『婚約破棄された公爵令嬢ですが、王国を救ったので新しい王太子に求婚されました

しおしお

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第三十一話 最後の舞踏会

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第三十一話 最後の舞踏会

王城、大舞踏室。

無数のシャンデリアが輝いている。

床は磨き上げられ、壁には王国の紋章。

今日は特別な舞踏会だった。

王国の再出発を祝う舞踏会。

貴族たちが次々と集まってくる。

誰もが口にする名前は一つ。

「ルシエラ様」

「王国を救った令嬢」

「次の王太子妃」

入口の扉が開く。

「ノクティス公爵令嬢、ルシエラ・ノクティス様」

ざわめきが広がる。

ルシエラが入ってきた。

白いドレス。

夜空のような黒髪。

堂々とした歩き方。

貴族たちが自然と道を開ける。

「お美しい……」

「まさに王太子妃」

リーゼが後ろで感動している。

「お嬢様……!」

グラハムが静かに言う。

「泣くのはまだ早い」

その時。

反対側の扉が開いた。

「王太子、ローデリック・アルヴァーン殿下」

拍手が起きる。

ローデリックが入ってきた。

黒の礼装。

堂々とした姿。

彼は迷わずルシエラの前に歩いていく。

二人の前で音楽が止まる。

ローデリックが手を差し出す。

「一曲」

ルシエラは微笑む。

「喜んで」

音楽が始まる。

ワルツ。

二人は踊り始めた。

貴族たちは息を呑む。

完璧な動き。

優雅なステップ。

王国の未来そのもののような光景。

ローデリックが小さく言う。

「忙しくなるぞ」

ルシエラが笑う。

「今でも十分忙しいです」

ローデリックが肩をすくめる。

「王太子妃はもっとだ」

ルシエラは少し考えた。

そして言う。

「でしたら」

「一つ約束してください」

ローデリックが眉を上げる。

「何だ」

ルシエラは言った。

「休日」

ローデリックが笑う。

「それだけか」

ルシエラは頷く。

「お茶の時間と読書」

「それは譲れません」

ローデリックは少し考える。

そして言った。

「いいだろう」

ルシエラが少し驚く。

「本当ですか?」

ローデリックは笑う。

「ただし」

「条件がある」

ルシエラが首を傾げる。

ローデリックは言った。

「俺も呼べ」

ルシエラが吹き出した。

「お茶会ですか?」

ローデリックは頷く。

「悪くない」

二人は笑った。

その時。

別の曲が始まる。

貴族たちも踊り始める。

舞踏会は最高潮へ。

リーゼは興奮していた。

「見ましたか!」

「お嬢様と王太子!」

グラハムは静かに言う。

「王国の未来ですね」

リーゼが涙ぐむ。

「最初はあんなに酷い婚約破棄だったのに……」

グラハムは頷く。

「だからこそ」

「今がある」

踊りが終わる。

大きな拍手。

ルシエラとローデリックが一礼する。

その時。

ローデリックが小さく言った。

「次は結婚式だ」

ルシエラが少し赤くなる。

「気が早いです」

ローデリックは笑う。

「王国中が待っている」

ルシエラは少し空を見上げた。

大きな窓の向こう。

星が輝いている。

嵐のような日々。

婚約破棄。

陰謀。

断罪。

すべて終わった。

そして。

新しい未来が始まる。

ルシエラは小さく微笑んだ。

「悪くない未来ですね」

ローデリックが言う。

「最高だ」

舞踏会は夜遅くまで続いた。

王国は再び動き始める。

新しい王太子。

新しい王太子妃。

そして――

新しい時代。

その始まりを祝う夜だった。
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