く。

「当然でしょう」

その時。

遠くからさらに大きな声が聞こえた。

「王太子を出せ!」

広場の空気が一気に荒れる。

「責任取れ!」

「説明しろ!」

近衛兵たちが慌てて動き始める。

王は小さく息を吐いた。

「……怒りの矛先は予想通りだな」

王妃が静かに言った。

「当然です」

「王太子の判断が原因ですから」

その頃。

王城の一室。

エドガルドは椅子に座り込んでいた。

窓の外から聞こえる怒号。

「王太子を出せ!」

「責任取れ!」

エドガルドの顔は青い。

「……どうして」

彼は呟いた。

ヴィオレッタが震える声で言う。

「殿下……」

エドガルドは振り向く。

「大丈夫です」

ヴィオレッタは必死に笑顔を作る。

「民衆はすぐ忘れます」

エドガルドは答えなかった。

外の声はどんどん大きくなっている。

その時。

扉が開いた。

近衛兵が入ってくる。

「殿下」

エドガルドが顔を上げる。

「何だ」

近衛兵は言った。

「陛下がお呼びです」

エドガルドの胸がざわつく。

「……父上が?」

「はい」

近衛兵は続けた。

「至急です」

エドガルドはゆっくり立ち上がった。

そして呟く。

「……何を言われる」

ヴィオレッタの顔が青くなる。

彼女は気付いていた。

この呼び出しが――

処分の始まりであることを。
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